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第36話 消費期限と仕事

第36話 消費期限と仕事

おはようございます。
 ほぼ一日原稿執筆。ペースは上がらないが、6000字の原稿を仕上げた。担当者にメールで送る。他に、帯広柏葉高校同窓会報の校正作業等。全体的に仕事が遅れ気味になっている。こういうときに起こりがちなことがある。夕方、冷蔵庫を開けて確認してみた。やっぱり。期限切れの食品がいくつもあった。野菜も一部が傷みかけていた。ともかく、肉、野菜を炒め、豆板醤と味噌で味をつける。期限切れの目刺し、豆腐も食べた。

食べられるかどうか?

僕は日本の食品廃棄率の高さに心を痛めているので、自分ではロスを限りなくゼロにしたいと常々考えています。ところが、完全にゼロにすることができない。使い切れない分を冷蔵庫に残し、そのまま忘れてしまうということが起こるのです。
 我が家の食品廃棄率は、抱えている仕事の状態と相関関係があるのではないか? あるとき、そんな仮説が頭に浮かびました。仕事が遅れ気味になると、冷蔵庫の中に消費期限切れの食品が増える……。僕は消費期限(または賞味期限)のことを「締め切り」と呼ぶことがあります。「締め切りの過ぎた食品」が我が家の中で増えているときは、ほぼ間違いなく仕事も遅れ気味になっている。または、オーバーワークになっている状態といってよさそうです。
 僕は昔から消費期限を過ぎた食品を精力的に食べるようにしています。ただし、五感を働かせないと危険でしょうね。まず目で確かめ、においを嗅ぎ、触ってみたり、ちょっとだけ食べてみたりする。そうすると、案外大丈夫なものが多い。
 昨日は消費期限から5日たった目刺しを焼いて食べました。当然ながら、肉や魚は細心の注意を払って判断します。僕も、このときばかりは眼光が鋭い(たぶん)。第六感が働いて、大丈夫そうに見えてもあきらめることがあります。こればかりは、長年積み重ねた経験に基づく直感というほかありません。
 これまで腐ったものやカビの生えたものを何度も食べてきました。若い頃は無知であった上、もったいないという気持ちが強すぎた。かなり怪しいものを食べてきたと思います。そんな経験から、「ここから先は危険」というデッドラインがわかるようになったのです。
 海外旅行では国や地域によって危険を感じるところがあります。そこでも、安全か危険か、ある程度は判断できるようになっています。ただし、旅先での冒険は禁物ですね。無事帰宅することを第一に考えねばなりません。過去、オイスターバーで微妙な味の生牡蠣を山ほど食べたことがありましたが、今なら敬遠するでしょう。
 食品が傷んでいるかどうか、食べられるか食べられないか? これを自分で判断することのできない人が増えている……。先日、取材の中でそんな話題に及んだことがありました。パッケージに書かれている消費期限(または賞味期限)を信じ込んでいる人が多いというのです。まあ、確かに消費期限内に食べるほうが安心度が高いわけですが、人間としてそれでよいのか、と思うことがありますね。取材した人は「バーチャルな世界で生きている人」と称していました。
 たとえ消費期限内であったとしても、保存状態が悪ければ痛んでしまうケースもあるでしょう。逆に冷蔵庫のチルド室に入れてあった目刺しは期限が過ぎても傷んでいなかった。消費期限の日付は目安にはなっても、決定的な判断材料にはならない。人間としてのリスク回避能力(感性)とその食べ物に対する知識(理性)。さらには、自分の食欲や執着度(肉体)。感性、理性、肉体のバランスの中で判断すべきではないかと思います。

キムチ的な仕事

仕事が遅れ気味になったり、オーバーワークな状態が続くと、僕の場合は食べ物に対する執着度が高まってきます。食事の時間がかけがえのないもののように思えてくる。しかし、一方では料理をするだけの十分な時間がない。つい、簡単なもので済ませてしまう。その結果、どういうことになるか? 手間のかかる食材が冷蔵庫内で放置される……という、非常に残念なことになりやすい。これが我が家の食品廃棄率を高めることにつながっていると思われるのです。
 ちょっとハードな状態になっていると思ったなら、とにかく冷凍することですね。我が家には冷蔵庫2台と冷凍庫1台がありますが、冷凍庫のほうが稼働率が高い。これは慢性的に仕事が遅れ気味になっていることと関係あるかもしれません。
 ただし、仕事の中には「キムチ的な案件」というものもあるような気がします。キムチ的とはどういうことか? それは、ちょっと期限が過ぎているほうがおいしいと感じられるもののこと。
 みんな、キムチをどの段階で食べているのでしょう? 僕は購入してからしばらく冷蔵庫内で放置しておきます。消費期限を過ぎたあたりから、酸味が程よくなってくる。期限内では白菜の浅漬けのような感じがして、キムチ感を十分感じ取ることができないのです。納豆にもそのようなところがあって、作りたてでもおいしいのですが、白いつぶつぶが浮かんでからのほうがおいしいという人もいます。消費期限を頭から信じ込んでいる人は、こういう楽しみ方はきっとできないに違いありません。
 発酵食品はおもしろい。そういう結論に達するわけですが、どこに食べ時のピークがあるのかは人それぞれ。食べ時のピークと仕事に取りかかるタイミング。両者には何か共通するものを感じます。
 ただ、こんなことを言うと、僕の怠け癖を正当化しているように誤解されてしまいそうです。たとえキムチ的な仕事であったとしても、仕事は若干早めに進めていかねばなりませんね。フードロスと同じくらい怖いのが仕事を失うこと。今日は酸味十分なキムチを味わうような感覚で、仕事に取りかかれねばなりません。まだ夏ではありますが、キムチチゲをつくってみたくなりました。

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