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経営指針の話77 社史と経営指針

経営指針の話77 社史と経営指針

こんばんは。
 訳あって、ブログをアップするのが夕方になりました。午後5時少し前に帰宅したところです。
 昨日は昼頃まで原稿執筆の準備。それと、リニューアルする会社案内の原稿。といっても、僕の担当部分は数行変更しただけ。午後1時出発。白老へ。4時半頃到着。取材は5時から7時まで。宿は白老ではなく東室蘭。この日はなぜか暴風雪。ゆっくり走ったら1時間くらいかかった。しかも、なぜか宿を勘違いして、別な宿にチェックインしようとする。暴風の中、2度荷物の出し入れをすることとなった。9時過ぎ、昏々と眠る。

意外に少ない創業期の記録

会社案内の社史の部分を見ていて感じたこと。それは1980年代までの我が社について、僕はほとんど知らないということでした。2000年以降については、いくらでも社史に掲載する事柄があるというのに、1990年代以前になるとくわしいことはわからない。1980年代ともなると、わずかに残っている史料をたどるしかありません。
 我が社の活動が2000年代に入ってからにわかに活発になった……というわけではないでしょう。1980年代以前も先進的な取り組みを行っていたに違いありません。ところが、その記録が十分に残っていない。僕は昔の社内報を丹念に調べてみたのですが、必要十分な情報は得られませんでした。社内報の他に記録が残っているというわけでもなさそうです。これは非常に残念なこと。少なくとも、僕が入社した2000年以降の記録については、しっかり残すようにしようと思っています。
 我が社の場合、創業期はいつ頃のことを指すのだろうか? ふとそんな疑問が湧いてきました。社史を作成する際には、「創業期」「成長期」「成熟期」といった具合に大きく分類することが多いものです。成熟期の後に、はっきり「衰退期」と書く人もいますし、「第二創業期」と位置づける人もいます。このあたり、自社の社史をどう捉えているのかわかって、興味深いものがあります。
 ソーゴー印刷の創業期は1954年から1965年頃までなのではなかろうか? 僕は想像するしかありませんが、1970年頃に作成された会社案内を見ると、そう思えてなりません。1960年代後半にはすでに成長期に入っていたと考えられるのです。僕は工場で遊んでいた記憶がかすかに残っている程度。そのわずかな記憶の断片をつなぎ合わせてみると、この時期に家業から企業へと変わりつつありました。
 当時の僕には理解できませんでしたが、会社組織にありがちなトラブルを目撃した記憶が残っています。家業から企業となる過程において、無数の産みの苦しみのようなものがあったのではないか? それゆえ、社内報を発行したり、社史を記録する余裕などまったくない……。創業期から成長期の序盤にかけては、そのようなハードな毎日だったのではないかと想像します。創業者がよほど記録することに熱心なタイプでなければ、創業期の記録は手薄になる。実際、「昔の記録が残っていなくて」と残念がる後継者が少なくありません。
 創業者が健在であれば、創業から今日までの歴史を根掘り葉掘り聞き出しておくべきですね。

イメージの力を借りる

それが不可能な状況となっている場合は、次善の策を講じなければなりません。といっても、それが「次善」なのかどうか、僕にはよくわからないところです。
 それは「イメージ力を駆使すること」というちょっと怪しげな方策。手がかりがまったくないということは、まずないと思います。けれども、今ある情報は断片のみ。しかし、断片的情報、当時の写真、ちょっとしたメモ書きのようなものを並べて、当時の時代背景や経営環境と照らし合わせながらイメージしてみる。そうすると、創業者の心境が少しだけ理解できるような気持ちになってくるものです。
 後継者に求められる能力は、歴史家と共通するものがあるのではないかと思うことがあります。歴史に諸説あるように、自社の歴史についても、幾通りもの解釈があってよいはず。もはや「正確な事実」がわからなくなっているのですから、「断片的事実」に「創業の精神」や「創業者の哲学」をミックスさせるほかありません。それに時代背景、経営観環境を重ね合わせながら、イメージ力を駆使していく。そうして明らかになった自社の創業期。それを自社の創業のストーリーとして文章化してもよいのではないか? 
 明らかなフィクションであってはなりませんが、「客観的事実」に「次世代の解釈」が加わっても差し支えないと僕は考えています。そのようにしないと、社史に創業期を記述できない企業が続出してしまうのではないかと思います。
 経営指針は「これからの自社の道筋」に重点を置いて作成されるものですが、同時に「自社の歴史や伝統」を共有するためのものでもあります。経営指針には必ずといってよいほど、社史が記載されているはずです。通常は年表であることが多いのですが、できればこれをストーリー化したいものです。
 我が社の場合、僕のイメージ力がまだ十分とは言えず、年表レベルに留まっています。これを美しいストーリーにまとめ上げることが僕のすべき重要な仕事のひとつ。改めて、来年リニューアルする会社案内のページを読み返してみて、もっとしっかりとしたストーリーを作成しなければ、という気持ちになってきました。
 先人たちの労苦の積み重ねがあって、今日の我が社がある。そのことを再認識し、自分たちも将来の世代の人たちから評価されるような「先人」とならねばなりません。まだだいぶ先の話ですが、70年記念誌の構想が少しだけ浮かんできました。

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