おはようございます。
朝はプレゼン資料の編集。過去に行った講演内容を短くまとめたら、程よいボリューム感となった。出社後、出力する。10時、首都圏から大学生6名が来社。我が社の経営理念、事業に対する基本的考え方、事業の方向性について語る。与えられた時間は30分。5分ほどオーバーしたと思うが、50数枚のスライドを使って話し切った。僕は話し終えたら仕事に戻ろうと思っていたのだが、学生の聴く姿勢が素晴らしい。何かあると思って、後半のディスカッションにも参加。我が社のY氏が進行役。営業部のK氏、広告マーケティング部のM氏も加わる。学生の質問、意見は的を射ているものばかりだった。深い部分を突いた質問に対し、僕は超真面目に自分の考えを述べた。
午後は大変なことになった。もともとやるべき仕事に加え、緊急の仕事が重なった。自宅で撮影。写真セレクト。編集者へデータ送信。自社広告のデザイン(これがイレギュラーな仕事)、再び写真セレクト&データ送信。次世代経営会議の準備。5時過ぎ出社。5時半、第3回次世代経営会議。僕はもう抜け殻のような状態になっていた。慣れないデザイン作業で力を使い果たしていたのだ。会議は2時間半に及んだ。8時過ぎ帰宅。最後の仕事、水出しコーヒーの作成業務に入る。……と思ったら、水出しコーヒー用の豆がない。代わりに別な深煎りの豆を使ったが、果たしてうまくいくだろうか?
仕事人生を真剣に考える学生
昨日一番の盛り上がりは、来社した大学生たちと話ができたことでした。こういう仕事観、人生観を持っている学生がいるのか……。
僕は失礼ながら、「きっと僕のプレゼン内容は十分伝わらないに違いない」と考えていました。もちろんみんな十分賢いので、理解はしてもらえるはず。共感も得られるだろう。だが、それは知識・教養レベルに留まるもの……と勝手に想像していたのでした。
僕の浅はかな考えが間違っていたことに気づいたのは、話し始めて10分くらいたってからのことでした。妙に話しやすいものを感じたのです。企業経営者に向かって話しているのと同じような感覚で話ができる。同じ土俵にいるような雰囲気。録音か録画しておけばよかった。できれば、90分で話したかった……という内容。
僕の話はともかく、学生にとって超売り手市場の中でちゃんと自分を見失わず、仕事について真剣に考えている人たちがいることに、僕は頼もしさと好ましさを感じていました。仕事というものは自分を育ててくれるものであり、自分の人生に意味を与えてくれるもの。したがって、外形的な損得や見栄えのよさで選ぶべきものではない、というのが僕の考えです。
本当にやりたい、これしかないと思えるものに自分の全人生を懸けるべきではないか? それがまだ見つかっていないという人は、自分の直感を頼りに、見つけることのできそうな場に自分の身を置くべきではなかろうか? 実際、そのような考えから我が社に入社し、何かを見つけるという人もいます。見つけるかどうかは本人の問題ですが、見つけられるような場所と環境を整えるのは企業の責任。それが本当の意味での「働き方改革」だと思っています。そこがまだ十分整っていないところに、我が社の場合、大きな課題があると感じています。
バランスに対するひとつの考え方
「自分のやりたいことと経済性とのバランスについて、どのように考えているのか?」といった鋭い質問がありました。これはスロウ創刊前から考え続けている問題。考え続けているが、まだ明確な解決策が見いだし切れていない。もちろん、明確な答を持っている企業も世の中にはたくさんあるでしょう。しかし、我が社は地域出版という道を選んだため、答を探し出すのは容易ではありません。
経済的バランスをとるのが困難な事業。それがたまたま自分たちのやりたいことだった……。そういうことって、人生にも企業にも十分起こりうるのではないかと思います。事実、我が社にはそれが起こりました。事業化が困難だから、それは趣味的な活動なのだ……と考えるべきではありません。本気で取り組み続けることで、やがてバランスはとれてくる。それは一種の信仰に近いところがあります。信じて、力を入れ続けることで、想定していなかったことが起こるようになってくる。
僕は本気度の問題ではないかと考えています。ほとんどの人は3年続けてみてダメだったら撤退すべき……といった具合に考えます。けれども、本当に自分がやりたいことで、本当に世の中に必要なものだ、と思っていることを3年でやめられるのか? 僕はそうは思わないんですね。フリーマガジンの月刊しゅんもあきらめず続けて、5年目頃から利益が出るようになった。スロウの場合は周辺商品によって経済的バランスが少しずつとれるようになってきた。
人生においてもまったく同じことが言えるのだと僕は考えています。自分の人生なのだから、とことん自分の好きなことに自分の時間を捧げればよいではないか。働き方改革を浅いレベルで考えてしまうと、仕事を定時に終えて、あとはプライベートを充実させる……ということになるでしょう。会社としては「時短」と「働きやすい制度や環境の整備」に力を入れていくこととなります。この流れに逆らうことはできませんし、逆行させるつもりもまったくありません。
しかし、自分の人生は自分で切り拓くものですから、「どうすれば意味ある仕事人生にできるのか」について、一人ひとり真剣に考えねばなりません。そうすると、会社員であっても経営者的思考が求められることになるでしょう。自分の仕事人生をしっかり経営することができるか? ここが問われています。
働きやすい環境の中でゆるい働き方をする人と自己実現に向かって努力する人との間で二極化が進んでいく。この二極化が決定的な差とならないよう、人材育成に努めなければならない。企業に与えられている最大の課題はここにあるような気がします。