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写真家的業務改善行動28 準備6割

写真家的業務改善行動28 準備6割

おはようございます。
 午前10時、S氏とともに十勝産業振興センターへ。ミーティング。来年1月開催予定のイベントについて話し合われる。昼は帯広経済センタービル。日本政策金庫帯広中小企業公和会役員会。1時頃帰宅。原稿執筆に全力を注ぎ込む。2時間半で完成。原稿と写真を担当者に送る。続いて、事務的作業と全道経営指針委員会の準備。6時過ぎ、仕事を終える。

文章作成の決め手となるもの

僕の仕事は「写真」と「文章」がかなりのウエイトを占めています。このうち、写真における時短の余地はほとんどないと言ってよいでしょう。取材では編集者のインタビュー時間が撮影時間ですし、僕の風景撮影は秒単位の短さ。時短の余地があるとすれば商品撮影。しかし、この種の仕事は減っていくはず。僕はもともと商品撮影が得意ではなく、社内の他のフォトグラファーのほうが上手だからです。
 もっとも時短できる可能性があるのは文章のほう。僕は毎日ブログを書きながら、いつもそのことについて考えています。どのようにすれば文章の質を保ちながら素早く執筆することができるのか? この時間を大幅に短縮できたなら、年に何冊も本を出すことができるでしょうし、浮いた時間を他の仕事に割り振ることもできる。何より、気持ち的に楽になる。仕事に追われなくて済むようになるのです。
 文章作成のスピードは「コンテンツ」「技術」「マインド」の3つが決め手といえるのではないか? 現時点で、僕はそう考えています。
 何よりも大事なのがコンテンツ。文章に表したいことがあるかどうか? これがないことには書くことは不可能。まったくないという人はいないでしょうが、「自分でよくわかってない」という状態になることは十分あり得ます。
 僕は毎朝ブログを書くことを日課としていますが、実は「書きたいことがハッキリしない」という朝もあります。こういう場合、2200~2500字の文章を書くことに非常に苦労する。30分くらい、何もせずチコリーコーヒーを飲んだり、チョコレートを食べたりすることになる。
 「文章が書けない」と思い込んでいる人の相当部分は、案外「書きたいことが不明」という人なのではないか? 僕はそんなふうにも想像しています。
 次は「技術」ですが、ここはちょっとやっかいです。日本語能力に問題のある人の場合、不可能とは言えないまでも、非常に苦労することとなる。英語が苦手な人が英文の手紙を書くのに苦労するのと同じ。日本語を話している日本人だから、誰もが日本語の文章を書けるとは限りません。
 ある程度の文章作成能力を持った人であれば、技術によって効率化や質的向上を図ることが可能と言えます。このあたりは拙著「写真家的文章作成技法」の中で述べてきました。世の中には文章作成に関する本がたくさんありますから、自分に合った書き方を見つけることもできるでしょう。

準備不足と準備過多の中間

さて、僕にとって一番の関心は「マインド」なんですね。書きたいことがあって、書くための技術もある程度備わっている。なのに、コンスタントに書ける日と、さっぱり書き進めることのできない日がある。これはどうしてなのか? ここが僕にとってはどうしても疑問として残るのです。
 一口にマインドといっても、単にやる気があるかどうかという問題ではありません。やる気満々であっても、書けないときにはどうしても書くことができない。逆にマイナス思考にとらわれていても、書いているうちに調子が出てきて、書き終わる頃には絶好調になっている……ということもある。本当に不思議なものです。
 この違い、僕は「準備の違い」に一因があるのではないか、と考えるようになりました。準備不足(特に情報不足)では原稿を書くことはできません。しかし、情報過多であったり、準備を整えすぎても、やはりいいペースで書くことができないケースが多い。
 僕の場合、「ちょっと不足感がある」というのがちょうどよい。不足分を想像したり推理する。あるいは自分の考えで埋めていく。すべての答がわかっているのでは、原稿を書くことにおもしろみを感じない。このモチベーションの低下が原稿執筆の妨げになるのではないか? 原稿を書き進めながら、謎や疑問を解明していく。たぶん、そのあたりに文章のおもしろさがあるはずです。
 6、7割くらいわかっていて、残り3、4割については、書き進めながら考えていこう。そんな気持ちになっているとき、適度な緊張感と謎を解明する楽しみが混じり合って、原稿を書くスピードが上がっていく。僕にはそのような傾向があるようです。このあたり、僕以外の編集者はどうなのでしょうか?
 同じことは文章以外にも当てはまるのではないかと思います。新しいビジネスを始めようと思ったとき、完璧に準備しようと思うとものすごく時間がかかる。不備な点が次々見つかり、「うまくいかないのではないか」というマイナス思考が湧いてくる。運よく万全な準備ができたとしても、そのときにはタイミングを逸していて、自社は後発組になってしまうかもしれません。
 急速に世の中が変わっていくわけですから、計画、準備しながらも、速やかに走り出さなければならない。走りながら仮説、実践、検証、修正を繰り返していくことが求められます。
 写真の場合、デジカメ誕生以降は「とりあえず撮ってみる」という撮り方が増えていきました。いちいち露出計を使うようなことはありません。撮ってみて、モニターで確認し、露出等を修正する。現像してみるまで結果がわからないフィルムの時代とは異なるのです。今はあらゆるビジネスがデジカメのようになっています。結果が出るまでの時間は昔よりも劇的に早い。
 一昔前は「準備8割」と言われましたが、新規事業やクリエイティブな仕事では「準備6割」くらいが妥当なのではないかと僕は考えています(従来型の業務は準備8割以上が望ましい)。

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