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仕事観について38 「パイレーツの会」1日目

仕事観について38 「パイレーツの会」1日目

おはようございます。
 朝6時半、宿をチェックアウト。部屋に机がなかったというのが早朝出発の理由。駅前のファミレスでパソコンに向かう。だが、あまり落ち着かない。7時半オープンのカフェに移動。ようやくブログを書き終え、次は原稿執筆……と思ったが、せっかく名古屋に来たのだから、ここでしかできないことをしようと考えた。トヨタ産業技術記念館はどうか? 地図を見ると歩いて行けそうだ。20分くらい歩いたら大きな施設が見えてきた。観光バスも止まっていて、入場者が大勢いた。おもしろいのはネクタイを締めたビジネスマンが多かったこと。次に外国人。家族連れもちらほら。展示されている機械も興味深いが、僕が注目したのは「言葉」。名言が次々目に飛び込んでくる。それをできる限りカメラに収めることにした。「トヨタニュース」という社内報もあちこちに展示してあった。重要部分にマーカーが引かれている。これも複写。あとでちゃんと読んでみようと思う。圧倒的な量と質。丸一日いても退屈しそうにない場所だ。
 帰りも徒歩。中部国際空港に到着してからずいぶん歩いている。スマホで歩数を確かめたら14000歩ほど。う~ん、僕の感覚では2万歩は歩いたつもりだったのだが。それはともかく、午後1時名古屋駅に集合。パイレーツの会に10数名ほど集まった。印刷会社の集まり。僕が参加するのは2回目。前回参加したのは2013年。ほぼ初参加に近い。バスで紅葉の名所に立ち寄ってから、目的地の「つくラッセル」へ。ここは廃校となった小学校を地域活性化の拠点にしようとオープンしたところ。テレワークステーションやシェアオフィス、それにものづくり工房などがある。代表の戸田友介氏から講話をいただく。次第に日が暮れ、真っ暗になってきた。豊田市とはいえ、ずいぶん山の中にある。焚火をするには絶好の環境。
 今回僕が参加しようと思ったのは、「自然と炎が呼び覚ます経営者の野生」というキャッチコピーに惹かれたからだった。果たして自分の中に野生はあるのか? そんな疑問も含めての参加。思ったより冷え込んでいるが、焚火のまわりは暖かい。椅子も用意されていたが、僕はずっと立ってワインを飲んでいた。不思議な心地よさがあった。ワインがなくなり、焚火の炎が小さくなった頃、校舎の元校長室に移動。日本酒を飲みながら、歌と歓談。6年前参加したときもそうだったのだが、この会には歌が不可欠なものらしい。僕は歌声喫茶を経験したことはないが、きっとこんな感じだったに違いない。バスで名古屋に戻り、宿にチェックインしたのは9時40分。何人かは二次会へ。僕は睡眠を優先させた。

火と言葉

我が社の食事会でも火を囲むことが度々あります。その場合は炭火なので炎が立ち上るようなことはありません。けれども、火を囲むと何かが違うような気がします。僕はそういう場面では、言葉が要らないような気持ちになってくる。参加しているみんなは炭火の上にある肉に視線が注がれているかもしれませんが、僕は肉の焼け具合と同時に炭火の赤い炎をぼんやりと眺めていることが多い。それは「野生」とはほど遠いものですが、何かしら、太古の記憶にアクセスしているのではないかと思っています。
 たぶん、大昔の人類も僕らと同じように、古い記憶をたどりながら炎を眺めていたに違いありません。目の前で焼いている肉が何より大事かもしれないが、それとは別に、何かを確かめるように炎を見つめていた。大昔の人類は、今の人類よりもきっと無口だったことでしょう。炎の前では言葉はさほど重要ではなく、火を囲んで一緒に食事をすることで確かな人間関係を確認し合っていたのではないか。僕の勝手な想像ですが、そんな情景が頭に浮かんできます。
 言葉が決定的に重要な意味を持つようになったのは、農耕・牧畜が始まった頃でしょうか。知識の集積が豊かさを左右するようになった。このため、必然的に文字が誕生することとなりました。さらに印刷技術が誕生し、近年ではインターネットによって情報量が爆発的に増えていくことになる。
 情報洪水とも思える現代を生きていても、僕らは自分にとって意味ある情報を絶えず求めています。あふれているのに、不足感を感じている。情報というものの不思議さを感じずにはおられません。

メッセージと意志

午前中、トヨタ産業技術記念館を見学して、「これだ!」と思いました。僕が求めているのは「価値ある情報」に他ならないわけですが、その価値とはメッセージ、さらに言えば「強い意志」のことです。館内には強い意志を示す言葉がそこここに示されていました。僕にはそのひとつひとつが名言のように感じられました。情報の洪水には溺れたくないが、名言に囲まれて暮らすのはきっと心地よいに違いない。心地よさだけではなく、自分の生き方、仕事の仕方をより前向きなものへと変えてくれることでしょう。
 僕らも雑誌や書籍をつくりながら、できるだけ「価値ある情報」を一冊に凝縮させようと努力しています。そこには取材相手のメッセージや意志が盛り込まれてくる。と同時に、それは自分たちの意志でもある。敏感な情報受信者は「洪水のような情報」と「メッセージや意志」とを区別して読んでくれているに違いありません。そうした読者のためにも、僕らはもっと強い意志を持つべきではないか……。僕はいつもそう思っています。
 炎の前に身を置くと、多くの言葉は不要であるように感じられます。言葉がそぎ落とされていく分、自分の中にある意志の存在が明らかになってくるのです。
 太古の人類は焚火を囲むことでその事実に気づき、トヨタの土台をつくった人たちは一心不乱に働く中で意志ある仕事をしていったに違いありません。僕らは言葉を扱う仕事をしているため、気をつけないと「言葉を操ろう」としてしまう危険があるのではないかと思います。意味ある短い言葉を噛みしめることも必要ですし、言葉少なく炎を眺める時間がもっとあってよい。
 そういう意味なのかどうかわかりませんが、編集者の中にはキャンドルの愛用者が多いような気がします。

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