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食旅・パース編【13日目】 Too short !

食旅・パース編【13日目】 Too short !

おはようございます。
 パース発成田行きの飛行機の中で目覚める。朝食はパン。午前8時半頃、成田空港着。日経電子版で羽田空港第2ターミナルの断水が復旧していないことを知る。シャワーを浴びるのは成田のほうがよさそうだ。スーツケース3つと手荷物を持ったまま、成田空港内のシャワールームへ。初めて利用したが快適だった。羽田空港まではバス。空いていたため、シートを倒し熟睡体勢。深々と眠る。あやうく寝過ごすところだった。

羽田空港でスーツケースを預け、身軽になった。昼食にしようと思ったが、飲食店はどこも閉店している。断水なのだから当然か。このため、弁当類が異様なほど売れているようだった。僕らも弁当を購入し、保安検査を済ませてから昼食にする。その後、ラウンジでブログを書く。トイレに入ると、水は流れず、手を洗うためのおしぼりが用意されていた。他のトイレにはペットボトルの水。こんな光景は初めて見た。定刻から15分遅れ、5時半発のエアドゥで帯広へ。7時過ぎ到着。冷える。空港から自宅まで、オーストラリアの道路を走っているような感覚だった。ついスピードを出しすぎる。追い越しはせず、日本のスピードに合わせた。スーパーで買い物をしてから帰宅。
 国内移動を含め2週間の旅を終えた。この間、中小企業家同友会とかち支部四役会にWEB参加した以外、一切仕事をしなかった。メールも極力控えた。このような時間を過ごしたのは20年ぶり。もしかすると、初めてかもしれない。今回の旅では、「熱心に写真を撮る」ことすらしなかったのだ。

合理的な働き方と社会システム

28年前、場所はアルバニーかオーガスタだったと思うのですが、あるドイツ人夫婦とちょっとした会話を交わしました。
 「休暇はどのくらい?」と尋ねられたので「2 weeks」と答えたら、「Too short !」のひと言。まあ、相手の反応は想像していました。しかし、日本で普通に働いている人からすると、2週間というのは思い切った休暇日数なのです。働き方改革といっても、連続2週間休めるという人はそう多くはないでしょう。
 そういうあなた方は……と尋ねてみると、「3 months」との答。どういう職業の人なのか聞きませんでしたが、日本の勤め人であれば机がなくなっているに違いない。どうしてそんなことが可能なのか? そのとき、僕は何となく敗北感のようなものを感じていました。
 戦後、ドイツも日本も同じような道をたどって復興し、ともに経済大国として発展していきました。GDPではドイツを抜き、日本は第2位の経済規模となった(中国に抜かれましたが)。経済的には間違いなく豊か。けれども、どこかに不足感を感じながら生きているようなところがあります。
 僕は「労働は美徳」とも「労働は罰」とも思っていません。自分にとって仕事は必要なものであり、自分の人生を豊かなものにするための活動だと考えています。たぶん、西洋人も基本的には同じ考えなのではないでしょうか。「罰」だと思って働いている人は多くはないはず。仕事の中に喜びがあり、やり甲斐を感じている人がいっぱいいるに違いありません。
 西洋人の休暇が長く、日本人(他の東洋人についてはよくわかりません)の休暇が短いのは、仕事観の違いということではないような気がします。
 物事を合理的に考えられるかどうかの違い。そう言い切ってよいのかわかりませんが、数日間、オーストラリアを旅するだけでもわかります。きっとヨーロッパやアメリカへ行っても、同じようなことを感じることになるでしょう。合理的な働き方。そして社会のシステムが整備されている。
 日本はどうかというと、形式的なところがあったり、忖度の結果なのか物事が妙に複雑になっていたりする。そんな理由から、決定的とも言える労働生産性の違いが生じているのではなかろうか? 
 日本人には「先回りして相手の気持ちを察する」という思考が働きます。これはよい面でもあるのですが、行き過ぎると非合理的になる。客は「自分のニーズを察してほしい」と思い、サービス提供者は「目の前にいる客のニーズを推し量ろう」と努力する。西洋であれば、「自分の求めていること」をストレートに伝えることでしょう。そうしてサービス提供者は「できるかできないか」を回答する。
 日本の洗練された企業の場合、非合理的ではあっても高度なサービスを提供できるため、そこに大きな付加価値を生み出すことができるでしょう。ところが、洗練度が低いのに非合理的思考で業務を行うと、単純に生産性が低い働き方となってしまいます。ここに日本の多くの中小企業が解決すべき課題があるような気がします。洗練度を高めるか、思い切って合理的なサービス提供の仕方に変えていく必要があるのではないか? 
 「一切仕事をしなかった」と言いながら、頭の中では仕事のことばかり考えていました。これは「仕事と暮らしを分離しない」という生き方なのでやむを得ないでしょう。
 20数年前に出会ったドイツ人夫婦のように長期休暇を誰もが取得できるようにするためには、どうすればよいのか? そんなことを真剣に考える時期に来ている。これは働き方改革が迫られているからやむなく行う……ということではない。僕らの仕事観と人生観を変えるべき大きな転換点に立っているのではないか? そんなことを考えさせられる旅でした。あと数日、このことについて考え続けることになりそうです。

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