おはようございます。
締め切りに追われてきた。僕のGoogleカレンダーには、当初6月25日は「原稿執筆日100%」。そう記入してあったため、社内の人たちが予定を入れることはなく、安心して原稿に集中できる日のはずだった。だが、来客と同友会での会議予定が入った。想定外の仕事がいくつか舞い込み、時間は削られていった。代わりに、僕のミスを札幌のK氏にカバーしてもらったり、大幅に時間がかかると思っていた作業があっという間に終わったり……。バランスはとれているようでもある。慌ただしい一日を終え、まだ原稿に着手できてない事実に気がついた。
優先順位と後先順位
ここ数ヵ月、僕の頭の中でときどき浮かんでくる言葉のひとつに「優先順位」があります。この言葉が気になるようになったきっかけは、何度か取材しているN会長の何気ない話の中にありました。
「私、優先順位だけは間違えることがなかったんですよ……」
ちょっと言い方は違っていたと思いますが、こんな感じでした。新入社員より中堅、中堅より経営者のほうが、やるべきこと、考えるべきことが数多くあるものです。そして、意思決定の重要度も増していく。したがって、優先順位をどのように決めていくかが重要であることは間違いありません。
僕はこれまでの人生の中でずいぶん間違いをしてきました。その間違いを思い起こしてみると、案外多いのが優先順位のつけ方を間違えたということ。重要度の低い仕事を先に行ってしまい、大事なことを後まわしにした。その結果、ずいぶん遠回りしたこともありますし、絶好のチャンスを逃したこともありました。
ある研修を受けたとき、「優先順位をつけるよりも後先順位を決めることが重要」といった話がありました。優先順位はわかりますが、後先順位というのは聞き慣れない言葉です。劣後順位といったほうがわかりやすいでしょうか。要は「やらないことを決める」ということ。
実際、自分の日常生活、日常業務を振り返ってみると、やらなくてもよいことに振り回されることが実に多い。しかし、振り回されているまさにその瞬間、自分ではどう思っているのかというと、「今、これをやらなければ大変なことになる」という心理状態なんですね。
緊急度が高く、重要度が低い仕事に振り回されて、優先順位のつけ間違いが発生する。僕だけではなく、思い当たる人もいるのではないでしょうか? たとえば、人から頼まれると、自分の仕事を放り出して頼まれごとを優先させてしまう……。これは典型的なパターンのひとつです。
性格的にやさしい人、優柔不断な人、押しの強くない人は、優先順位を間違いやすい。あるいは、間違えていることに気づいてはいても、自分の力で修正することができないことが多い。ここは勇気を持って(?)優先順位を正しくつける習慣を身につけるべきですね。
「7つの習慣」に出てきた「時間管理のマトリックス」を使って考えると、第2領域(緊急ではないが重要度の高いもの)により多くの時間を割くことが求められます。第3領域(緊急だが重要度の低いもの)に振り回されない生き方。ここを目指さねばなりません。
「仕事と同格」と位置づける
そう考えていくと、重要度が高いのか低いのかを見極める能力が欠かせないということになってくるでしょう。
大阪の山田製作所、山田社長の話の中に重要な言葉がありました。
「仕事と3S活動は同格である」
僕はここに本質があると気づきました。こうした価値観を共有しているから、同社では20年間、3S活動が継続されていて、それが企業文化となっているわけです。企業文化として定着するかどうか。これは優先順位をどのようにつけるのかにかかっているのだと思います。
このあたりが曖昧になってしまうと、ほとんどの人は「仕事優先」となり、時間があれば整理、整頓、清掃をしようか……という気持ちになってしまう。せっかくの活動もなし崩しになって、中途半端なものとなるでしょう。
我が社もここから見習わなければならないと思いました。つまり、「仕事と勉強は同格である」ということですね。「勉強」の中には、研修、研究、革新的な商品開発といったものも含まれます。
印刷業は基本的に受注産業であるため、どうしても企業文化が受け身的なものとなってしまいやすい。そして、顧客優先の考えにとらわれすぎてしまって、大事なことを後まわしにしてしまうことがあります。顧客ニーズに応えようと努力することは大切。だが、そこで全エネルギーを使い果たしてしまうべきではありません。経営ビジョン、人生ビジョンにつながるような活動のために余力を残さねばならないわけです。
「余力」と書いてしまいましたが、本当はこちらのほうにより情熱を傾けるべきではないかと考えることがあります。これは職種によって異なるでしょう。受注ビジネスがメインの人と自社開発商品がメインの人。両者のスタンスはずいぶん異なります。
また、役職によっても優先順位は変わってくる。部下のいる人であれば「人や組織に関わること」の優先順位が上位になければなりません。
何が重要で何が重要ではないのか? ここを明確にするためのガイドラインのようなものが必要かもしれません。今月の山を乗り越えたら、このあたりについて考えてみたいところです。
「こんなに締め切りに追われているのにブログを書いている暇はあるの?」といった指摘を受けることがあります。数年前なら、こうした言葉に少しグラつく自分がいましたが、今は自信を持ってブログを優先させることができています。これは僕にとって第2領域の活動だからです。と同時に、原稿を書く前のトレーニングでもあります。