
おはようございます。
午前中は自宅で仕事をする。ある会報のひな形づくりを試みる。これまでインデザインで制作してきたもの。これをワード化できないかと考えた。うまくいけば、会報づくりに携わる会員自ら制作することができるはず。インデザインで作り続ける限り、僕の手から離れることはないだろう。2時間くらいかかって、ようやく形になってきた。だが、インデザインのように美しく仕上げることができるかどうか? 僕にとってワードは手強い。うまくいかなかった場合は一太郎で作成し、ワードに変換してみよう……。
午後2時、同友会事務所で打ち合わせ。3時からは第2期十勝経営者大学の運営会議。4時45分帰宅。北印工組ブロック協議会青年印刷人フォーラムで使用する資料をプリントアウト。自宅のプリンターだと出力に時間がかかる。
「自分でやるほうが」からの脱却
上司や経営者になる人たちは、おそらく次のような内面的葛藤を抱えているのではないかと思います。
「この仕事、自分でやるほうがはるかに速くて簡単だ」。この思いを抑え込みながら、部下に仕事を任せる。おそらく、自分でやったほうが数段上手にできて、速やかに完了するはず。しかし、部下に仕事を任せないまま自分でやり続けると、人は育たず、チームとしての能力も高まらない。もっとうまくできるはずなのに……という気持ちと戦いながらも、仕事を任せ続ける。そうすると、いつの間にか「自分よりもうまくなっていた」といううれしい誤算を経験することになるでしょう。いえ、誤算と言うべきではありませんね。自分よりも才能を持っている人は大勢いる。だから、チャンスが与えられ、辛抱強い上司がいれば、多くの場合、上司よりもいい仕事をするようになっていくものです。
「自分でやるほうがいい」という人は、フリーランスに向いているタイプといえるでしょう。会社を構えるにしても、自分の他にアシスタントを置く程度。しかし、人材育成に対する意識は希薄ですから、アシスタントが長く務めてくれることはないでしょう。永遠にアシスタントのままでいい、という人はほとんどいないはず。
組織として事業活動を行う以上、自分よりも仕事が遅くて、質が低いという人を何とか自分と同等以上の実力にまで、引き上げなければなりません。それを「手取り足取り教える」のか「任せて自由にやらせる」のか。このあたりは上司の人材育成力にかかってくるでしょう。僕の場合は任せ放題というか、野放しにしてしまう傾向があります。ですから、僕には人材育成力はほとんどなく、実際の育成は有能な幹部が行うことになる。この点では、実力のある幹部の存在がありがたいと思っています。
正直に言うと、僕は「自分でやるほうがいい」と考えてしまうタイプなのです。これではいけないと思いながらも、自分以外の人にはできないのではないか……という気持ちを抑えることができない。本当はそんなはずないのですが、そう思ってしまう。それは「やり方を伝える能力が低い」ためかもしれません。もうひとつ考えられる理由は、「自分の思い通りにしたい」という気持ちが強すぎることでしょう。僕はやはり根がスペシャリストなのです。
プロとアマ
DTPの専門知識を持たない人にDTP的な仕事を任せるには、「誰もが慣れ親しんでいるソフトを使って、同じようなものを制作できるようにすること」が目標となります。いやはや、こんなに難しいとは。インデザインならものの数分でできることに、昨日は2時間も費やしてしまいました。
たとえ丸一日費やすことになったとしても、「誰もができる方法」を生み出すことができたなら、その後の恩恵は計り知れないものがあります。今のままでは、僕は永遠に会報担当。しかし、僕の手から離れれば、他の会員はDTPのスキルを身につけ、僕自身は自由に使える時間が増える。双方にメリットが生まれるのです。
世の中がどんどんデジタル化していき、DTPに限らず、同じような状況が劇的に増えているのではないかと思います。
写真や動画はプロとアマとの境界が曖昧になっているジャンルのひとつ。ただ、使えない写真、動画も当然ながら多い。プロがちょっとした技術を伝授すると「使えない」が「使える」に変わる可能性がある。そうするとどうなるか? 社内のプロに頼まなくても、ちょっとした撮影なら自分でできるようになるわけです。2人で取材へ行くところが、自分ひとりで済む。クオリティに問題がなければ、生産性は飛躍的に高まります。
問題は、専門知識のない人に「ちょっとだけ専門的なことを教える」必要があるというところ。このプロとアマの境目にあるような情報や技術をどのようにして伝えていくのか? 会報づくりにおいては「ひな形」と「マニュアル」ですが、写真や文章作成の場合は何が必要なのでしょう? このあたりをうまく仕組み化することができれば、企業やチームは大きく成長していく。
我が社の業務に関して言えば、「質の高い仕事を見る」ことと「自分の将来の成長イメージを持つ」ことが鍵ですね。成長意欲がなければどんなに環境を整えても成長しません。まず、いい仕事とはどういうものかを知ること。次に、自分はどうなりたいのか目標を設定すること。そうすれば、会社から教わるだけではなく、自分で自分を成長させる方法を追い求めるようになっていく。そのような意識に転換した人は、どんどん成長していきますから何も手がかかりません。
自分の仕事の仕方が義務的になってきている、マンネリ化している……。そんな感覚を持っている人は、一度仕事を趣味化してみるとよいのではないかと思います。アマチュアの人は純粋に楽しんでいる。純粋に打ち込むと上達、成長する可能性が高い。プロとアマの実力差がなくなりつつある背景には、そうしたマインドの違いも一因としてあるような気がします。