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新入社員研修9-10講

新入社員研修9-10講

おはようございます。
 「写真を見る愉しみ」は1回お休み。明日再開します。
 3月は印刷会社にとって繁盛期(ちなみに僕は「繁忙期」という言葉は使わないようにしています)。一番ハードなのは制作と工場だと思います。ただ、今年は少し事情が違っていて、みんなギリギリといった状況のような気がします。その上、時短との両立が求められている。イノベーションが必要かもしれません。
 その余波といってよいのでしょうか。僕もずいぶんギリギリ感を味わっています。ただ、僕の場合は細部に懲りすぎるという弱点によるものでしょう。昨日もパワーポイントで資料を作っていて、時間をかけすぎてしまいました。きちんと作っておくと使い回しがきく。なので、ついていねいすぎる作り方をしてしまいます。
 新入社員研修のほうは、ようやく第10講までたどりつきました。もうすぐ半分。22講まで続ける予定です。僕の話を聴くほうも大変かもしれませんが、準備するのもなかなか大変。お互いに大変な思いをしながら、大きな変化(大変)を経験することになるのでしょう。
 昨日行った第9講と第10講は、我が社のビジネスから少し離れた話となりました。「人類と印刷の歴史」と「世の中の動き」。僕も改めて、人類の歴史を調べ直してみました。そうすると、人類の歴史はそのまま「印刷の歴史」でもある。そう気づきました。たぶん、別な業種の人であれば、「人類の歴史は○○の歴史」と、それぞれの業種に当てはめて考えることができるでしょう。どんな業種も、過去をどんどんたどっていくと人類の始まりにたどり着く。

地理的考察と歴史的考察

印刷の歴史をたどっていくとどこにたどり着くか? 当然ながら「言葉の発明」というところ。ここが印刷の歴史の出発点です。言葉を手にしたことで情報革命が起こり、人間と呼べる存在になった。本当のところはよくわかりませんが、「二足歩行」「道具」「火」「言葉」によって人類の歴史が始まったと考えてよいはずです。
 第二の情報革命は文字を発明したこと。紀元前3300年頃のシュメール絵文字が最初とされていますが、もしかするともっと古くから存在していたのかもしれません。文字とはいえない文字、「原文字」というものも残っているようです。フゴッペ洞窟(余市)の壁画も原文字のようなものなのでしょうか? このあたり、興味深いものがありますね。
 紀元前3300年がシュメール絵文字。それからわずか300年ほど後に、パピルスが誕生しています。草木の茎の繊維を縦横に重ねて作った紙のようなもの。ずいぶん早い。今日の紙の原型とされているのは、紀元前2世紀頃の「放馬灘紙」(ほうばたんし)。中国で作られたものです。
 そこから900年ちょっとたった西暦770年、現存する世界最古の印刷物とされる「百万塔陀羅尼」(ひゃくまんとうだらに)が日本で作られています。さらに、その675年後、1445年にようやくグーテンベルクが活版印刷によって42行聖書を印刷するわけです。「グーテンベルク以前」がやけに長い。
 こうした印刷の歴史をもっと詳しく調べていくと、おもしろい発見をいくつも掘り起こすことできそうな気がします。書き忘れてしまいましたが、紀元前1600年頃の「クレタ島ファイストスの円盤」も興味深い。これは印刷物といってよいのかどうか? きっと歴史に埋もれて忘れ去られてしまった事実が数多くあるのでしょう。
 記録しなければ忘れられる。印刷技術が誕生する前の人類の歴史は、情報量が圧倒的に少ない。印刷によって、歴史が克明に記録されるようになったわけです。印刷が人類に果たした貢献度は非常に高い。僕らは印刷人としてそう自負すべきですね。

「世の中の動き」のほうでは、「原則中心の生き方」と「パラダイムシフト」という観点から話を進めていきました。とても新入社員研修とは思えない内容になってしまった感じがします。まあ、大学の講義よりはやさしい内容でしょう。地理的考察と歴史的考察から今の世の中の動きを捉えなければなりません。特に、地理的考察では「世界地図」と「業界地図」の両方を思い浮かべることですね。
 僕らは世界地図をイメージするとき、日本を中心に考えてしまう傾向があります。東に太平洋とアメリカ大陸、西にユーラシア大陸があって、一番左の方にヨーロッパやアフリカ大陸がある。そんな地図。西洋人の使う地図は当然ながら西洋中心の世界となっています。どんな世界地図を思い浮かべるかによって、世界観も違ってくるはず。
 交通や物流の発達によって、「世界が狭くなった」という言い方をすることがあります。なかなかイメージしにくいのですが、僕らは頭の中で世界地図をデフォルメする必要があるのかもしれません。たとえば、東南アジアは近年ぐっと近い存在となってきました。一番遠いのはアフリカでしょうか? しかし、中国はアフリカとの関わりを深めていますから、中国人の世界地図では近く描かれているかもしれません。
 主観的な世界地図。普通の地図とは異なる世界を頭の中で描く必要がある。これは日本地図にも北海道地図にも当てはまることです。どんな地図を描くかによって、自分、自社の行動が違ってくるのです。
 業界地図というのは、もっと描きにくいものです。僕も、「これでよいのだろうか?」と思いながら、むりやり作成していきました。あまり参考にはならないかもしれません。しかも、業界の垣根がどんどん薄れていく時代。むりに描く必要はなさそうな気もします。
 僕がビジネスについて考えるとき基本としているのは、「地域の異業種から学ぶ」ことと「地域外の同業種から学ぶ」ということ。同業種から学ぶほうが自社への応用がしやすいわけですが、同じ地域の同業種から学ぶと同質化競争になる。これでは意味がないんですね。この点、異業種から学べば、お互いにメリットがある。できれば、定点観測する相手(または業界、地域)を見つけておくとよいでしょう。

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