おはようございます。
午前8時半、健康診断の会場へ……と思ったら、それらしき雰囲気がまったくない。完全に場所を間違えた。電話で場所を教えてもらう。9時頃到着。ひと通りの検査を受ける。やはり、会社の健康診断日に受けるのが一番だと思った。11時、自宅でスロウの商品撮影。角版と切り抜き、数カット。簡単な撮影だが、ストロボの接点不良が頻発する。この症状は20数年ぶり。フィルムカメラでこの状態になると、かなりへこむ。デジカメでよかった。とはいえ、原因を解明しておかねばならない。午後は写真セレクト作業。
3時少し前に出社。来客。本来ならこちらからで向くべきところ来社していただいた。4時20分、かじのビルへ。あるプロジェクトの説明を受ける。6時からは北海道印刷工業組合十勝支部理事会。会議は30分ほど。メインは忘年会。ビールの後はほぼ全員熱燗。おちょこが小さかったためか、さほど飲み過ぎずに済んだ。9時過ぎ帰宅。
地域活性プロモーター
昨日考えさせられたのは、「印刷業界の将来の立ち位置について」でした。それよりも、「自社の立ち位置」というべきでしょうか。現在の我が社及び業界のポジションは、必ずしも居心地のよいものとは言えません。たとえるなら、波に侵食される岩の上に立っているような心境。これは同業者の多くが感じていることではないかと思います。
30年前に比べると岩盤がもろくなっている。ただ、長年その場所に立ち続けてきたため、思い切ってジャンプして別な岩に飛び移ることができない……。そんな映像が浮かんできます。
その一方で、次々と身軽に飛び越えながら、事業領域を拡大または変更している同業者もいます。変わり身が早いため、もはや「同業者」とは言えない域にまで足を踏み入れている。こうした企業から僕らはもっと学ばなければなりません。
印刷会社の目指すべき方向は「地域活性プロモーター」。ずいぶん前から全日本印刷工業組合連合会(全印工連)で提唱されてきたことです。実際、地域活性化に取り組む印刷会社は多く、我が社もその一社として数えられ、取り組み事例を紹介されることがあります。
ただ、どうなのでしょう? 異業種の企業もこの分野では活発に取り組まれていて、印刷会社が特段優位というわけではありません。近年では、業種の違いも境界線もわからなくなってきています。あと10年もすると、「昔は印刷会社だった」という話になるのかもしれませんね。今は地域活性化事業に積極的に取り組むことによって印刷需要を掘り起こす……という発想がメイン。しかし、これからは大きく変わっていくことでしょう。最終的なアウトプットが紙媒体である必然性は薄れている。そこにこだわり続けると、活動領域は非常に狭いものとなってしまうはず。
僕らは、レガシーマーケット(先人たちの築いた既存の市場)にしがみつきながらビジネスをするという考え方を改めなければなりません。もし、先人たちが今も健在なら、「自分たちの残した遺産を食い潰している」と言われそうです。また、将来の世代からは「イマジネーションに乏しい人たち」と思われるかもしれません。もっと大胆に、自社のビジネスモデルを考え、実際に行動する必要があるのではないかと思います。
レガシーの次にあるもの
印刷会社にとって優位性があるとすれば、よくも悪くも「レガシーがある」という点にあります。地元で何10年も事業活動を継続し続け、地域に根付いている。そして、情報を紙媒体に載せるのが主な仕事ですから、情報が集積しやすい事業形態であるというところ。印刷会社の多くは、地域のことをよく知っているわけです。
弱点は、長年受注産業というビジネス形態であったため、黒子的な役割を果たそうというDNA(?)が染みついている点にあります。ただ、僕が印刷業界に足を踏み入れた19年前に比べると、状況は大きく変わってきています。戸惑いながらも、一歩踏み出すという会社、人が増えている。この「一歩」を「思い切ったジャンプ」に変えることが、次なる課題と言えるでしょう。
業界から地域に視点を転じると、やはり同じように崖っぷち感のようなものを感じてしまいます。「十勝は元気だから大丈夫」といった楽観主義ももちろんあるのですが、北海道全体とか日本の地方全体について考えると、今のうちに打つべき手を打たねばなりません。放っておくと地方と中央の格差は拡大していく。地方は大都市に人材を提供し続け(つまり人口流出)、人がいなくなるまで人も富も吸い取られる……。ちょっと大袈裟な書き方になりましたが、そんな可能性も考えねばなりません。
一部の人たちの間ではすでに起こっていることですが、これから価値観の大転換が広まっていくことでしょう。従来の大都市、大企業信仰のようなものが少しずつ崩れていく。これも一種のレガシーですから、長い目で見ると確実に変わっていくはず。地方で事業を営む地域企業としては、発想を転換して、商品のあり方や提供の仕方を変えていくことで、自社の価値を高めていくことができるのではないでしょうか。そういう企業が増えていくことで、地域の魅力や価値も高まっていく。
このあたり、経営指針の中では「クロスSWOT分析」と「経営方針」に相当する部分ですが、その前の「10年ビジョン」のところで方向性を明示する必要があります。自社の10年ビジョンであっても、地域と切り離して考えるべきではないと僕は考えています。地域のあるべき将来像と自社の将来像を重ね合わせて、簡潔な言葉で表現する必要があります(できれば詳細な説明があるとよい)。
地域の明るい将来なくして、自社の将来もない。そう考えられるのは地域企業の特徴であり、それは強みといってもよいのではないかと思います。地域思いで前向き、積極的な企業が多く集まる地域は、必然的に発展していく。その大きな輪の中に自社、そして自分を位置づけることが重要と言えるでしょう。