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仕事観について08 地域エンゲージメント

仕事観について08 地域エンゲージメント

おはようございます。
 午前9時半来客。昼は帯広ロータリークラブ例会。委員会の事業計画について発表する。午後は自宅で仕事。7時、M社、S社との会食。年1回7月に行われているもの。僕が出席するようになって20年近くなる。もしかすると、ちょうど20回目かもしれない。最初の頃はゴルフの話ばかりで戸惑ったが、今は幅広い話題に及ぶ。学ぶべき点が多い。9時頃帰宅。

地域そのものの魅力を語る

いつの時代も地域の中で必要とされる会社であり続ける。そのためには自社を「地域エンゲージメント力の高い会社にする」ことが求められるのではないかと思います。社員一人ひとりの地域エンゲージメント力が高い会社。地域企業である以上、これは必須の条件であると僕は考えています。
 エンゲージメントとは「愛着心」「絆」「つながり」と考えるとよいでしょう。通常はブランドや企業と消費者との絆の強さについて指すことが多い。けれども、地域企業の場合は消費者との絆だけではなく、地域とのつながりの強さも求められる。お金を支払ってくれる顧客だけ大切にすればよい、というものではありません。
 十勝の中で存在感のある会社、ユニークな事業展開を行っている会社を観察してみると、やはり地域エンゲージメントを感じさせる活動をしていたり、そうした企業文化を持っています。昨日会食したS社もそのひとつ。もう一社のM社は大阪の会社。やはり大阪(または関西)に対してエンゲージメントを感じているに違いありません。
 帯広で仕事をしていると、帯広市民としての自分、十勝人としての自分、北海道民としての自分、この3つの自分が存在しています。日頃一番強く感じているのは「十勝人としての自分」でしょうか。札幌で行われる会合に出席すると「十勝」を強く意識します。
 これが道外へ出ると、とたんに「北海道民としての自分」という意識に変わります。東京で行われる会議では、あたかも北海道を代表しているかのような話し方となる。
 たぶん、海外に出ると「日本人としての自分」を意識することになるのでしょう。ですから、地域エンゲージメントだけではなく、自国に対するエンゲージメントも大切になってくる。そういえば、以前、タイのチェンマイで講演したことがありましたが、このときは北海道民としての自分と日本人としての自分が7:3くらいの割合で混在していたような気がします。僕は北海道をひとつの国のように感じているところがあるため、日本人としての自分という意識がちょっと希薄なのかもしれません。
 地域エンゲージメントを持っている人の話を聴いていると、自社商品についての話よりも「地域そのものの魅力」についての話が多いことに気づきます。道外の人に対しては、十勝の中にこんな魅力的な場所がある……という話になりやすい。場所だけではありません。地元の魅力的な食べ物、商品、イベント、企業、人物など、話題には事欠かない。事欠くようだと、それはまだまだエンゲージメントレベルが低いということになるでしょう。
 僕らはふだん雑誌をつくる仕事をしているため、地域のことについて語ることのできるコンテンツを数多く持っています。文章でも語りますが、自分の口でも語ることが大事だな……。そう感じることがありますね。

地域エンゲージメントの経済効果

それはどういう場面で感じるのか?
 話の流れの中で、気づくと地元で作られている「とある商品の特徴や魅力」について力説している自分がいるのです。これは僕だけはない。無意識的に多くの人が行っています。
 単純なところでは、「どこそこのチーズがおいしい」といった話題。仲間内で話すときには主観的においしいと思うかどうかが話題の中心となりますが、地域外から来た人に対して話すときには、「無農薬・無化学肥料の放牧地で育てられた」とか「搾りたての温かい牛乳からつくられる」とか「工房からの風景が素晴らしい」といった情報が加えられる。
 自社商品について力説するのではなく、他社の商品を熱心に勧めている自分がいることにふと気づく。これが地域エンゲージメントを持つ人の典型的なパターンではないかと思います。これが十勝人の場合はちょっとビックリするほど多い。道外からの客人だとわかると、盛んに地元のとっておきの逸品を紹介する。それも、観光情報誌には載らないような隠れた品について披露することがあるものです。
 これは自分の本心から出てきている言葉であるため、何の計算も策略もない。それだけに説得力があり、話を聴いた人は純粋に欲しくなったり、行ってみたくなったりする。これはすごいことだと思いませんか?
 自分の会社の商品を自分が説明する。これは当たり前の話。どんなに素晴らしい商品であっても、「それはあなたの会社の商品だから勧めるのだろう」と相手は思うことでしょう。ところが、直接的な利害関係のない人から「これはいい」と勧められると、「本当にいいものだ」と思ってしまう。実際、いいと思う商品しか勧めることはありませんから、話には真実味があるわけです。
 意図的に地域エンゲージメントを活用しようと思うと、信憑性は低下してしまう。けれども、心から「いい」と思い、自分の暮らす地域のよさや商品の魅力について語る機会が増えていったとしたら、そこから生み出される経済効果には計り知れないものがあるのではないか、と僕は考えてしまいます。自分が地元に愛着心を持ち、いいと思っていることを語ることで地域経済に貢献できるというわけです。
 国誉めをすると運気が高まると言います。めぐりめぐって自分や自社にも返っているのだと思います。

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