
おはようございます。
朝5時半出発。少し早めに出発して正解だった。道東道には低速走行の車が多かった。8時、千歳駅着。K氏と合流。ニセコへ向かう。予定通り10時少し前、待ち合わせ場所に到着。ここでM社の方々と合流。撮影場所へ移動。森の中で数カット撮影する。次の目的地は札幌。昼食の時間はなく、コンビニでおにぎりを購入。午後1時、北海道大学に到着。学内5ヵ所ほど撮影。札幌市内とは思えない風景が広がっていた。たっぷり時間をかけたいところだが、次の取材が迫っている。1時50分出発。三笠を目指す。2時35分、T社に到着。5分遅れた。この日2度目ととなる森の中へ。さらに、岩見沢で2ヵ所する。夕方、T社に戻って取材、撮影。5時半頃、すべての取材を終える。K氏を岩見沢駅まで送り、帰途につく。8時半、帰宅。
前工程を知る
昨日はハードな取材となりました。というよりも、単に移動距離が長かったというべきでしょうか。久しぶりに、1日2度給油することとなりました。稚内を日帰りしたとき以来かもしれません。活発に取材活動を行うと、どうしても移動距離が長くなる。化石燃料を多く消費することとなります。現状では燃費のいい車に乗る、という程度の選択肢しかありません。取材活動を行っていて、ここは心苦しく感じるところです。
10時間くらい車の運転をすると、運転が仕事なのか、取材が仕事なのか、わからなくなってしまいそうになりますね。取材場所に到着し、「そうだ、これが今日の仕事だった」と我に返ることがたまにあります。編集者と一緒に行動しているときは、車内ミーティングのようになることもありますし、単なるドライブ気分になっていることもある。みんなは車での移動中、どのように過ごしているのでしょう? ちょっと気になります。
朝5時半から夜8時半。15時間のうち車での移動が10時間。実際に仕事をしたのは5時間に過ぎません。効率性を考えると、フリーの編集者やフォトグラファーに外注するほうがいいということになるでしょう。実際、そのようにしている出版社は多いはず。我が社の編集部には、そうした発想は一切ありません。創刊以来、自分たちでどこへでも行き、それを苦に感じたことは一度もないのです(運転しすぎて「眠い」という感覚はありますが)。
つまり、丸ごと自分たちでつくらないと気が済まない、という編集部なんですね。本の作り手全員が編集理念を共有するという観点から、そうあるべきだと考えています。また、自分たちで全部つくりたいという欲求を持った人が集まっているからかもしれません。
昨日の取材の中では、業種はまったく違っているものの、僕らと共通するような考え方を聴くことができました。自分の職域の前工程の仕事を閑散期に行う。そうすることで、素材をよく知ることができるし、原材料を大事に扱おうという気持ちになっていく。
僕らは自社の事業領域、自分の職域以外のことは、案外知らないものなのかもしれません。「何となくわかっている」というレベル。したがって、知識不足による素材の選択ミスや不適切な取り扱いをしてしまうこともあるに違いありません。写真でいえば、不適切にトリミングされることがありますし、著作権を侵害されることもたまに起こる。これは無知から来るものが圧倒的に多いといってよいでしょう。
マルチスキルを持った人たちによる共創
僕らの仕事は「分業」と「一貫生産」の間でいつも揺れ動いています。効率性の点では分業のほうが有利と考えられますが、一概にそうとも言えません。僕と同じように、取材と撮影を自分でこなす、という人がいるからです。こうしたハイブリッドな働き方ができる人は限られていますし、僕のようにそれが弱点になる可能性もある。どんな仕事の仕方がよいのかは、本人にしかわかりません。いや、たぶん本人にもわかっていないに違いない。試行錯誤しながら、自分のスタイルを確立していくことになるでしょう。
会社にもそのようなところがあって、一貫生産をウリにしている会社であっても、そのやり方が永遠に続くというわけではありません。「共創」「コラボレーション」といった言葉が社内で飛び交うようになったとしたら、意識が分業の方向へ傾いてきているといえそうです。
今の時代は業界の垣根を越えて、大きな地殻変動が起こっているわけですから、一貫生産とか、すべて自社で完結させるといった制約は設けないほうがよいと僕は考えています。
その一方で、経営理念や編集理念を曲げるわけにはいきませんから、一貫生産の部分も残しておかなければならない。何を残し、どこを分業化していくのか。このあたりを広い枠組みの中で考えるべきではないか? 昨日は車の中でたっぷり時間があったので、そんなことをあれこれ考えていました。
個人は多能工化(マルチスキル)が進んでいく。ひとつの職域だけでは活躍の場が確保できにくい時代になってきています。仕事が複雑化していく中で、自分の本業+アルファが求められる。編集者、フォトグラファー、デザイナーといった単一の能力ではなく、「このようなタレント性を持った人」に仕事を任せたい……という傾向が強まっていくのではないか?
近年、我が社にやってくる新規の仕事の中には、あきらかに従来とは異なるパターンのものがあります。「この人に任せたい」というような仕事。「この人」と指名されるような人財になることが、働く人すべてに共通する目標といえるのではないでしょうか?
そんなタレント性を持った人が協業しながら、これまでなかったものを生み出していく。会社としては分業が増え、個人としては一貫生産(自己完結型)に近づいていく。それを矛盾なくできるような企業が、これから成長・発展していくことになるはず。そのためには人材育成の仕組みと強力なモデル(目標となるような人)が必要だ……。我が社の中にも、いい素材、いい事例がいくつもあります。今後の展開を見守りたいと思います。