
おはようございます。
昨日は原稿執筆日のつもりだったが、準備だけで半日費やしてしまった。どのように書き始めよう……と2時間くらい考える。ダラダラしていたら、畑仕事を手伝うことになった。気づくと夕方。1カット、スロウの記事のために撮影してから夕食。今日こそ、ひたすら書き続けねばならない。
永久劣後ローンを政策提言に
1日遅れとなりましたが、金曜日に参加したWEBセミナーの話をまとめておこうと思います。これは広く知られなければならない話。経営者向けの話ではあるものの、幹部や若手リーダーも知っておくべきでしょう。
講師は立教大学名誉教授で中小企業サポートネットワーク(スモールサン)主宰の山口義行氏。「コロナ大不況はいつまで続くか 情勢を正しく認識し、中小企業の経営課題を考える」というテーマでした。
「中小企業経営者は情勢を正しく認識していない」というところから話が進んでいきました。多くの中小企業が「半年先までの資金を手当てし、一安心している」というのです。半年先も日本経済はV字回復をしない。それが山口氏の結論。
その根拠は3つあって、「規制が解除されても経済活動が全面的に解放されるわけではない」というのが1つめ。店舗や宿泊施設では客数を制限して営業再開するため、やればやるほど赤字というところが出てくる。2つめは「インバウンドの復活が期待できない」こと。インバウンド消費に助けられてきた地方経済(たとえば北海道)がコロナ前の水準には戻らない。3つめは「海外経済の低迷により輸出が伸びない」こと。とりわけ、下請け製造業への影響が大きく、日本の製造業が痛んでいくという話でした。
新聞等でも言われている通り、「7割経済」となったならば、ほとんどの企業が赤字に陥る。
今は国が肩代わりしているから金融機関は積極的にお金を貸し出しています。問題は次の貸し出し。たとえば半年後、金融機関は自らリスクを負ってお金を貸すことになる。金融機関がジレンマに陥るというのです。聴いていて背筋が寒くなるような話でした。
山口氏は「中小企業家同友会は1社もつぶさないと言っているのだから、救う仕組みを政策提言しなければならない」と主張していました。その政策とは「永久劣後ローン」のこと。僕は4月15日の北海道同友会常任理事会で初めてこの言葉を知り、これを中小企業家の声として広げなければならないと感じました。その後、中同協の提言にも加えられることになったのですが、数多くの提言の中のひとつという位置づけでした。もう、この1点に絞ってもよいというくらい重要な政策ではないでしょうか(ちょっと極端かな?)。
永久劣後ローンの劣後とは「取り立ては最後」という意味。それに「永久」がつきますから、「ずっと借りたままでいい」ということ。いつ返すのかは、借りた側が決めればよい。それでも金利は戻ってきますから、経営破綻しなければ貸したお金は回収される。国際的には資本金と同じものと見なされるそうです。この永久劣後の債権を買取機構(国)が買い取る、つまり中小企業に公的資金を注入すべきというのが山口氏の政策提言。この提言を同友会も積極的にすべきではないかというのです。
補正予算の中には「資本注入」のために12兆円が組み込まれています。しかし、このうち11兆円は大企業のためのもの。中小企業用はわずか1兆円。しかも、対象となる中小企業は僕らから見ると「大」に近い規模の中小企業。中小企業は「借金することに慣れすぎている」というのが山口氏の説。確かにそうだな……と同意せざるを得ません。
この永久劣後ローンを中小企業に適用するには10兆円くらいあればよいという話でした。実現するには賛同者の数が重要。政界でも検討されているとのこと。「20年」といった妥協的な劣後ローンになる可能性もあるそうですが、それでも今の状況を考えると大きな前進でしょう。
ビジネスモデルや働き方を根本的に変えていかなければならないのは、どの会社も認識しているところ。ですが、半年先、1年先の資金繰り(これもコロナ禍の第2波と言ってよいのでしょうか)も、同じくらい重要な経営課題と言えるでしょう。もっと注意深く、新聞や経済誌を読まねばならないな……と再認識しているところです。
◎北海道中小企業家同友会政策委員会緊急WEBセミナー
https://www.youtube.com/watch?v=l8yEGJODyqw
◎スモールサン
https://www.smallsun.jp/