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経営指針の話72 偶然と意味

経営指針の話72 偶然と意味

おはようございます。
 朝礼後、社内で少し仕事をしてから歯医者さんへ。昼は市場に立ち寄ってから帰宅。ある情報を耳にしたためだ。目的のものを購入することができた。午後は事務的作業。3時頃帰社。資料の出力。3時半来客。旅行事業関係の話。5時40分帰宅。仕事が2日遅れで進んでいるような気がする。

意味ある意味づけ

何か意味があるはずだ。僕はそう考えることが多い。不思議な偶然に出合うと、必ずといってよいほど「どんな意味があるのか」について考えます。
 40年以上写真を撮り続けてきたので、偶然の中にも意味があるものとないものとがあることはわかっています。しかし、意味のない偶然であっても、あえて意味づけすることによって、将来の自分にとって意味ある偶然となるわけです。「意味のある意味づけ」(まわりくどい言い方ですが)をすることで、自分の人生をよい方向へ導いていくことができるのではないか? 10数年前からそんなふうに考えるようになりました。
 僕は写真を撮る際、いつも「意味」について考えています。この被写体にレンズを向ける意味は何なのか? 撮る前に考えることもあれば、シャッターを押したあとに考えることもあります。意味は頭で考えるもの。体が先に反応してしまう場合もある。順番はさほど問題ではありません。
 意味を考えるのは、撮影のときだけではありません。特にめずらしいことや偶然に遭遇すると、意味について考え続けることとなり、考えが止まらない(おいしいものを食べると止まる)。何か不思議な力が作用しているのではないか? ついそう考えてしまうのです。
 人生における大きな転換点に差し掛かったとき、誰もがその意味について考えることになるでしょう。僕も、19年前にUターンしたとき、その意味について考えました。どうしてこのような遠回りをして後継者となったのか? そこに自分で納得できる答を見いださなければ、力を発揮することができないのではないか、と思っていました。
 意味のない人生というものはないはずだと思っていますが、人生の中に意味の薄い時間というものは存在します。意味を取り違えた時間というものもある。だから、速やかに正しい意味を読み取って、本来のあるべき姿に自分を戻さねば……と考えていた時期がありました。今もまだその時期にあるのかもしれません。
 2002年、経営指針成文化に取り組んだ際には、意味についてとことん考えました。20代の頃に描いていた人生ビジョンとは大きくかけ離れてしまっている。そこにどんな意味があるのか? 最終的には「自分の人生は自分のものには違いないが自分だけのものではない」という結論に達するのですが、それまで積み重ねてきた写真の道はどうなってしまうのか……ということに、不安と恐れのようなものを抱いていました。
 「写真と経営は同じもの」と意味づけできるようになったのは、それから数年後のことでした。2000年から2003年にかけて、僕は生きた心地がしなかった。「写真=経営」の説明は以前書いたのでここでは割愛しますが、意味づけすることで僕は救われました。人生最大の矛盾が解消されたのです。

意味づけし、関連をみつけ、道筋を明らかにする

企業の経営活動の中には大小さまざまな矛盾が存在しますし、意味のよくわからない偶然というものも少なくありません。ときには「どうしてこんなことばかり起こるのか」と途方に暮れることもあるでしょう。
 そこには必ず意味がある。仮にまったく意味がなかったとしても、意味があると考えるほうが経営上メリットが大きいのではないかと思います。意味づけがまったく行われなければ、経営活動はすべて偶然の所産であり、行き当たりばったりになってしまうはず。何らかの意味づけを行っているからこそ、経営に方向性が生まれてくるわけです。
 意味づけを言葉に表し、文書または冊子にしたものが経営指針書(我が社の場合は「中期ビジョン及び第○期経営計画書」)ということになります。
 自社が存在する意味、自分がここで働く意味については、経営理念(または理念体系)の中で明文化していきます。社内で起こっている出来事、そして自社のまわりで起こっているさまざまな出来事については、SWOT分析を使って調べ上げていく。そうすると、偶然が「単なる偶然」ではないことに気づく。偶然の出来事を意味づけすることで、自社の理念やビジョンとの関連性が見えてくるのです。
 関連性がいくつも見つかってくると、自社の進むべき道筋が見えてくる。中小企業家同友会の「経営指針成文化と実践の手引き」のシートでは、「クロスSWOT分析」と「経営方針」に相当します。意味づけし、関連を見つけ、これからすべきことの道筋を明らかにする。ここが経営指針づくりの最大の山場ではないかと僕は考えています。
 自社の事業活動の中には、経営指針とまったく関係のないようなことがたくさん行われているはずです。偶然舞い込んできた仕事、顧客から無理に頼まれて引き受けざるを得なかった仕事もあるでしょう。それらすべてとは言いませんが、その中には意味づけ可能なものが少なくありません。
 また、困った出来事が立て続けに起こることもあれば、逆に幸運な偶然が重なることもあるものです。そこには自社を成長させるための何かが必ず隠されている。偶然と片付けずに、謎を解いて経営指針に盛り込んでいく必要があるのではないかと思います。
 我が社の中にも「どうして?」という謎がいくつもあります。発生してから数年後に解明されたものもあれば、未解明なものもある。わからないことが多いというのが実情ですが、大きな方向性についてはずいぶんハッキリしてきたのではないでしょうか。
 経営指針を成文化し、実践していくと、偶然の出来事の意味するところが瞬時にわかるようになっていくものです。ちょっと不思議な感じがします。

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