
こんばんは。
久しぶりに夜、ブログを書くことにしました。明日早朝から行うべき作業が控えているためです。
新入社員研修は今日まで18講。全24講と決定しました。夜のうちに準備完了。この点は安心。もうひとつ入稿が迫っている冊子のほうがやや心配。土日勝負です。
それはさておき、新入社員研修の準備をしながら、10年以上前の映像を見直すことにしました。当たり前のことですが、そこには40代の自分が写っていました。見た目はともかく、当時と今とを比べてみると……。まったく考えていることに変わりはない、ということに気づきました。進歩がないという意味ではなく、ぶれていないということ。この18年、たぶん僕の考え方は一貫している。自信を持ってよいのかどうかわかりませんが、これは疑いようのない事実。
しゅんもスロウも、伝えたいメッセージという点では、ずっと変わっていないと思っています。作り手が変わったり、表現方法が変わることはありますが、根底に流れている精神に変わりはありません。これからもずっと続いていきそうな気がします。
雑誌媒体というのは、電波に比べると派手な情報発信手段とはいえません。その中でも、スロウはずいぶん地味な部類に属するでしょう。したがって、「発信し続ける」ということが重要なのではなかろうか? 今は55号の取材がスタートしたという段階。これが100号くらいになると、何か大きな変化がやってくるような気がします。季刊誌ですから、あと12年も先の話ですね。
雑誌の特徴は「繰り返し伝える」こと
新入社員研修を続けながら、僕はある事実に気づいていました。
それは「ほしいものは後からついてくる」ということ。たとえば、15年前の僕は「研修や講義によってメッセージを伝える力」がほしいと思っていました。そのために、日創研のTTコースという研修を受講。プレゼン力を身につけようとしました。
で、結果としてはどうだったのか? 2003年末の修了時点で、僕は「全然身についていない」と考えていたのです。ほしい力が手に入らなかったことに、僕は少し落胆していました。大きく落胆しなかったのは、「伝える力」以外の知識や力が多少はついたと思ったからです。しかし、一番ほしいものは得られなかった……。
ところが、研修が終わったからといって、一度ほしいと思ったものをあきらめる必要はないわけです。そう思っていたら、ありがたいことに同友会や日創研経営研究会からお呼びがかかるようになり、月1回ペースで事例発表や講演をするようになっていきました。実践でのトレーニング。場数を踏むことでほしかった技術がある程度身についていき、おまけに自信もついていった気がします。
本当のところちゃんと伝わっているのか? 聞き手の役に立っているのか? そして一番伝えるべき我が社の人たちにメッセージが届いているのか? このあたりは、僕には何とも言えません。けれども、我が社の人たちに対してであれば、繰り返し伝えることができる。雑誌媒体が号を重ねながら、同じメッセージを繰り返し伝えるように、僕もあるひとつのメッセージを伝え続けています。
一度限りのメッセージではおそらく伝わらない。卓越したスキルの持ち主なら伝わるでしょうが、僕の場合は5回か10回伝え続けて、ほんの少しわかるといったところでしょうか? 2、3年前のこと、「10年たってようやくわかりました」と言われたことがありました。「ずいぶん鈍いな」という気持ちと「辛抱強く聞いてくれてありがたい」という気持ちが混ざった、複雑な感情が湧いてきたのを覚えています。
僕の得た結論としては、心からほしいと思っているものは、いくら努力をしてもすぐに得られるものではないということ。10年単位で考える必要があるのではないかと思います。だから、経営指針には「10年ビジョン」があるわけです。仮に、1年ビジョンや3年ビジョンだったなら、得られるものは「心からほしいもの」ではないような気がします。
4月、これから社会人となる人に伝えたいのは、すぐに結果を求めないということです。これは本人だけの問題ではありませんね。採用した企業にも辛抱が求められます。もちろん、すぐにバリバリ活躍する人もいます。速やかに頭角を現してくれてもよいわけですが、もっと重要なことがあるのです。
中長期的に自分を成長させることができるかどうか? それも、技術面だけではなく、人間としても成長しているかどうかが問われることになります。最終的には、「人としてどうか?」「人生としてどうなのか?」ということが重要になってきます。
自分の人生を振り返ると、まったく偉そうなことは言えないわけですが、意味の薄い生き方を続けてしまうと、それが後年ボディブローのようにきいてくるものです。時間を切り売りするような生き方ではなく、キャリアデザインに沿って、大切な時間を積み重ねていくような生き方を目指してほしいと思っています。
不思議な偶然が重なって、全国380万社もある中で我が社に入社することになったのです。30年前に入社した人も、10年前に入社した人も、この4月入社する人も、「自分の身に奇跡が起こって、今ここにいるのだ」と考えてみましょう。必ず、何か意味があって自分はここにいるに違いない……。そう思えてくるはずです。僕は2001年頃そうした心境に達しました。たぶん、この気持ちがわかる人って、社内に数多くいるのではないかと思います。