おはようございます。
経営指針の作成に全力を……と思いながらも、午前中は別な仕事に専念する。ずっとパソコンを睨み続けていたためか、眼精疲労が激しい。それでもちょっとした達成感を覚えた。本当はまだ何も達成していないのだが。11時過ぎからは経営指針。通常のペース。午後2時、中小企業家同友会とかち支部事務所。第4回「人を生かす経営」推進セミナーにWEB会議で参加する。報告者は広島同友会会員で(株)広島精機代表取締役社長の柳原邦典氏。「人生と仕事がリンクし、社員が将来をイメージできる企業づくりとは?」というテーマ。共同求人委員会の企画だが、話の中心部分は「人を生かす経営」に基づいた経営指針であったように感じた。報告は1時間あまり。後半はグループ討議の時間だったが、WEB参加した僕らはここで散会となった。参加者は事務局を含め6名。札幌へ行くと1日仕事となるが、WEB会議システムを使えば、要する時間は2時間程度。こうした参加スタイルが今後増えていくに違いない。帰宅後、2時間ほど仕事をする。
ビジョンの視覚表現
柳原氏の発表の中で一番印象的だったのは、10年ビジョンでした。一緒に聴いていたM氏も同じような感想。詳細なイラストが作成されていて、絵の細部に至るまで説明可能なのだそうです。ビジョンには「構想」「展望」の他に、「視覚」「映像」といった意味もあります。つまり、言葉だけではなく、視覚表現されていることが望ましい。中同協の「経営指針成文化と実践の手引き」の中にも、事例としてイラストを使った10年ビジョンが掲載されています。
我が社にもこうしたものが必要だ……。そう思いながら、それがまだできていません。イラストが得意、というよりプロレベルの社員が何人もいるというのに。イラスト力はさておき、何より重要なのがビジョンを頭の中に描き、それを社員みんなで共有することができるかどうかでしょう。誰かひとりの頭の中だけにあるビジョンを会社のビジョンにするわけにはいきません。
自社の経営ビジョンを言葉で表すなら、一人ひとりにビジョンと関連のある言葉を出してもらい、それをホワイトボードや紙片に記入し、グルーピングを行っていけばよい。取捨選択し、類似のアイデアをまとめていく。そうすると、多くの人の思い描くビジョンに、少し近づいたような気持ちになります。
我が社も、そのようにして経営ビジョンをつくってきました。それはそれで間違いではないと思うのですが、詳細なイラストによる10年ビジョンには圧倒的な力を感じます。
言葉によるビジョンの場合は、一人ひとりの頭の中で「言葉→映像」という変換作業が行われることになります。ところが、誰もが同じように映像化しているわけではない。うまく描けない人もいれば、自分の都合のよい部分だけ映像化する人もいるでしょう。そうなると、「ビジョンが共有できない」という状況に至る。そうした誤解を避けようと、ビジョンに対する解説文を増やすと、今度はくどくなってしまい、考えたり、イメージするのが面倒だ、と思う人が現れるかもしれません。
そんなわけで、自社の経営ビジョンをイラスト等を使って視覚化することは、非常に意味ある表現方法だと思います。我が社としてもしっかり取り組まねばならないと再認識しました。
我が社では「ビジュアリゼーション」と呼んでいますが、ビジョンを視覚化する試みは部署単位ではかつて行われたことがありました。数名規模であれば、2、3日でできそうな気がします。僕は自分個人のビジュアリゼーションを作成したこともあります。これは半日あればできる。ただ、会社全体となると、かなりの時間を要することになるのではないか? そもそも、会社全体のコミュニケーションの質と量が問われるのではないかと思います。まずはやってみることですね。
バックキャスティング
柳原氏の報告の中では、「バックキャスティング」という初めて聴く言葉が出てきました。僕が不勉強なだけで、みんな知っている言葉なのかな? 意味はすぐに理解しました。辞書には「未来のある時点に目標を設定しておき、そこから振り返って現在すべきことを考える方法」とあります。バックキャスティングの反対はフォアキャスティング。
これは僕らが「ビジョンアプローチ」と呼んでいるものと同じですね。ビジョンが実現した状態から、中間目標を設定したり、課題を抽出し計画を立てていく。フォアキャスティングに対応する言葉は「積み上げ方式」。ビジョンアプローチと積み上げ方式のほうが僕にはわかりやすい。バックキャスティングのほうが今風の言葉なのでしょうか?
どのような言葉を使うにしろ、僕らはビジョンと現実とのギャップに悩み、苦しみ、何とかしようとして経営方針、経営計画を立てるわけです。もちろん、バックキャスティングをイメージして、目標、方針、計画を立てる。ところが、思い通りにいかなかったり、経営環境が急変して大幅な変更を余儀なくされることがあります。気づくと、自社のビジョンがみるみる遠のいて、現状の差し迫った問題にどう対処するかに多くのエネルギーが費やされることになる……。
それでも、10年ビジョンはしっかり掲げるべきですね。できれば、超長期ビジョンも必要。我が社は究極的にどこを目指しているのか? それを常日頃語り合っていれば、自然にみんなの波長が揃っていき、10年ビジョンも超長期ビジョンも共通のものが思い描けるようになっていくはず。僕の考えはちょっと素朴すぎるところがありますが、大きく外れているわけではないでしょう。
「100%自分の思い通りにしよう」などと考えている人は我が社にはひとりもいません。完全に一致することはありませんが、自分の実現したいことと会社の実現すべきことが重なり合っている。そこに我が社で働く喜びがある。ですから、ビジョンの共有は可能であり、コミュニケーションの質と量がすべてではないか、と僕は考えています。