おはようございます。
午前8時20分チェックアウト。春日から内幸町へ。久しぶりに満員電車に乗った。10分足らずの時間だと思うのだが、僕には永遠のように感じられた。僕の電車通勤歴はわずか1年半。1987年からは職住近接。今は徒歩40秒。これもディーセントワークのひとつと言えなくもない。
9時、第2回中同協経営労働委員会の2日目が始まる。前半は国際労働機関(ILO)駐日事務所プログラムオフィサー、田中竜介氏の講演。テーマは「国際労働基準から見た日本の働く環境 ~最低賃金制度を中心に~」。SDGsの目標8(働きがいも経済成長も)と関係の深い話だった。後半はグループ討議。11時5分から協議事項。12時終了。羽田へ向かう。
1時頃、羽田に到着。いつもの通り、保安検査場の中にあるラウンジで仕事をしよう……と思ったら、なんと入場不可。飛行機が飛ぶかどうかわからないようだ。ともかく、別なラウンジでパソコンを開く。調べてみると、最終便以外、雪のため「欠航」となっている。そんなに降ったのか。ふだん入らないラウンジは予想外に快適だった。次からはここにしようと思った。しばらくすると「条件付き」で出発することがわかった。5時15分発のエアドゥに乗る。
気になっていた本を読み始める。中小企業家同友会全国協議会(中同協)会長、広浜泰久氏の「よい会社をめざす」というシンプルなタイトルの本。サブタイトルとして、「自他を決しておとしめない生き方と経営」とある。実に読みやすい文体。そして、具体的な自社の事例。ほぼノンストップで読み進めていった。帯広空港着陸と同時に読み終えた。
駐車場へ向かうと、案の定、車の上にはこんもり雪が乗っていた。ほぼ予想通り。車の雪を払うのに15分くらいかかった。みんな大変だ。電話で応援を呼んでいる人もいた。8時頃帰宅。
ILOと同友会運動
ILOは学校で習ったので一応は知っていますが、それが各国の政府、使用者、労働者代表の三者構成になっているということは知りませんでした。国の代表だけではない。ここがおもしろい。
「ILO中核的労働基準」という初めて聞く言葉もありました。「結社の自由及び団体交渉権」「強制労働の撤廃」「児童労働の効果的な廃止」「職業・雇用上の差別撤廃」からなる8条約。これらは未批准国も尊重、促進、実現の義務を負うため、「中核的」なのだそうです。
この中核的労働基準がビジネスに対して影響力を増しているというのが、講演前半部分のポイントでした。自社は基準を満たしていても、自社が調達している原材料はどうか? そう考えると無関心ではおられません。民間企業ばかりではなく、公共調達でもそうした点が重視されていて、東京オリンピックにも「持続可能性に配慮した調達コード」というものがあるとのこと。
中盤からは働き方改革の話。日本の総労働時間は着実に短くなっており、1980年代では2100時間くらいだったのが、2015年には1700時間くらいになっています。アメリカ、イタリアのほうが労働時間が長い。そして、日本の労働生産性においては、ご存知の通り先進7ヵ国中最下位。OECD加盟36カ国中21位。これには「ジョブ型」の欧米と「メンバーシップ型」の日本という違いがある、という話でした。
職務記述書に基づき、仕事に対して人が割り当てられるという雇用の形。それがジョブ型。一方、メンバーシップ型では、先に人を採用してから仕事が割り振られる。ジョブ型のほうがゴールが明確で、長時間労働につながりにくい。こう書くとジョブ型のほうがよさそうな気がしますが、メンバーシップ型には雇用の安定というメリットがあります。どちらがいいとは簡単に結論づけられません。
田中氏は「ワークライフバランス」ではなく、「ライフワークバランス」という言葉を使っていました。この用語がILO的なのかどうかわかりませんが、「ワーク」より「ライフ」が先というのも理解できるところ。資料には「人間中心のアプローチ」と書かれていましたが、これからの時代は、SDGsの目標8、それと関係の深い働き方改革を中心に企業のあり方、個人の仕事の仕方が変わっていくことになるのでしょう。
飛行機の中で呼んだ広浜中同協会長の「よい会社をめざす」にも、SDGsの記述がありました。多くの人が気づいていることですが、同友会の理念や運動はSDGsに極めて近いものがあります。1975年に発表された「労使見解」からSDGsを体現してきた……。その先進性を認識すると同時に、世界共通の目標であるSDGsと同友会運動、そして自社の経営活動をしっかり連動させるべきではないか? この3日間で改めてそう強く認識したところです。