
おはようございます。
我が家の庭の中で勢力を拡大しつつある柳の木。枝が隣のクナウハウスの屋根にまで伸び、風が吹くと音を立てていた。もはや見過ごすことはできない。というわけで、数日前、充電式の高枝ガーデンポールソーという電動ノコギリのような商品を購入した。雨が降る前に作業を終えねばならない。商品イメージ写真では、女性が笑顔で枝を切り落としているという図になっている。だが、実際にやってみるとどうがんばっても笑顔になれるような作業ではない。真剣に作業に集中しなければ危険であるように感じられた。しかも、次第に腕がだるくなってくる。作業は休憩をはさんで午後まで続く。途中、2回着替えた。久しぶりに汗だくになっていた。シャワーを浴びてからパソコンに向かったが、原稿は400字くらいしか進まなかった。
第三次産業とは
言うまでもないことですが、僕は林業にはまったく向いていない人間です。というより、第一次産業全般、まったく向かない。第二次産業にも実は向いていません。我が社は製造業に分類されますが、僕自身は第三次産業以外できることはほとんどない。そんな人間です。印刷業は昔から2.5次産業といわれています。この「プラス0.5」に僕は希望を見いだしてきました。ソーゴー印刷に入社してから19年の間に、我が社は2.5から2.8くらいに変わってきたのではないかと思います。
第一次産業も第二次産業も、目に見える価値を生み出しています。世の中になくてはならない仕事。第三次産業はどうなのだろう? 僕らは経営理念にあるように「価値ある情報」を生み出そうとしています。それは世の中のためになる仕事ではあるが、なくなったからといってすぐに人々の暮らしが脅かされるというものではありません。たとえば、雑誌や書籍がなくなっても暮らしていくことはできる。
衣食住が足りて、その次に求められる商品を僕らは提供しているわけです。それだけに、懸命に努力して価値を高めなければ、人々から求められるようにはならないのではないか? 僕はそんなふうに考えることがあります。
雑誌の仕事をしていると、「取材で道内あちこちを訪ね歩いて楽しそう……」と思われることが多い。それは事実ですが、それゆえに努力レベルを高めないと、第一次、第二次産業に従事している人たちと同等以上の価値を生み出すことはできない。その事実に気づいている人は、仕事以外の時間を使って自分を高めようと何かしらの活動をしているものです。
働き方改革を曲解すると、「自分を高める活動まで業務の一部である」と考える人が出てきてしまいます。これが会社全体に広まると、成長意欲がある人ほど成長の機会が失われることになりかねません。自分を高める場を整えたり、個人の成長をバックアップするような制度を用意する。そうした仕組みづくりが求められる。我が社はまだうまく機能しているとはいえない状態。それでも、気づいて行動を起こしている人が何人かはいるはずです。
世の中が急速に変化している今日、20年、30年前の僕の経験はあまり役に立つとは言えそうにありません。やる気のある若手の人たちが本当は何を望んでいるのか? じっくり耳を傾ける必要がありそうです。
「好き」を超越する
大型の台風が近づいてきてます。台風の進路となることの多い西日本に住んでいる人は大変だろうな……。いつもそう思ってしまいます。比較的自然災害の少ない北海道に移住したいとは思わないのだろうか? 勝手にそう考えるのですが、たぶん西日本の人たちは「熊が出没する北海道によく住んでいられるな」と思っているに違いありません。
台風も熊も人間にとっては脅威。熊の生存領域を脅かした人間に問題があるという話は脇に置いておくとして、危険を感じるという点では台風と変わりありません。
ここで言いたいのは、どこに住んでいても相応の苦労はあるということ。地球上を探せば、きっと住みやすい場所があるに違いありません。だが、どんなに住みやすい場所であっても、必ず苦労はついてまわるし、暮らしにくいと思う場面がきっとあるはずです。少なくとも、治安の点で安心度の高い日本に生まれたことを幸運と考えるべきでしょう。
同じように、どの業界で働いても、どの会社に勤めても、たとえフリーランスになったとしても、必ず苦労はついてまわるわけです。会社に勤めていると、比較的不平不満を言いやすい。フリーと比べたとき、勤め人であるメリットはそのあたりにあるでしょうか。不平不満は同僚と話すと組織を弱体化させますが、上司や社長に話すと組織強化につながることがあります。話す相手を選び、話し方を建設的なものにする。これが勤め人の常識ですね。
これはどの会社にも当てはまると思うのですが、社内で活躍する人には大きく3つのタイプがあるのではないかと思います。
ひとつは「自社の仕事や商品が好き」だと思っている人。よりよい仕事をするために「仕事力を磨こう」と思うことができる。入社試験の面接では「しゅんやスロウが好き」と答える人が多いわけですが、入社後もその気持ちを持ち続けることができれば、仕事で活躍する可能性は比較的高い。
次のパターンは「会社や同僚が好き」というタイプの人。だから「がんばろう」という気持ちになれる。仕事、商品、会社、同僚、すべて好きという人が最強なのかもしれません。
最後は「自分にはここしかない」と思っている人。これは「仕方がない」という消極的姿勢ではないのです。退路を断って、自分の生きていく場所はここなのだと覚悟を決めているという人。実は会社にはこういう人が一番求められます。「好き」という感情を超越している。だからブレることがない。どちらかというと、若手よりも40代以降の人にこのタイプが多い。
もし、20代のうちに好き嫌いに惑わされず、「ここしかない」と思って一点に集中して自分を高めることができたら、どんな人物になるのでしょう? 僕自身は二転三転しましたが、我が社の中からそういう生き方を選択する人が増えていくことを願っています。