第5回 ゴビさばく

第5回 ゴビさばく

おはようございます。
 今日も変なタイトルをつけてしまいました。どんな話になるのか? 半分不安、半分楽しみです。
 もう38年も前の話。僕は高校卒業後、大阪芸術大学に進学しました。大阪府南河内郡河南町。大学の目の前の下宿に引っ越し、4月を迎えました。
 ビックリすることが起こりました。あるとき、気づくと空が黄色いのです。太陽はオレンジ色。そして、車の上にはなんと砂が積もっている。当時の僕は知りませんでした。黄砂なのだと教わりました。今は黄砂だけではなく、PM2.5も飛来してくるので、もっと大変なことになっているでしょうね。
 さて、黄砂はどこからやってくるのか? 東アジアに何ヵ所かある砂漠、または乾燥地域の砂塵からということになっています。何といっても一番多いのはゴビ砂漠でしょう。世界で4番目に大きな砂漠ですから。ゴビには本当に気をつけねばなりません(どう気をつければよいというのだ?)。
 というわけで、またしても強引な話の展開になってしまいました。第5回目は「文の語尾」について考えてみたいと思います。

語尾をどうさばくかで文章の質が変わる

昨日は「コドモディティ化」と題して、コドモ的作文を提唱しました。短文を連ねることで、意味もわかりやすく、テンポよく読むことができる。いいことだらけです。
 ただひとつ、気をつけるべき点として挙げておきたいのは、「語尾にひと工夫必要だ」ということ。次の文章を読んで、どう感じるでしょうか?

インドは脱税対策として高額紙幣を無効にしました。現金の使い勝手が悪くなりました。インド経済は一時大混乱に陥りました。ちょっと乱暴だと思いました。一気にキャシュレス経済へ移行しました。意外なまでに混乱は速やかに収束しました。

おおよそ意味は通じますが、大人の書く文章としては、ちょっと恥ずかしいのではないかと思います。これの原文は次のようなものです。

インドが「高額紙幣を無効にした」というニュースもありました。これは脱税対策によるもの。一時的にインド経済は大混乱に陥ったものの、現金が使えないということで、一気にキャッシュレス経済へ移行したとのこと。ちょっと乱暴な気もしますが、意外なまでに混乱は速やかに収束したそうです。(当社「2018年の年頭にあたって」より抜粋)

最大の違いは語尾にあります。「~ました」が何度も続くと、とたんに稚拙な印象となる。コドモ的文章とオトナ的文章の違いはここにあります。
 どうすればオトナ化できるのか? とても簡単。単純な話、いったん文章を書き上げた後、語尾を「さばく」(適切に処理する)のです。別な言葉に置き換えていくだけ。どうでしょう。「ゴビさばく」の必要性をご理解いただけるでしょうか?
 僕も調子のいいときは、勢いに任せて、一気に800字、1200字書き進めていくことがあります。自分の裡から湧き出す言葉を次々書き留めていかねばならない・・・。そんなときには、語尾に構っておられません。激しい勢いでキーボードを叩くことになるでしょう。
 夢中になって書き留めた後、ふと冷静に自分の書いた文章を読み返してみる。そうすると、似たような語尾が連なっていることがあるんですね。ですから、僕もしょっちゅう「ゴビさばく」という作業を行っています。達人レベルの書き手であれば、こんなことはせずに質の高い文章を書いていることでしょう。けれども、写真家的文章作成技法では、これを常套手段とすべきです。
 「~ました」「~ます」「~です」「~でしょう」。こうした語尾は、なぜか続けてしまいやすいもの。ですが、ちょっと慣れれば、比較的容易に別な語尾に変換できるはずです。
 語尾と整えてあげると、文章にうるおいのようなものが出てきます。語尾をさばいて、文章表現をみずみずしいものに変えていく。パソコン上の作業ではありますが、ある種、砂漠の緑化事業のようなものかもしれません。

ただ、最後にひとつ問題が残ります。いくらさばいてみても、「どうもしっくりこない」と感じることがあるのです。
 自分の書いた文章が、もったりしているように思えてしまう・・・。僕の場合、食べ過ぎた後に文章を書くと、もったりしやすい。動作の鈍さが文章にも影響を与えているのでしょう。とりわけ、ですます調で書いた文章には「もったり感」がつきまといやすいですね。
 技術的には「体言止め」を使うことで、もったり感をなくすことが可能です。

インドが「高額紙幣を無効にした」というニュース。これは脱税対策によるもの。一時的にインド経済は大混乱。現金が使えず、一気にキャッシュレス経済へ移行。意外なまでに混乱は速やかに収束。

体言止めだけでは味気ない文章になってしまいますが、簡潔でスピード感が出てきますね。通常は、体言止めと「です・ます」(または「だ・である」)をバランスよく組み合わせながら、リズミカルに文章を仕上げていくことになります。テンポよく話を進めたいときには体言止めを多用します。ていねいな表現にしたい場合は「です・ます」が多くなるでしょう。
 語尾を自由自在にコントロールできるようになったら、しめたもの。僕もそんな文章が書けたときには、小さなお祝いをします。ビールをグビグビ飲むのです(ノンアルですが)。文章にも喉にも、うるおいが欠かせませんね。
 それでは、また明日。

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