
おはようございます。
大変な大雪(場所によっては暴風雪)でしたね。今は各地とも穏やかでしょうか。昨日の朝は、何が何でも小樽へ行くぞ……と思っていたのですが、西へ向かうすべての道路が通行止めとなっていたのであきらめました。第9回全道経営指針委員会拡大一泊研修・交流会は、テレビ会議での参加となりました。
午後2時、同友会とかち支部事務所へ。スクリーンには小樽の研修会場が映し出されていました。ちょっとやりにくさは感じるものの、慣れればどうということはないのかもしれません。この日は天候のためか、たまに音声が途切れることがありました。しりべし・小樽支部2名の方の基調報告のあと、グループ討議。テレビ会議システムはグループ討議にはちょっと不向きかな? これも慣れの問題でしょうか。ふだん使わない部位の脳みそを使った感じがします。
小樽にたどり着かなかった代わりに、おもしろい参加の仕方ができました。これまでスカイプを使って1対1の面接・面談を行ったことはありました。スカイプ会議も2、3度あったかな? 多少のやりにくさを感じたとしても、まずは慣れてみることですね。
歴史的視点の重要性
中小企業家同友会の経営指針成文化も、最初のうち、僕はちょっとした違和感を感じていました。ひとつは「労使見解」、もうひとつは「グループ討議」。1975年にできた労使見解には、僕にとって当たり前すぎることが書かれているような気がしました。また、自社の経営指針を考えるのにグループ討議がどれほど必要なのか、疑問に感じていました。
今はもちろん考えを改めました。このようなやり方になっているのには、やはり訳がある。経営指針を成文化するためには、この方法が合理的なのだとわかってきました。
同友会の経営指針成文化運動は、さまざまな試行錯誤を経て、今の形に至ったのではないかと思います。その原点となっているのが労使見解。歴史を学ぶと必ず見えてくるものがあります。なぜ、今このようなことになっているのかということ。
現在の自社がこのような姿になっているのは、創業時から現在までの歴史の積み重ねによるものです。無数の失敗と成功。創業時から現在まで、さまざまな人の努力と怠惰(?)の結果、今の自社がある。それを肯定的に捉え直すことから、経営指針づくりが始まるのだと思います。
昨日の基調報告は(株)るーぶる代表取締役、林由香氏と(有)山城屋生花店代表取締役、山城栄太郎氏の2名でした。創業3年目の会社ともうすぐ100年という会社。歴史という点では対照的に思える両社の事例報告。ですが、共通項は自社の創業の精神をしっかり記憶しているという点。
創業者の場合は言うまでもないことですが、2代目、3代目となると、創業の精神が曖昧になってきます。記録に残しておかないとわからなくなる。創業時のことがわからなくなる、自社の歴史がぼやけてしまうと、今行っている活動の意味がよくわからないものになってしまうことがある。その結果、「なぜこの仕事をしているのか?」という根本的な疑問に対して、答えることのできない経営者になってしまう可能性があります。
若手社員から「なぜこれをやるんですか?」という質問を受けることがあるものです。そのとき、ちゃんと納得できる回答をすることが上司には求められます。質問者は必ずしも合理的な回答ばかり求めているわけではありません。むしろ、歴史的、伝統的な回答のほうにこそ、共感を覚えるのではないでしょうか。
たとえば、仕事納めの日には神棚に向かって、二礼二拍手一礼を行います。強制ではありませんが、多くの若手社員が参加しています。みんな「しきたり」というものが好きなのではなかろうか? そう思うことがあります。我が家では、我が社ではこういうしきたりになっている。それに自分を同化させることで、自分の居場所、落ち着き場所が確保されると同時に、自分の属する組織へのエンゲージメントが高まっていく。
経営指針づくりでは、自社の歴史と自分の歩みを記入するシートが使われています。僕はこのシートに加え、自分たちの業界の歴史を調べ、「なぜ印刷業が誕生したのか」「自分たちの仕事にはどんな価値があるのか」について解明しようと試みました。これは、自社の創業時の記録がほとんど残っていないため、苦肉の策として行ったことでした。
しかし、僕にとっては効果絶大でしたね。僕は印刷業に対して誇りと自信を持つようになり、さらに明るい展望も描けるようになりました。さらに、出版業はグーテンベルク以降に成立した産業です。正確には、書物に奥付を入れた、ヨハン・フストとペーター・シェーファーが出版業の創始者といってよいのではなかろうか?
我が社のように創業時のことがわからなくなった会社や十分語るだけの社歴のない会社の場合は、業界の歴史というものが大きな意味を持つことになります。これを積極的に活用しない手はありません。
歴史認識を持たない人は、今起こっている現象にばかり目を奪われてしまいます。歴史を知れば、現象の理由を考えることができ、これから起こることについてもイメージできるようになっていく。経営者にとって最低限身につけなければならない視点といえるでしょう。
また、自社の社員が歴史的視点を持つようになったら、どんなことが起こるでしょう? 自社を経営的視点から捉えることができるようになっていくのではないかと思います。時間軸から物事を考えることができるようになっていく。僕はそうした社内教育が不可欠ではないかと考えています。印刷の歴史を伝えるようにしていますし、できれば写真の歴史、出版の歴史、広告の歴史についても伝えていきたいと思います。
これに加え、経営指針成文化に取り組む人は、中小企業家同友会の歴史も押さえておくべきでしょうね。よりよい労使関係づくりの原点がここにはある。経営指針成文化の普及活動に、やはり労使見解は欠かせないものなのです。
