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第7話 オルフィス

第7話 オルフィス

おはようございます。
 昨日は入社式の日でした。紙吹雪が舞う中、新入社員9名が入場。おごそかに……ではなく、フレンドリーな入社式となりました。新入社員と言っても、うち4名は昨年入社し、すっかり我が社になじんでいる人たち。あとは今年1月に中途入社した2名と新卒者3名。新卒のうち2名も2月から新入社員研修を受けている。この日が初出社だったのはY君ひとりだけ。速やかに我が社になじんでもらえればと思っています。
 それにしても我が社には変な部分がありますね。入社式最後の縄跳びが何だったのか、僕にはさっぱりわかりませんでした。おもしろかったけど。

非印刷人的世界観

印刷会社らしくない話が続きます。
 昨日、オルフィスのことを「リソ」と呼ぶ社員が何人もいる、と書きました。入社式の後、オルフィスの本体を見て「なあんだ」と気づきました。本体の左上に「RISO」というロゴがプリントされていたのです。リソグラフを知らないはずの若手社員がどうして「リソ」と呼ぶのか不思議だったのですが、拍子抜けするほど簡単な理由でした。
 それはともかく、オルフィスは我が社の中でずいぶん活躍しています。インクジェットの高速カラープリンタ。単にリソグラフの後継という意味で導入されたわけではありません。以前は文字校のようなものであっても、カラーコピー機から出力されることが多かった。これにより、コストがかさむだけではなく、カラーコピーに負荷がかかり色再現のトラブルにしょっちゅう見舞われるようになっていたのです。
 文字中心の校正や企画書、提案書といったものの多くをオルフィスに置き換えると、いろいろな意味で負担が軽減されることとなりました。
 僕自身も、オルフィス導入によってもっとも恩恵を受けたひとり。ある頃から事例発表や講演、セミナーで話をする機会が増え、レジュメや配付資料の印刷に使うようになったのです。
 あ、今僕は「印刷」と書いたところですが、一瞬「プリント」と書き換えようか迷ってしまいました。印刷会社的発想をするならば、印刷ではなく「プリント」と書くべきところ。高速とはいえ、オルフィスは印刷機ではない、と印刷人である僕は考えてしまいます。ここが印刷機であるリソグラフとは異なるところ。たとえ、用途は同じであっても、印刷機とプリンタは異なる存在なのです。

そうした旧来の印刷人的世界観から、僕らはもっと自由にならねばなりませんね。我が社の中でも出版・広告関連部署の人たちは、非印刷人的世界観を持っていることでしょう。リソグラフとオルフィス、オフセット印刷機とオンデマンド印刷機。両者に境界線を引く人は少ないのではないかと思います。
 僕の中にも非印刷人的部分はあるのですが、長年印刷生活を送ってきたためなのか、心の奥底では引っかかるものを感じています。
 シャバシャバの「インク」でプリントされたもの。あるいはトナーによってプリントされたものを印刷物として認めることに心理的抵抗感を覚えてしまうのです。インキのにおいは好きですが、インクやトナーのにおいはどうもまだ好きになれない。特にトナーは体に悪そうなにおいがしますね。
 とはいえ、いつの間にか僕の仕事も会社の仕事も、インクやトナーを使って刷られたものの比重が高くなっているのです。
 特に僕のオルフィス使用頻度は非常に高い。インクジェットプリンタの欠点である印刷ムラが気にはなるのですが、講演用の資料であればさほど問題ない。ばんばん使っていました。
 ところが、パソコンを新しくしたら使えなくなってしまいました。オルフィスの機種が古いためか、対応していないのです。今は、オルフィスとつながっている人にPDFを送って、そこからプリントしてもらうというややこしい手段をとらねばなりません。我が社のオルフィスも、もうすぐ新機種と入れ替わることになるでしょう。

印刷とプリントの境界は、今の時代非常に曖昧なものです。もともと、日本語と英語という違いがあるだけで同じ言葉なわけですから、当然と言えば当然。印刷人的世界観が「ないはずの境界線」を無理に引いているだけ。この幻想を取り除くことが、今日の印刷人には求められますね。
 印刷に限らず、あらゆる業界が今ではボーダーレスなものとなっています。出版人でなくても、今では出版物を発行することができる。リトルプレスの中には、旧来の業界人にはない斬新な発想でつくられたものもあります。広告についても同様。古い発想にとらわれると、使い古したメッセージしか伝わらない。
 ここ20年くらいの間に、ものすごい勢いでグローバル化が進んでいきました。グローバル化というと、通常は世界地図を思い浮かべることでしょう。僕はもうひとつの地図、業界地図というイメージしにくい地図を思い浮かべる必要があるのではないかと考えています。
 かつて、僕らは古い世界観によって、業界地図の中に国境線のようなもの(境界線)を引いていました。ところが、グローバル化が進んだことによって、「あると思っていた境界線は幻想だったのだ」と気づくことになったんですね。ないものにしがみつきたいと思っている人、思っている会社は、これから衰退していくことになるでしょう。
 ないものはない。この当たり前の事実に目を向け、自分のすべきこと、自社のあるべき姿を追い求めて、自由に活動していくことが今の時代には求められています。
 無版印刷も印刷である。印刷人以外の人たちの常識を素直に受け入れるというところから始めなければなりません。出版人の人も広告人の人も、今起こっている変化を素直に受け入れなければ明日はありません。僕も「新・印刷生活」がすでに始まっていることを自覚し始めています。

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