
おはようございます。
朝は写真セレクト作業。データを各編集者に送る。続いて、社内報の原稿を見直し、一部修正した上で入稿する。次は原稿執筆。果てしなく書き続けているもの。謎を解明しながら進めていく。午後3時20分出社。4時来客。スロウで取材させていただいたことのあるK先生たち。今回はこちらが取材される立場。といっても、取材されているという雰囲気ではなく、情報交換のような感じで話が進んでいく。大学教授からフリーになられたが、悠々自適といった過ごし方ではなく、かえって忙しくなったという。本を出したことで依頼が増えたそうだ。70歳を過ぎてますます精力的に活動する。僕の理想とする働き方だ。
「都合のよさ」に惑わされてよいのか?
社内報のコラムで、僕は「ギグワーキング」について書きました。ギグワーキングとは「長期契約を結ばず、単発で仕事を請け負う働き方」のこと。企業と働き手を結ぶマッチングアプリが普及した結果、日本では延べ700万人もの人がギグワーカーになっているそうです。僕はこうした現状を危惧しています。
ギグワーキングの「ギグ」は日雇い労働を意味する英語なのだそうです。人によっては時間の有効活用にもつながるでしょうから、一概に否定することはできません。ただ、新聞に載っていた事例では、ティッシュ配り→居酒屋→寿司屋……と細切れの働き方が紹介されていました。20代のうちにこのような働き方に慣れてしまうと、どのような30代を迎えることになるのか? もっと自分の仕事人生について長期的に考えるべきではないか、と思ってしまいます。
一方、企業側にとっては都合のよい人手となる。人件費というのは通常固定費として扱われますが、単発の業務を外注することになるわけですから、ギグワーキングは変動費ということになります。仕事があれば発注するが、なければお金がかからない。
しかし、この「都合のよさ」が落とし穴なのではないか? そう思うのです。専門知識や技術を持たず、しかも仕事観が未成熟なまま年齢を重ねていく人が増えていく。そうなると、個人の能力格差が拡大していくのは目に見えています。現時点では企業の人手不足解消につながっているとはいえ、中長期的に見ると「使えない人材を大量に生む」ことにもなりかねない。
こうした傾向は昨日今日起こったことではなく、バブル崩壊後から見られる現象でしょう。大企業を中心に、人件費の変動費化が進められていった。非正規雇用が増えていったのはずいぶん以前からのことです。非正規雇用で働く人の割合は、1984年では15.3%だったものが、2017年では37.3%に。大企業の大量採用によってこの数字は高止まりし、微減傾向にありますが、大きく変わることはないと思います。正社員より非正規雇用、それよりもギグワーカーのほうが都合がよい。そう考える企業は依然として多い。
もちろん、働く側にとってもさまざまなライフステージの中で「柔軟に働けるほうがよい」と判断するケースもあるでしょう。育児や介護をしながら働く人もいますし、独立開業までのつなぎとして生活費を稼ぎたいという人もいるに違いありません。
テーマ性のある生き方
問題は20代から30代前半までの過ごし方。この時期の過ごし方を誤ると、仕事人生の中盤以降、非常に辛い思いをすることになる。ひたすら耐えて、ひとつの会社で仕事を全うせよ……などと言うつもりはありません。けれども、人生テーマを持たずに会社を転々としたり、時間を切り売りするような働き方をするのは好ましい過ごし方ではない。ギグワーキングで働いている20代の人には、40代、50代になったときの自分をイメージしてほしいと思います。何かひとつでも、自分の能力を伸ばさねば。そう気づくことが大切です。
ひとつの会社に長く勤めるメリットは、真剣に仕事に取り組むうちに「ライフワークと思えるものに出合う可能性が高い」ということです。まだ出合っていないという人は、働いている期間が短いか、仕事の取り組み姿勢が甘いかのどちらかでしょう。どんな仕事であっても、「本気」というレベルで取り組むと何かが見えてくるものです。その結果、どんどんその方向へ導かれていく。会社員だから自分の自由にはならない、というものではありません。不思議なまでに道は開けてくる。まあ、その会社の企業文化にもよりますが……。
一方、フリーランスや起業家タイプの人の場合、最初からライフワークがハッキリしているという特徴があります。だから、ストレートに自分のやりたい仕事をする。そのために勤め人に比べ、何倍もの苦労があってもさほど大変だとは思わない。リスクが高くてもへっちゃら、という気構えがないとできるものではありません。
仕事人生はさまざまなので、どちらがよいとは言えません。ただ、ひとつだけ言えることは、自分の将来につながるようなテーマ性のある生き方、仕事の仕方をすることが重要ではないかということ。そのためには、人生ビジョンを持つ必要がありますし、自己成長につながるような活動を常に行うことが求められるでしょう。
これは本来、会社の仕事は関係なく、自分の意志で行われるべきこと。会社にできることは、成長の機会や環境を提供することくらいかもしれません。我が社もそのための費用はできるだけ惜しまないようにしています。
昨日からコミュニケーションとリーダーシップを学ぶ心理学セミナー(TA)が帯広で行われており、今日は2日目となります。我が社からは6名受講。直接仕事に役立つ研修も必要ですが、僕は意識改革を促す場に身を置くことが何より重要と考えています。時間は何より重要な資源ですから、より意味のある過ごし方をしなければなりません。