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経営指針の話70 タイムラグを生かす

経営指針の話70 タイムラグを生かす

おはようございます。
 午前9時出発。三国峠経由で旭川へ。十勝では路面が見えていたが、上川に入ると雪道。景色も晩秋ではなく「冬」だ。気温の低い日だった。車の示す外気温がプラスになることはなかった。12時半頃、W社に到着。30分ほど話をする。短くて15分、長くても1時間以内に終わる話だと思っていた。特に問題となるようなことはなく、僕としては目的を果たすことができた。帰路、写真を撮りながら帰ろうと思っていたが、残念ながら撮影意欲が湧いてこない。M氏と経済情勢その他の話をしながら帯広へ。帰りは富良野経由。やはり、狩勝峠を越えると、まだ風景は「秋」だった。風景は秋でも、冷え込みは厳しい。帰宅後、庭の水道の元栓を閉めることにした。

短期と中長期の変化

まだ大丈夫……。そう思って手をこまねいているうちに、どんどん状況が悪化していくことがあります。人生においても、社業においても、地域経済においても、そうした事例はたくさんある。もちろん、じっとこらえていれば通り過ぎるような問題もあります。むやみに行動しないほうがいい。そういう判断が正しいケースもあるでしょう。
 ですから、何でもかんでも変革することが正しいとは限りません。今起こっていることが「一時的なもの」なのか、「地殻変動が起こっている」のか、見極めることが大切ではないかと思います。
 自分の身のまわりには、一過性の問題もあれば、地殻変動のひとつと考えるべき問題もあり、さらには区別がつきにくい問題もあるに違いありません。ちゃんと観察すれば、おおよそ区別することは可能。ですから、「放っておく」「一気に解決する」「中長期的解決を目指す」といった具合に対処法が変わってくる。
 放っておけば解決する問題に対して、下手にアクションを起こすと、ややこしいことになるようなケースもあります。僕も何度かややこしいことになった経験がある。「放っておく」と「一気に解決する」は一過性の問題に対する対処法。地殻変動、あるいは時代の大きな変化に対応するには、一気にというわけにはいきません。もちろん、放っておくこともできません。対応が遅れるほど、じわじわと状況が悪化していくことになる。
 10数年前、僕はいくつかの研修に参加したり、同業者の勉強会に顔を出すうちに、あることに気づきました。地殻変動のような大きな変化にはタイムラグがあるということです。経済環境の変化には、世界同時に起こるものもあれば、ゆるやかに進行しておくものもある。したがって、ちゃんと情報をキャッチしていれば、ある程度対応可能なものが少なくない。対応しない、あるいは対応が大幅に遅れてしまうのは、経営者の怠慢か、気づきのスキルが決定的に不足しているかのどちらかでしょう。
 企業経営者の自伝などを読むと、海外視察を行ったことでヒントを得て、ビッグビジネスに育て上げた、といった事例が出てきます。日本になかった商品、サービスを海外で発見した。高度成長期にはそのようにして成長した企業が多い。今はグローバル化が進み、誰もが海外へ行く時代ですから、海外視察でビッグチャンスを手にする機会は少なくなっていることでしょう。
 それでも、大きな時代の変化を感じ取るという意義があるはず。アメリカはいろいろな意味で震源地となっている国ですから、視察地として一番選ばれやすい。また、成長著しい東南アジア諸国も見ておくべきところ。僕も、その変化に驚かされました。

外部環境をどう捉えるか

地球規模で大きな変化が急速に起こっている。思考が内向きになると、その変化に気づかない。気づいたときには、大きく出遅れてしまっている。最悪の場合は、手遅れになっている。こうした事態を避けるために、アンテナは外に張り巡らせていくべきでしょう。
 幸いなことに、すべてにはタイムラグがある。アメリカの印刷業界で起こっていることが、すぐ日本で起こるわけではありません。また、東京で起こっていることも、すぐに帯広で起こるわけではない。数ヵ月、数年の時間をはさんで変化がやってくることが多い。たとえば、フリーペーパー・フリーマガジン業界のピークには2年ほどのタイムラグがありました。今はあらゆる物事が急速に変化していますから、年単位ではなく、月単位で考えるべきでしょうね。
 少し乱暴な言い方をすれば、変化はアメリカ→東京→帯広という順番でやってくる。アメリカではなく、中国とかドイツといった例もあるでしょう。印刷業の場合はアメリカとドイツの動きから目が離せません。ただし、東京→帯広という順番は逆になることもある。たとえば、DTPやCTPについては、東京よりも地方の印刷会社のほうが先に導入が進んでいった。既存のシステムが強固なところでは、先進的システムの普及が遅れるというケースが起こりうる。
 東京だけ、あるいはニューヨークやシリコンバレーだけを見るのではなく、いくつかのユニークな場所を観察しておく必要があるのではないかと思います。僕の場合は、日本でも外国でも、帯広と同じくらいの人口規模の都市に注目するようにしています。そこには直接的な意味でビジネスのヒントが隠されているような気がするのです。21年前に創刊した月刊しゅんは、そうした地方都市の先進事例を生かして誕生した媒体である、と僕は理解しています。
 経営指針成文化においては、外部環境をどのように捉えるかが重要なポイントのひとつと言えるでしょう。「今起こっている現象」だけではなく、その背景や今後起こりうる変化について、できる限りの分析を試みる。新聞記事をつなぎ合わせても、ほとんど何も見えてきません。現地を直接見るとか、見た人から話を聴く。媒体に載っていない情報であるとか、空気感といったものをキャッチしなければなりません。
 ここは我が社ももっと情報収集力を高めねばなりません。今後少なくとも2年間は、行動量を最大化する必要があるのではないかと感じています。

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