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スロウな旅10 「継ぎたいものを探す旅」

スロウな旅10 「継ぎたいものを探す旅」

おはようございます。
 午前中は入稿準備に全力を注ぐ。一歩手前というところまでたどり着く。昼近くなってから、写真選びの作業。これももう少しというところで時間切れ。午後1時出発。目的地は下川。途中でロケハン。午後5時15分到着。我が社の旅チームと合流。スロウ15周年記念「雑誌編集者と訪ねる本の世界 スロウな旅」2日目を終えようとしていた。僕は夕食から参加。下川町の料理に加え、僕もいくつかのつまみとお酒を持ち込んだ。水出しコーヒーも。ツアー参加者の方々と楽しい時間を過ごす。

「探す」と「見いだす」

今回の旅のテーマは「継ぎたいものを探す旅」。スロウ60号の特集テーマと連動しています。それにしてもずいぶん難解なテーマです。そういえば、60号の特集タイトルは「継ぎたいものは何ですか?」でした。やはり、僕には難解に思えます。継ぎたいものを探すとは、どういうことなのか? 僕にはまだ理解できていません。探すものではないような気がする。このあたり、個人差がありそうですね。僕の場合は「見いだすもの」。すでに継いでしまっているということに気づくことが第一だと考えています。
 それでも「探す」というところに、今回の旅の趣旨がありそうです。僕も頭では「見いだすもの」と考えているのですが、それと同時に「探して」もいます。これは撮影行動と非常に近いものがありそうです。
 写真を撮るとき、多くの撮影者は被写体を探しているのではないでしょうか? 僕もやはり探しています。視界に入るものの中から被写体になりそうなものを探している。それから心を落ち着けて、被写体の中から何かを「見いだす」ようにしています。このあたり、人によって撮り方に違いがあるでしょう。あくまでもひとつの方法に過ぎません。僕は探す→見いだすという手順でカメラを向けているのです。
 人生においても、何かを「探す」というプロセスがきっとあるのでしょう。たまたま僕にはなかった。それだけの話なのかもしれません。僕の場合は探すも何も、いきなり写真に出合ってしまいました。高校の写真部に入り、暗室で自分の撮った写真を引き伸ばした瞬間、「自分にはこれしかない」と思い込んだ。思い込み力の強い人は「探す」というプロセスがあっという間に終わってしまうのでしょう。僕には探したという自覚がない。
 風景撮影では、本格的な撮影モードに入ると、やはり探すという時間が非常に短いものとなります。ほとんど無意識的にカメラを向け、あっという間に撮影が完了してしまうこともある。あまりに淡泊な撮り方なので、三脚を使わざるを得ないような撮り方をしていた時期もありました。4×5(大型カメラ)を使うと必然的に三脚を使用することとなる。探すのはあっという間ですが、見いだすことに時間をかけることができるようになります。
 スロウ60号、そして今回の旅のテーマである「継ぎたいもの」というのはどういうことなのでしょうか? そもそも、人には「何かを継ぎたい」という欲求があるのかどうか。たとえば、起業家の人には継ぎたいものがあるのか? 僕はこの問題について何度か考えたことがあります。結論としては「ある」でした。企業の創業者も何かを継いでいる。「一」から起業することはあっても、「ゼロ」から起業することはないと僕は考えています。

求道的姿勢

ここまで書き進んだところで、僕の中にはちょっとした誤解があることに気づきました。スロウ60号にしても、今回の旅企画にしても、「継ぎたいもの」というのは形に見えるものというよりも、「継ぎたい精神」であるに違いない。「探す」という言葉も、僕のイメージする「探す」ではなくて、「求めている」という言葉がそれに近いような気がします。
 そう考えていくと、スロウ60号のテーマも、もしかすると今回の旅も、非常に求道的なものということになりますね。参加者の方々も、人生の意味するところをよく知っていると思われるような顔ぶれ。すでに継いでいるものは何なのかわかっており、実際そのように生きてこられた方々でしょう。その上で、さらに何かを求めている。その求めに幾ばくかでも応えられるとよいのですが……。
 自分が続けてきた仕事に意味と価値を持たせたい。僕にはそのような欲求があります。意味と価値は急に誕生するものではなく、過去とのつながりの中から生み出されるものではないか? ここはうまく説明できないところなのですが、僕はそのように考えています。
 たとえば、ある風景を見て感動するのは「過去の視覚体験」が関係していることが多い。食べ物に感動するときも同様。「過去の味覚体験」ですね。自分の人生の中での体験だけには限りません。自分の遺伝子に組み込まれているような大昔の体験も、そこには関係してくるはず。わけもなく心が動かされる。そんな経験が誰にでもあるに違いありません。
 今、自分の行っている仕事は過去の何かとつながっている。親から継いだものもあれば、職場の大先輩から継いだものもあるでしょう。あるいは実際にあったことのない人物の作品から影響を受けて、創作活動を行っているという人もいるはず。それも、何かを継いでいることになる。
 「自分を高めたい」というよりは、「自分の継いだものを発展させたい」という思いが強まっていくのかもしれません。それは先人の志を継ぎたいということに他なりません。したがって、求道的な姿勢が求められますし、自分が今行っている仕事の中から何かを見いだすことが重要となるでしょう。
 すでに自分の無意識レベルでは、それが何なのかわかっている。しかし、自分はそのことを十分意識しておらず、的外れな活動を行っているということが多い。今回の旅を深読みすれば、そうしたちょっとした人生のズレを修正するような意図があるのかもしれません。
 今日午前中は僕が案内担当です。朝は「何もなさそうなところから何かを見いだす」がテーマ。続いて、旭川の太田写真場さんを案内する予定です。

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