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第28話 場所の力かソースの力か

第28話 場所の力かソースの力か

おはようございます。
 午前9時頃から仕事を開始。前半は事務的な作業に追われる。出張中にたまっていた用事をこなす。原稿を書き始めたのは午後から。レイアウトはできている。文字数も決まっていて、あとは書くのみ。3時間ちょっとで本文を書き終える。すると、写真と本文とが合っていないことに気づく。写真の選び直しとレイアウトの修正を行う。キャプションとタイトルを入れて、いったん完成。プリントアウト。少し時間をおいてからPDFにしようと思う。6時半終了。全体としてはいいペースで仕事をすることができた。

ソース文化圏

取材旅行や出張へ行くたびに感じることがあります。ふだん食べ慣れているものであっても、本場で食べるほうが断然おいしく感じられる……。そう思いませんか?
 たとえば、大阪ではお好み焼きや串揚げを食べましたが、どう考えても帯広で食べるよりもおいしい(感じ方には個人差があると思いますが)。これは本場だから作り方がうまいというだけではなく、もっと別な力が作用しているのではないかと僕は考えています。つまり、「場所の力」ということです。
 きっと、たこ焼きを食べてもそのように感じることでしょう。お好み焼き、串揚げ、たこ焼き。あと、今回の大阪では焼きそばも食べました。共通するのは「ソース味」というところ。したがって、場所の力というよりも「ソースの力」ではないのか、という仮説も成り立つかもしれません。
 それも確かにある。北海道に住んでいるとメジャーなソースしか手に入らない。それが現実。道産のソースといえば、「JAふらの厳選野菜ソース」など数種類あるだけ。そうそう、「とんかつ井泉のテーブルソース」がありました。このソースはおいしい。僕はとんかつ以外にも使っています。
 ソースのバリエーションという点では、関西が圧倒的に多い。ソース文化圏であるからです。関西には20社以上ソースメーカーがあるらしい。僕はまだ数種類を味わったことがあるのみ。「利きソース」をやったら、大阪の人にはきっと敵わないでしょう。
 学生時代、僕は大阪に住んでいましたが、南河内郡河南町のあたりでは、ソースにケチャップを混ぜてとんかつにかけていました。大阪では一般的なのでしょうか? 数種類のソースをブレンドする人もいました。実に複雑で奥が深い。このように練りに練ったソース味でお好み焼きやたこ焼きを食べるのですから、おいしく感じられるのは当然といえるような気がします。
 北海道民が粉もんで対抗できるとすれば、粉そのものの品質ということになるでしょう。小麦粉の力。この一点では北海道が圧倒的に優位に立っているといってよい。別に対抗するわけではありませんが、「粉・北海道」対「ソース・大阪」という構図となる。力は拮抗しているかのように感じられます。それでいて、大阪のほうがお好み焼きがおいしく感じられるとすれば、そこに作用しているのは「場所の力」ではないか……。そういう結論にたどり着くことになるのです。

素材をも超越する食文化の力

お好み焼きのルーツは江戸時代。今日のようなお好み焼きになったのは戦後のことらしい。ネットで調べただけなので本当のところはわかりません。戦後、パン食を広めようとしたアメリカが小麦粉を大量に日本へ送り、もともと大阪にあった小麦粉料理と融合してお好み焼きになった……。歴史的見ると、北海道との時間差は10年か20年程度ではなかろうか?
 それでも、粉もん=大阪というイメージが定着しています。それはお好み焼きの原型のような食べ物にさまざまにアレンジを加え、今の形を完成させたからに他なりません。やはり、オリジナルは強いということでしょうか。
 そういう歴史的経緯がありますから、大阪でお好み焼きを食べる際に「小麦粉はどこの産地か?」など質問する人はいないはず。あくまでも「大阪のお好み焼き」なのです。
 ここがちょっとおもしろいポイント。北海道であれば、人によってはものすごく産地にこだわりを持つでしょう。それも、「道産」といったざっくりとした産地ではなく、少なくとも「十勝産」くらいにまで絞り込まれていないと満足しないところがある。道の駅に行くと、町単位に産地を絞った小麦粉が売られていることもあります。
 北海道では確かにそれが通用し、○○産だからおいしいと感じることもあるでしょう。気のせいかもしれないし、場所の力のためと考えることもできます。感じ方は人それぞれ自由。気のせいでおいしくなるなら、それもOKではないかと思います。
 しかし、小麦粉の産地に関係なく、大阪のお好み焼きがおいしいと感じられるという事実にも僕らは目を向けなければなりません。素材の品質を高め続けると同時に、食文化全体を育てていくことが重要ではないかと思うのです。本来なら最重要であるはずの「素材」をも超越するようなインパクトのある食文化。北海道にそうした食文化があるのか考えてみると、限定的なものに留まっているような気がします。
 北海道に来る人は「何を食べてもおいしい」といった感想を述べたりする。「北海道料理がおいしい」と聞くことはまずない。これはさまざまな地域の人が移民としてやってきたため、各地の料理が混在、または融合しているからなのでしょう。有望なのはジンギスカンを中心とする食文化。あるいは十勝鍋を中心とする鍋文化(十勝人なので「石狩鍋」ではなく「十勝鍋」であることをご了承ください)。これを「料理」というだけではなく、「地域文化」として高めていくことが重要なのではないか。そんなふうに僕は考えています。
 最有力はやはりジンギスカンですね。オーストラリア産の肉を使っていても、「北海道のジンギスカン」となっている。大阪におけるお好み焼きに近い存在といえます。ジンギスカンは北海道で食べるのが一番おいしいはず。これは断言できます。

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