
おはようございます。
午前10時から帯広経営研究会の会報を制作する。いつもなら原稿をインデザインに流し込み写真を配置するのだが、今回はパワーポイントを使用しての作業。僕以外の誰もが制作できるように……と思って始めたことだが、けっこう難度が高い。プレゼン用のソフトでページレイアウトをしようというのだから、やはり無理があるのは当然だ。いくつか制約はあるものの、何とか4ページの記事をまとめる。他のメンバーが使いこなせるようになるには、ひな形をいくつか用意する必要がありそうだ。マニュアルと講習会も。楽をするには苦労を通過せねばならないということか?
自分優先か顧客優先か
数日前にも書きましたが、オーストラリアを旅して気づいたのは、オーストラリア人の合理的な考え方やシステムについてでした。これはどこから来ているのか? 僕の想像では「自分の生活の質の確保」を重視しているためではなかろうか。もちろん、さまざまなタイプの人がいるとは思いますが、合理的に物事を考え、重要度の低いことをしないというスタイルを貫いている。このため、多くの店は午後4時か5時に閉店し、日曜日に開店することはありません。それが当たり前になっている社会ですから、文句を言う人はほとんどいないはず(旅行者としてはちょっと困りますが)。
たぶん、自分は「このような暮らし方をする」というのが最初にあって、そのために「このような働き方をする」という考えに至るのでしょう。だから、彼らにとっては「午後5時には仕事を終えていなければならない」わけです。5時までに十分な付加価値を生み出すには、どのような仕事をすればよいのだろう……。そのようにオーストラリアのビジネスパーソンは考えているに違いありません。このあたりが、僕らとはちょっと異なるところ。
日本人にもいろいろなタイプがあるものの、多くの日本企業では顧客優先で物事を考えてしまいます。お客様が「○時に来てくれ」と言われたら、それが早朝でも深夜でも指定された時間に訪問する(近年は極端なことを言う人は減ったと思いますが)。いくら時間がかかっても、お客様が納得するまで何度でも修正作業を行う。しかも、追加料金を請求しない……といったことが多かったりする。このあたり、僕は日本の悪習だと思っていて、これが労働生産性低下要因になっているに違いありません。
ただ、自社だけで合理的な仕事の進め方をするのは困難ではないかとも感じているところです。「当社は営業時間外には対応していません」とか「修正作業には1時間○○円発生します」といったことは、印刷業としてはやりにくい。できやすい業種とできにくい業種とがあり、できにくい業種の場合は付加価値低下を招きやすい。こうした状況を変えるには、業種・業態を転換するしかないのかもしれません。
もうひとつ、日本人にも日本企業にも凝り性と思えるようなところがあって、それゆえに優れた製品を生み出してきたという側面があります。合理的、経済的に考えれば「ここで終わり」とすべきところ、「もっといいものを」という気持ちから、クオリティを追求する。我が社にもたぶんそのような傾向があるのではないかと思います。それを否定するつもりはまったくありません。とことん突き詰めることも大切。
合理性と凝り性を兼ね備える。そんなところに我が社の進むべき道筋があるような気がします。
付加価値創造力
働き方改革の名の下に、我が社でも少しずつ合理的なビジネスの仕方に変わってきている部分があります。
たとえば、今は午後5時半になると、会社の固定電話は営業時間外のメッセージが流れるようになっています。残業している人がいても対応することはありません。もしかすると、それによって逃しているビジネスチャンスもあるのかもしれません。しかし、それよりも働く人の負担を減らして、勤務時間内の仕事の質を高めることのほうが重要なのではないか? おそらく、そのような企業が今後は増えていくこととなり、結果としては日本でも合理的なビジネスの仕方が当たり前なものとなっていくでしょう。
一番変わらなければならないのは、もしかすると一般消費者や企業の発注者のほうかもしれません。無理を言えば、無理が通る。そんな古い思考で不当な要求をする消費者、発注者がまだまだいるような気がします。
ここでも注意しなければならないのは、無理と無茶の違いと言ったらよいのでしょうか。それとも正当と不当の違いかな?
「いい仕事を一緒にしよう」という観点から、ハイレベルな仕事を要求する顧客がいます。こうしたお客様にはできる限り要望に応える必要があるわけです。自分たちが成長するチャンスでもある。顧客も自社も最大限努力する。だから、一緒に成長でき、いい商品が誕生する可能性が高い。
反対に「無茶な要求をして自分では何もしない」という顧客もいるのではないかと思います。そこでは自社のルール通りに仕事を進めさせてもらう。追加の要望には追加料金で対応する。そのようにすべきではないかと思います。
現在の日本ではそう簡単にはいかないことでしょう。ですから、企業の働き方改革と同時に、消費者・発注者の意識改革が重要な鍵を握るのではないかと思うのです。
無茶な、あるいは不当な要求を退けるためには、商品力や付加価値力といったものが欠かせません。言い換えれば、自社の一人ひとりに付加価値創造力があるかどうか? 「真面目に働けば何とかなった」という時代は終わりました。今は「価値を生み出しているかどうか」がすべてという時代です。働き方改革が進めば進むほど、個人・企業の実力差が明確になっていく。そんなスリリングな時代を、僕らは生きていることになります。
