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第25話 水出しコーヒー(滴下式)

第25話 水出しコーヒー(滴下式)

おはようございます。
 ほぼ一日パソコンに向かって仕事をした日。新入社員研修のテキスト2講座分と講演資料1本をまとめることができた。他にM氏のアシスト的な作業。次世代幹部養成塾の準備も完了した。原稿執筆以外、気になっていたことを大部分片付けることができた。夕方になって「休日的な活動をせねば」と思い立ち、水出しコーヒーの抽出作業を行う。それからゴーヤチャンプルを作る。M氏は8時頃まで庭造りに専念している。久しぶりに僕が我が家の料理長に返り咲いた。8時半頃夕食。

ウォータードリッパーWD-150

僕の水出しコーヒー歴は、実はものすごく長いのです。
 東京に住んでいた頃、夏は尋常ではない暑さになりましたから、常に冷たい飲み物を求めていました。もともとコーヒー好き。一年の半分以上はアイスコーヒーを飲んでいたと思います。アイスコーヒーを飲む期間は、たぶん僕のTシャツ+短パン姿の期間と一致していたはず。とすれば、4月1日から10月31日ということになりますね。この7ヵ月間はTシャツ+短パン+アイスコーヒーで過ごしていた。当時、長ズボンをはくことはほとんどありませんでした。同様、夏場にホットコーヒーを飲むこともほとんどなかったと記憶しています。
 そんな生活を送っていましたから、あるとき思い切って、オージの水出しコーヒー・ウォータードリッパーWD-150を購入したのです。かなり思い切った設備投資。これまでコンパクトカメラで写真を撮っていた人が、いきなりペンタックス67を買ったようなものです。
 もう30年近く前の話になりますね。事務所を構えた西荻窪にプロっぽいコーヒーショップがあって、そこで購入したもの。事務所が一気に喫茶店っぽくなった……。
 それはよいのですが、どうも使い方に自信が持てない。しかも、器具を落としたりぶつけたりしないか気になって、恐る恐る扱ったという記憶があります。これを使ってどのくらい水出しコーヒーを淹れたのだろう? 肝心な記憶が残っていません。もしかしたら、仕事がハードすぎて、半分インテリアになっていたのかもしれない。当時の飲み物としては、リゲインとチオビタが印象に残っています。
 ウォータードリッパーWD-150が本格的に活躍するようになったのは、ここ帯広でのこと。19年前の引っ越しのとき、よく壊れなかったものです。食器類はずいぶん割れてしまったのですが……。
 帯広の夏も相当なもの。Uターンしてすぐに自覚することとなりました。ただ、水出しコーヒーを淹れるだけの心理的余裕はなく、2、3年くらい放置してあったのではないかと思います。ブログを始めた2006年から水出しコーヒーについての記述がある。しかも「ほぼマスターした」などと書かれている。本当にマスターしていたのだろうか?
 というのも、30年前も今も、水出し珈琲の淹れ方には今一歩自信を持つことができずにいるのです。年に1回は失敗している。一度に15杯分を抽出しますから、失敗したときの心理的、経済的ダメージは大きい。実は、土曜日にも僕は中程度の失敗をやらかして、今イチな水出しコーヒーを作ってしまったのです。

水出しコーヒーとフィルム現像

水出しコーヒーに関するWEBサイトを見ると、「誰でも簡単にできる」とか「説明すら不要」といった記述が見受けられます。本当にそうなのか? 僕は長年悩み続けて、ようやく今の抽出方法に落ち着いたというのに……。
 昨日の失敗は、基本に忠実になろうと思って、WEBサイトに載っていた通りに行った結果によるものです。ネットを過信してはいけないということなのかな? それにしても、水出しコーヒーに関する悩みをズバリ解消してくれるよなサイトは見つけられませんでした。
 水出しコーヒーの関するトラブルは大きく2つあって、ひとつは「詰まって水があふれてしまう」こと。もうひとつは「水が豆全体に行き渡らず、薄いコーヒーになってしまう」というもの。前者はフィルターの問題。目詰まりしないよう、勢いよく流水を当てるようにすることで解決しました。
 後者のほうは自己流のやり方に改めました。いったん別容器にコーヒーを入れ、水で湿らせる。スプーンでかき混ぜ、全体に水が行き渡ったことを確認してからロートにコーヒーを移す。さらに、水滴が落ちる部分を山のように盛り上げる。これでコーヒーをまんべんなく抽出できるに違いない。この方法でたぶん正解のはず。ネットに頼らず、自分のたどり着いた結論を信じるべきだ。一昨日失敗してみて、改めてそう感じることとなりました。
 考えてみると、写真の世界もマニュアル通りにはいかないものなのです。水出しコーヒーはフィルム現像とちょっと似ているところがあります。
 ダークバッグ(暗袋)を使って撮影済みのフィルムをリールに巻き、現像タンクにセットする。それから現像液、停止液、定着液の順番で、処理液を注入・排出するわけですが、ただ液を出し入れすればよいというわけではありません。現像の段階では、正しく攪拌しなければ現像ムラが出たり、気泡がついたりする。攪拌が弱くてもいけない、強すぎてもいけない。この問題については何年も悩まされました。教科書通り、1分間に5秒攪拌すればよいといったものではないのです。
 一人ひとりちょっとした癖というものがありますから、マニュアルを参考にしながらも、自分のやり方を確立することが大切です。そして、自分の使っている器具にもちょっとした癖があると考えるべきでしょうね。癖を熟知するまで使いこなす。これは仕事道具でも同様でしょう。
 最後に滴下のスピードについてですが、WEBサイトで調べてみると「1秒に1~1.5滴」と書かれているものが多い。僕の感覚では「2秒に1滴」。超スロウ抽出を基本にしています。昨夜セットした水出しコーヒーは、今朝の時点で2/3ほど抽出されていました。僕の予想では、今日の午後には完成すると思います。社内のコーヒー好きの皆さん、お楽しみに~。 

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