
おはようございます。
午前8時50分、とかちプラザ。9時15分、「車座ふるさとトーク in 北海道帯広市」が開催された。国土交通副大臣青木一彦氏を囲んでのふるさとトーク。テーマは「食や観光を活かした北海道の地域づくり」というものだった。青木副大臣の他、十勝で先進的な活動を行っている13名が集まり、それぞれの事業活動や課題、提言等述べていった。業種や活動内容はさまざまだが、大きな方向性としては一致していると思った。このあたりが十勝の強さといってよいのかもしれない。11時過ぎ帰宅。早めの昼食。数時間、休日として過ごす。3時45分、藤丸へ。撮影1カット。割合すんなり終わる。地下で買い物をしてから帰宅。まだ睡眠が足りていないようだ。7時間半眠る。
観光産業の広がり方
十勝は農業が基幹産業。その周辺に食関連の産業があります。さらに、観光関連の業種が広がっている。十勝、さらに言えば北海道は「食と観光」が地域づくりの最重要テーマといって差し支えないでしょう。
10数年前まで、僕は観光についてちゃんと認識していないところがありました。観光を狭く捉えていたのです。観光は実に裾野が広い。裾野というと、中心に山があって周辺に広がっているという図を思い浮かべます。だから「裾野」というのは正しくないかもしれませんね。どちらかというと、横に広がっているイメージ。多少の凹凸はあるにせよ、上下関係ではなく、横関係でつながっている。
ただ、中心に位置するのは観光業であったり、農業、食関連産業ということになるでしょう。印刷業は普通に捉えれば観光とは関係ありませんから、観光関連業界地図を作成したならば、最周辺部に位置する業界といえます。出版のほうが少し内側に位置しているかな?
そんな中、我が社は第2種旅行業になりましたから、飛び地のように観光産業の真ん中にも飛び込んでいるというのが現状です。たぶん、このようなやり方で自社を観光に結びつけていく企業が、今後増えていくのではないでしょうか? 同業他社の中には農業に参入した会社もありますし、イベントに熱心な会社もある。事業領域を戦略的に拡大させていくことが求められます。世の中のニーズが急速に変化しているのですから、事業領域は必然的に変わっていくわけです。
何よりも、旅行者の旅の仕方がずいぶん変わってきたということに、僕らは気づかねばなりません。ひと言でいえば、多様化しているということになるでしょう。ざっくり「体験型に」と言ってしまえばそれまでですが、体験の中にもさまざまな種類がある。その中で最大公約数的なものを追い求めると、同質化競争に巻き込まれることになる。後発で中小の業者に入り込む隙間はありません。
15年前、スロウを創刊してしばらくたってからのこと。最初は産みの苦しみがあったわけですが、そこから少し落ち着いた頃。自分たちのつくりたい雑誌をつくりたいようにつくる。その喜び、やり甲斐を感じることとなりました。僕もM氏も東京時代には、注文内容に沿って記事や広告をつくってきた。受注仕事にももちろんやり甲斐はあるのですが、100%つくりたいものをつくる。その喜びに勝るものはありません。
自由とその代償
旅の仕事においても、「自分たちのつくりたい旅を自分たちでつくる」。それを基本にして商品づくりを行っていけばよいのではないかと思います。もちろん、そこには市場性が不可欠でしょう。ですが、売れそうだからといった理由で他社と似たような旅行商品をつくったり、気乗りのしない商品をつくる必要はないのです。
最大の顧客は「自分」。そんな気構えで旅行商品をつくれば、ユニークなものとなるに違いありません。
今回、実に20年ぶりに仕事抜きの純粋な旅を満喫してきました。そうすると見えてくるものがありますね。自分はこのような旅がしたかったのだ……というものが確かにある。ありきたりな表現ですが、それは「自由気ままな旅」。実際、その通りに自分たちのしたい旅をしたいようにしてきたわけですが、僕らのような旅の仕方にはちょっとした弱点があります。
効率性に欠けるという弱点。2週間という休暇は決して短くはない。けれども、無計画に過ごすとあっという間に時間が過ぎてしまいます。かといって、綿密に計画通りに動く旅を僕は望んでいない。たまに「何も考えずバスツアーに参加したい」と思うこともありますが、それはちょっと疲労がたまっているときでしょう。基本的には自分で目的地を決め、思いつきで行く場所を決めたいと思っています。
まあ、そういう旅行商品はきっと商品化しにくいでしょう。ただ、部分的にではあっても「自由」を組み込むことはできるはず。この「自由」をいかに設計するかが、スロウな旅の魅力度を左右することになるのではないか? 僕は勝手ながらそのように考えています。
それにしても、完全な個人旅行というものはけっこう大変です。僕はうっかりミスの多い人間なので、予約した日時に間違いがないか、くどいほど確認しました。航空券、宿、レンタカー、レンタルWi-Fi 。他にもあったと思いますが、けっこう神経を使います。旅行代理店の人はこれが業務。プロだから慣れたものなのでしょうが、間違えたら大変なことになる。苦労の多い仕事でしょうね、きっと。
面倒な部分は旅行会社が行い、客は自由気ままに旅ができる……。そんな形態が僕にとっては理想といえるかもしれません。ただ、大変な中にもおもしろさがある。だから、楽すぎる旅には物足りなさを感じるような気がします。今回の西オーストラリアでも、実はちょっとしたトラブルがいくつもありました。普通のツアーでは絶対に起こらないような出来事。適度にスリリングな旅(もちろん安全を確保した上で)がおもしろい、と僕は思っています。