
仕事始め最初の週末を迎えました。やたらハードでした。皆さん、いかがお過ごしですか? あっ、忘れていました。
おはようございます。
正月気分もすっかり抜けました。来週から、たまっている原稿をじゃんじゃん仕上げていきます。
さて、いつの頃からか「コモディティ化」って言葉、よく使われるようになりましたよね。商品の市場価値が低下し、一般的な商品になること。消費者にとっては「どの会社の商品を選んでも同じ」ですから、価格の安いものが選ばれることになりやすい。企業にとっては困った現象。高付加価値商品を生み出せるよう、努力と工夫を重ねていかねばなりません。
文章にもコモディティ化が当てはまりそうな気がします。誰が書いても大差ない文章。しかし、そうした文章は「日本語としてはちゃんとしている」に違いありません。まるで書けない・・・。そんな地点からスタートした人にとっては、コモディティ化していても立派な文章作成能力といえるでしょう。
したがって、写真家的文章作成技法ではコモディティ化の一歩手前、「コドモディティ化」という手法について紹介したいと思います。
子供の頃は誰でも作文が書けた!
そう思いませんか? 小学生の頃を思い出してみてください。僕には小学校低学年の頃の記憶がほとんどなく、本当はどうだったのかわかりません。ただ、小学校5、6年から中学校に書けては、文章を書くのが驚くほど得意でした。
自分でそう思い込んでいただけかもしれません。それでもいいんです。「できる」という思い込み力が人を成長させる原動力となる。中学生までは文章を書くのが得意だったはずなのに、高校生になると途端に書けなくなっていました。なぜなのでしょう?
ずばり、ひと言で言うと「オトナ化した」のだと思います。大人=アダルト(Adult)。僕は「ああダルいと按摩する大人」と英単語を覚えました。これは大失敗でした。「大人=ダルい」というイメージが潜在意識に刻まれてしまったのです。
ダルい大人になってしまってはいけません。40の人も50の人も、ここは思い切ってコドモ化しましょう。
だた、何の方針もなくコドモ化せよといっても、何をどうしたらよいのかわからないわけです。
僕がここで提唱したいのは、「どの子供も一緒」と思われるような、実にありきたりなコドモ的な作文。これを大人であるあなたが真似てみる。コドモディティ化です。
実際の子供はこんなふうに作文を書くと思います。
おとうさんとどうぶつえんへいきました。ぞうさんをみました。おおきかった。きりんさんはくびがながかった。くじゃくがとつぜんはねをひろげました。びっくりしました。とらはちょっとくさかったです。でもおもしろかったです。
うまく真似できませんが、こんな感じでしょう。ちゃんと意味が伝わってきますし、実際に子供が書くと、新鮮な驚きや感動が伝わってくるでしょう。どの子供の作文にも、大人では表現できないような名文の要素が備わっている。これはストレートな表現に加え、文が単純で短いため。「素書き」と「スリム化」を当たり前のように実践しているのです。
これを大人である僕らが使うとどうなるか? 僕では力不足なので、ここでは文豪の力を借りることにします。
「言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽して、メロスは走った。メロスの頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、メロスは疾風の如く刑場に突入した。間に合った。」(太宰治「走れメロス」より抜粋)
ひとつだけ長い文があるものの、あとは単純な構造の文。ストーリーがストレートに伝わってきます。読み手にとってはテンポよく読み進むことができる。したがって、文章からはスピード感が伝わってくるのです。「走れメロス」のストーリーにピッタリの文体といえます。
文章を書くのが苦手な人は、子供から学ぶか、一部の文豪から学ぶのがよいでしょう。中途半端に「賢く書いてみよう・・・」などよこしまなことを考えると、いっぺんに意味不明な文章、日本語として成立していない文章になることがあります。
短文を連ね、たたみかけるように書いていく。そうすると、「走れメロス」のようにスピード感が表現できますから、すいすい読んでくれる。勢いよく読み進むことに快感のようなものを覚えると、読み手はそれを「いい文章だ」と錯覚することになるでしょう。
複雑な構造の文章に手を出すのは、「コドモディティ化」をマスターした後にするのがよいと思います。
これでも「文章を書くのが苦手」と感じる人がいるでしょうか? まだ苦手意識を払拭できない人は、「よほど理想が高い」か「自分は賢いから子供の真似をするのはごめんだ」と思っているかのどちらかでしょう。アダルトな自分をコドモ化するには、マッサージ機が手っ取り早いですね。頭のダルさをいかに取り除くか? その秘法は後日お伝えすることにします。
どうぞ、よい週末をお過ごしください。