
おはようございます。
昨日はハードな休日だった。午前中は中小企業家同友会とかち支部農業経営部会の収穫感謝祭へ。その足で次の食事会のための買い出し。またしても肉と飲み物を大量購入。自宅の冷凍庫がパンパンになった。ひと息つく暇もなく、車と車庫の掃除をすることとなった。しばらく見て見ぬフリをしていたため、ひどく汚れている。途中からマスクをしたが、すでに喉は痛く、鼻の中は真っ黒になっていた。掃除終了後も片付け等を行う。すっかり夕方になっていた。
車をきれいにしている人は事故を起こさない
ふだんからマメにきれいにしていればこのようなことはないのですが、それができないのが僕の大きな弱点のひとつ。たまに、半日費やして3S的な活動をする。これは正しくは3Sとは言えない。習慣化できてないというのがいけない。
今朝、3Sについて考えていて、思い出したことがありました。
割れ窓理論。過去に受けた研修の中で、何度が登場したはず。この言葉は3S活動(整理、整頓、清掃)と関係が深いに違いありません。
割れ窓理論とは、軽微な犯罪を徹底的に取り締まることで、凶悪犯罪を含む多くの犯罪を抑止できるとする理論。「割れ窓を放置しておくと、誰もその場所に関心を払っていないというサインとなり、犯罪を引き起こしやすい環境になる」というのです。最初はゴミのポイ捨てから始まり、地域住民のモラルが低下。やがて凶悪犯罪にまで発展する……。
割れ窓理論を応用した治安対策としては、ニューヨークの地下鉄の落書きがよく挙げられます。1994年、ニューヨーク市長に当選したルドルフ・ジュリアーニは、「家族連れにも安心な街にする」と宣言。落書きや未成年者の喫煙といった軽犯罪を徹底的に取り締まったそうです。就任後5年間で殺人が67.5%、強盗が54.2%減少したとのこと。
僕は1994年か95年、仕事でニューヨークを2度訪れました。その頃はまだ治安対策が始まったばかりだったんですね。わざわざ夜中に街中をひとりで歩いたりしましたが、無謀だったかもしれません。
それはともかく、割れ窓理論はその後、企業経営の場にも広がっていくことになりました。ただ、社内で「割れ窓理論」という言葉を使うことはほとんどないはずです。割れ窓理論の説明には犯罪対策の説明をせねばなりませんから、下手な説明をすると社員を犯罪者扱いするのか……といった話になってしまうかもしれません。
まあ、そんな極端な誤解はないにせよ、社内では理屈っぽい話は避けるほうがよさそうです。わが社の場合、M氏(中堅幹部のほうのM氏)が的確な伝え方をしてくれました。もう10年くらい前のことだったと思います。
「車をきれいにしている人は事故を起こさない」
一概にそうとは言い切れない面もあるでしょうが、かなり説得力のある言葉です。自分の机の上、部屋の中と同じように、車の中も自分の内面を反映しているに違いない。そう考えると、車の中が汚れていると、心の中にもザワザワしたものがあって、事故を引き起こしやすくなる。事故にはならないとしても、運転が荒くなったりする。思い当たる経験があります。
心の割れ窓に気づく
フォトグラファーの場合は、カメラをきれいにしておかないと、いざというときに故障することがあります。前にも書きましたが、僕の場合はストロボの接点不良で、肝心のときにストロボが光らない、ということが何度かありました。カメラの裏蓋が勝手に開いてしまう……という恐ろしいアクシデントもありましたね。感光してしまいますから、撮影の苦労が台無しです。一時期、パーマセルテープで裏蓋を固定して撮っていました。これも、きっと日頃の手入れの問題だったのだと思います。
印刷工場では、僕ら以上にシビアな手入れが求められるでしょう。印刷機は1台数千万しますから、いい加減に扱うと大変なことになってしまいます。故障だけではなく、事故の危険もある。ですから、カメラその他の機材以上に現場の人たちは慎重に点検、整備を行っているに違いありません。
機材や設備もそうですが、経営者や経営幹部の人たちが考えるべきことは、人々の心の中にある割れ窓の存在に気づくことでしょう。まずは、自分の心の中にある割れ窓。窓が割れていたら、速やかに取り替えなければなりません。本当は強化ガラスになっていればよいのですが、人の心の中にある窓は割れやすいもの。そこから、少しずつ悪い方向へ流されていってしまうことがあるものです。
周囲の誰かの割れ窓に気づくこともあります。いち早く気づいて、代わりの窓を差し出してあげる。これは上司やリーダーの役割といえるかもしれません。本当は自分で割れ窓を取り替えるべきなのですが、そうした自立した人ばかりではありません。社内にはガラス屋さんが必要なのです。
さらにいえば、そもそも窓が割れないように注意を払う、関心を持つことが大切でしょう。窓は突風で割れることもあれば、車が石をはねて割れることもある。故意に割られたのではなくても、放置しておくとそのうち割れ窓だらけになる。強化ガラスにするのが無理なのであれば、防風林を植えたり、舗装して石が飛ばないようにする必要もあるでしょう。
そういえば、2000年代の一時期、我が社で製品不良が立て続けに起こったことがありました。これは機械の故障ではなかったはず。たぶん、心の中に割れ窓があって、それが増えていったことで引き起こされた事故だったのでしょう。そうした現象はいつの間にか周囲に広がってしまうもの。気をつけなければなりません。
3S活動、あるいは割れ窓理論に基づく活動というものは、職場環境整備全般を指すのだと、僕は理解しています。ただ、その入口となる整理、整頓、清掃は、僕にとっては超苦手分野。習慣化を目指さなければなりません。