おはようございます。
朝6時45分発のスーパーとかちで札幌へ。10時半、北海道中小企業家同友会事務所。第7回「人を生かす経営」推進連携会議。11時45分、TKP札幌ビジネスセンターへ。昼から北海道中小企業家同友会理事会。3時終了。この日最後の目的地は北海学園大学。F教授の取材。4時から約2時間、たっぷり話を伺った。これをどのようにまとめるか。まだ考えはまとまっていない。7時40分発のスーパーおおぞらで帯広へ。10時半頃帰宅。
理念とビジョン
経営指針を成文化する際、同友会では「経営理念」「10年ビジョン」「経営方針」「経営計画」の4本柱で考えるようになっています。変わった考えの持ち主でない限り、経営指針成文化の順番もこの通りであることが多い。
ただ、経営者の中にはビジョンタイプの人もけっこういるはずです。僕の見るところ、創業者の場合はビジョンが先に来る傾向にあるような気がします。強烈なビジョンがあるから起業するわけです。ですから、経営指針研究会では型通りに「経営理念検討シート」から記入を始めたとしても、頭の中には強烈なビジョンがあって、そのイメージをベースに経営理念がまとめられていくことになるのでしょう。
このあたり、創業者と後継者では若干の違いがあります。後継者は理念タイプであることが多い。「なぜ自分は継いだのか?」という問いに対する明確な答を求めているからに他なりません。ビジョンを求めるよりも、まず自分の立ち位置を明らかにしたいという欲求が強い。そこを固めてから、ビジョンを思い描く。立ち位置が固まらないうちは、自由にビジョンを描くことができないような気がします。
ひとりの人間にせよ、会社組織にせよ、「思い描いていた通りになった」という部分と「どうしてこんなことになったのだろう」という部分とがあるものです。
経営または人生に明確な指針があるかどうか? ここが大きなポイントであり、僕は同友会の中では「経営指針成文化と実践」を普及させるという立場で活動しています。
しかし、仮に経営指針を成文化し、人生の指針をも成文化させ、それを実践したとしても、「どうしてこんなことになったのだろう」という部分をゼロにすることは不可能でしょう。企業経営にも人生にも不確定な要素があり、それがプラスにもマイナスにも作用する。ですから、「どうして~」という、自分の自由にならない現象や出来事を無条件で受け入れる、またはプラスに解釈することが大切なのではないかと思います。
これは「成り行きまかせでよい」という消極的なものではなく、経営指針または人生指針を明確にした上で、起こった現象を素直に受け止めたり、プラスに解釈するということ。たいていの人には、好ましい現象も困った現象も両方やってくる。指針がなければ、現象に振り回され、とんでもないところへ向かってしまうことがあるものです。指針を明確にしていれば、自分のイメージ通りというわけにはいかなくとも、自分らしい人生、自社らしい企業経営となっていくに違いありません。
脚本の書き換え
一番怖いのは、思い通りにならないからといって、経営指針をつくるのは無意味だと思い込んでしまうことでしょう。そうなると、企業経営も人生も行き当たりばったりになる。無目的な生き方になり、お金を稼ぐことや生活費を得ることが働く目的にすり替わってしまいます。
どんなに真面目に働いても、「人の役に立とう」という純粋な気持ちで仕事をしても、困った出来事ややっかいな現実というものが目の前に突きつけられることがある。人生の中では何度かそれがやってきますし、小さなものでは日常的に出合うものともいえるでしょう。出合うのは当たり前だと捉えねばなりませんし、そこには「どんな意味があるのだろう?」と考えることも重要になってきます。
どんな意味があるのかについて考え続けていくと、「自分はもともとそのような人生脚本を持っているのではないか?」という考えに至ります。自分が自覚していないだけで、人生脚本はすでに自分の潜在意識の中に存在する。この脚本が気に入らないのであれば、書き換えるしかありません。実際、僕も人生脚本の書き換えを試みたことがあります。今もちょっとずつ書き換えを行っています。
企業経営にも同じことが当てはまると考えてよいのではないかと思います。ちゃんとした経営理念や経営ビジョンを持っているにもかかわらず、目の前に起こる出来事がどうにもプラスの方向へ向かっているようには思えない……。そんな場合は自社の持つ脚本が「敗者の脚本」になっている可能性がある。会社組織の場合はさまざまな人の思惑が複雑に絡み合っているため、書き換えは容易ではないような気がします。けれども、まずは書き換えにチャレンジし、現実に対する解釈を変え、計画や行動を変えていく必要があるでしょう。
脚本を変えるとはどういうことなのか?
たとえば、何かチャンスがやってきたときに「やってみたい」という前向きな気持ちと「できるだろうか」という不安とが交差し、心が揺れ動くものです。これに対する答は「やってみなければわからない」なのですが、不安感が勝った場合は「自分にはできない」「無理に違いない」と思い込んでしまう。そうしてチャンスは他者(または他社)へと逃げていく。いろんなパターンがあるとは思いますが、これが「敗者の脚本」の一例でしょう。
常に何かある度に「できない」「無理だ」という思考にとらわれる。これではうまくいくはずはありません。打破するには、決断する、宣言することが有効ではないかと思います。「やってみたい」という気持ちがあるということは、「できる可能性がある」ということに他なりません。可能性ゼロなら無意味ですが、数%でも可能性があるなら、チャンスに懸ける価値は十分にある。そういう考え人が数多く集まった会社が「勝者の脚本」を持った会社と言えるではないでしょうか。