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仕事観について35 バイアスとアート

仕事観について35 バイアスとアート

おはようございます。
 昨日は旅行と出張の準備。大型(旅行)と小型(出張)のスーツケースが並ぶ。午後は足りないものを買いにホームセンターへ。たぶんこれで準備は万全だろう。夕方、ある会報の原稿依頼等。夜、ガイドブックを見る。すぐ読みたくて電子書籍にしたのだが、旅行ガイドブックは「紙の本」のほうが圧倒的に使いやすいようだ。買い直そうと思った。

バイアスチェック

一昨日、札幌で行われた勉強会の中に「バイアスチェックシート」という資料がありました。この場合のバイアスは、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)という意味。10のチェック項目がありました。
 なかなかおもしろい。10個の項目のうち、僕は7個当てはまっていることに気づいたんですね。当てはまらないのは、次の3項目でした。
・取り出しやすい情報を優先して判断してしまっていないか?
・多数派の意見が過大評価されてしまっていないか?
・重要な問題が起きているにもかかわらず、その問題を過小評価してしまっていないか?
 当てはまる7つのうち、そのものズバリというものがありました。
・偶然の出来事に勝手な法則性を見出したり、信頼してしまっていないか?
・物事が起きてから無理やり意味づけをしてしまっていないか?
 僕はセルフチェックしながら、自分が「無意識の偏見」を持つ人間であることを意識していました。と同時に、自分の中にバイアスがあることを自覚しながら、ときには「それに乗ってみる」ことも大事ではないか……と考えていました。
 そもそも、企業経営者は「無意識の偏見」を数多く抱えているものなのです。自分の考えついた仮説の正しさを立証しようと、自分にとって都合のいい情報を集めようとする傾向が強い。そのあたりをわかっている人は、あえて自分の意見に反対しそうな人をそばに置いたりする。バイアスは「あってはならないもの」ではなく、「あることを自覚し、上手に活用するもの」ではないかと思います。
 もう10数年前の話ですが、僕は「思い込み力」という言葉と出合いました。そのとき話した相手がその言葉を使ったのか、思い込みの激しいその人を見て「思い込み力」という言葉が頭に浮かんだのか、今となっては思い出すことができません。しかし、その言葉はその後の僕にとって、ひとつのキーワードとなりました。思い込みは力。そう思ったのです。
 ちょっと考えてみるとわかるのではないかと思います。バイアスのほとんどない人というのはどのような人なのか? 冷静かつ客観的。それは企業経営者にも必要ではありますが、問題と思えるのは「平均的」になってしまいやすいこと。さらに言えば、「評論家的」にもなっていくのではないかと思います。
 思考に偏りがあって思い込みが激しいからこそ、勢いがついて行動的になることができる。自分の立てた仮説が正しくても間違っていても、まずは「やってみよう」という気持ちになるわけです。会社の中には「思い込み力を持つ人」と「冷静で客観的な人」の両方が必要でしょう。

アーティスティック経営の時代

その昔、KKDという言葉がありました。今でも使われているのかな? 「勘と経験と度胸」のKKD。今でもKKDで経営されている企業はあると思います。しかし、バブル崩壊後は急速に減っているはずです。その後、「科学的」という言葉を頻繁に目にするようになりました。科学的経営とか科学的管理といった使い方をします。印刷業界などでよく使われている「見える化」という言葉も、科学的管理のひとつと言ってよいでしょう。
 僕も科学的に物事を考えることのできる人間であればよいのですが、残念ながらその能力は低いと言わざるを得ません。我が社の中でその方面に強い人はほんのわずか(いることにはいます)。全体としては、あまり「科学的」な会社ではないんですね。
 では、どんな会社なのか? 僕はこのことについてずっと考え続けているのですが、答はものの5秒もあればわかってしまいます。
 「アーティスティック経営」というのがその答え。5秒で導き出された答について、どうして10数年も考え続けているのか? それは「本当にそれでよいのか」ということについて考えているのです。僕はバイアスが強いことを自覚していますから、「もうひとつ別な人格を持つ自分」を頭の中に創造し、検証してみなければなりません。その「もうひとりの自分」は、本来の自分よりも少しだけ冷静で科学的なタイプ。そして、ちょっと保守的でもあります。
 これもバイアスがかかった考えになりますが、今後「アーティスティック経営」という言葉が広く普及することになるのではないでしょうか? というのも、僕の場合、科学的管理に必要は感じても喜びを感じることはできないのです。僕に近いタイプの人も多いはず。管理されたくないし、したくもないという気持ちが強い。自分の裡から湧きだしてくる欲求にしたがって、自由に発想し、それを形にする。そうしたクリエイティブな人たちが活躍できる会社が望ましい、と思っています。そうなると、必然的にアーティスティック経営になっていくんですね。
 アート全般かどうかわかりませんが、少なくとも写真の場合は「偶然の出来事」が重要なきっかけとなり、作品が生み出されます。偶然の中には必然が含まれている。多くの写真家はそう考えていますから、偶然は「単なる偶然」ではありません。そこに意味づけが行われる。偶然の中に意味を見出し、さらに偶然が起こりやすくなるような環境を整えたり、心の準備をしたりする。このあたりのプロセスは、我が社の経営に通じるところがあります。僕としては、何としてもこの仮説が正しいことを立証したい……。つくづく、僕はバイアス人間ですね。

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