
おはようございます。
昨日は久しぶりの取材。午前8時半出発。滝上へ。取材は午後1時から。道順を教わらなければ絶対たどり着けないような場所。滝上は何度も取材しているが、このあたりでの取材はたぶん初めて。場所も活動も興味深い。4時頃取材終了。7時半帰宅。
「自分さえよければ」からの転換
「自分さえよければいい」と心から思っている人は、たぶんほとんどいないと思います。けれども、本人が自覚しているかどうかは別として、「自分さえよければ」的な人をときどき見かけます。ゴミをポイ捨てする人もいれば、身勝手な言葉で人を困らせる人もいる。そこまで稚拙ではないにせよ、自分の中にも「自分さえよければ」という部分がどこかにある。
普通は経験を積み重ねることで、ある程度社会に適合可能なレベルにまで「自分さえよければ」は抑えられていくものです。ところが、さまざまな理由によってブレーキが作動しないケースが起こりうる。コロナ禍にある今日であれば、ほとんどの人が何かしらのストレスを抱えています。心の弱い人は、こらえられなくなって誰かに自分の感情をぶつけてしまう。ぶつけられた人は、ストレスをためて、さらに別な人に怒りをぶつけてしまうかもしれません。
そうした負の連鎖は人の感情ばかりではなく、社会のさまざまな場所で起こっています。無理な値引き要求をされた会社は、さらに別な会社に無理な値引き要求をする……。これはよくあるパターン。「無理」が積もり積もると仕事が雑になったり、不正が行われるようになるかもしれません。
相手の利益を考える。これがまっとうなビジネスのあり方なのですが、正しいビジネスを通じて自社の利益を確保するためには、かなり本気で自社のビジネスモデルを確立しなければなりません。
言うまでもないことですが、「自分さえよければ」の対極にあるのが「誰一人取り残さない」です。負のスパイラルから正のスパイラルに転換しなければなりません。
これは地域企業の経営者の重要な役割ではないかと僕は思っています。もちろん、社員でも誰でも発想をプラスに転換させることは可能です。けれども、トップが発想を変えなければ、会社全体は変わっていかない。「自分さえよければ」という社長の下で、「誰一人取り残さない」という理念を形にすることはできない。どの会社にも、心やさしい人が大勢います。SDGsに共感する社員が大部分を占めているといってもよい。それを具体的行動に移すことができるかどうかは、企業のトップにかかっているのではないかと思います。
経営者には利益を出して自社を存続させるという命題があります。したがって、「自分さえよければ」という考えはなくても、自社優先で行動せねばならない局面もあるでしょう。どのように現実と折り合いをつけていくのか。ここに深い悩みがあります。悩んだ末に、誤った選択をすることもあるでしょう。
ですが、自分・自社の短所を自覚した上で、自社の持つ能力を正しく発揮して社会の役に立ちたい……という思いを持っているはず。そこに地域企業の健全性があるのではなかろうか? あえて「地域企業」と限定的に書いたのは、地域企業は地域との関わりなしに成長も発展もないからです。「自分さえよければ」という企業はいずれ消えていくことになるでしょう。
僕自身、身勝手なところがありますから、自社の社員や多くの企業経営者から学ばねばなりません。僕の所属する中小企業家同友会では、よく「全人格的成長」という言葉が使われます。これは自分・自社の利益だけではなく、地域や世界全体の利益となるような行動を起こすことのできる人のことではないかと、僕は理解しています。全人格的成長を目指すこととSDGs経営をめざすことは、ほとんど同じ道と考えてよさそうです。