
おはようございます。
午前9時過ぎ、紋別発。撮影しながら興部へ。10時、最初の目的地に到着。ここは買い物と届け物。話をする中で貴重な情報を得た。次に目指したのは浜頓別。興部からはずいぶん距離がある。予定通り、午後1時から取材が始まる。ここには何度か来たことがある。今回取材したのは初対面の移住者ご夫妻。不思議な感じがしたが、すぐにその空間に馴染んでいる自分がいた。建物には記憶の断片が埋め込まれていると思った。取材者はM氏。ご夫妻の話が非常におもしろく、大いに共感するところがあった。生き方、働き方も興味深い。なぜ浜頓別なのか、わかるような気がした。
宿泊地は中川。浜頓別からは1時間半。夕景を撮影。峠は雪道一歩手前という状態だった。宿泊はいつもの通り、ポンピラアクアリズイング。かなりしっかりした感染対策がとられていた。
リスクをとる生き方
移住にも実にさまざまなパターンがあるものです。衝動的なタイプもあれば、計画を練りに練って移住する人もいる。その人の人生にとってどちらがよいのかはわかりません。
僕は移住者ではなくUターン者ですが、あるタイミングで自分の進むべき道に引き戻された(意識レベルでは抵抗していたが、あるきっかけにより自分の定めに従った)というタイプ。Uターン者の場合は僕と似たようなタイプの人がけっこういますね。
移住者の場合は自分の意思で移住を決断することになります(配偶者の都合でやむなく……という例もありますが)。どのような考えによって移住に至ったのか? あるいはどのようなタイミングなのか? 計画をどのように立てたのか? 取材をしていると、そうした話を聴く機会は多い。そして、そのどれもが興味深い。
昨日の取材の内容はスロウ次号に掲載される予定ですから、ここで詳しく書くことはできません。ただ、ひとつだけ記しておくとすれば、開拓者のようなスピリットを感じました。開墾するといった意味ではなく、この場所で自分の暮らしを一からつくりあげていく。そんな意味合いです。それでいてユニークなのは、その仕事のやり方が最先端を行くもので……。
ここまでにしておきましょう。どんな記事にまとめられるのか、楽しみです。
スロウの取材では「移住」をテーマにすることもありますが、取材に行ったら「たまたま移住者だった」というケースが極めて多い。これはスロウを創刊して数年後に気づいた事実。それで、「北海道移住の本」などムック本ができたり、「りくらす」の誕生に結びついたりしたわけです。
移住者の暮らしぶりや考え方から、僕らは学ぶべき点が山ほどあります。移住前の安定した生活を捨てて、わざわざ初めて住む場所に引っ越してくるのです。働き盛りの人であれば、それなりに得ていた収入源を断って、北海道にやってくる。勤め人の人であれば、北海道の企業に転職すると、多くの場合収入は減ることでしょう。その分、生活コストも少なくて済むからいいという考え方もありますが、収入減+未知の土地という2つのリスクを承知で移住してくる。それだけの魅力や価値とはどういうものなのか? このあたりの話にもっと耳を傾ける必要があるのではないか。北海道民はまだまだ自分たちの生まれ育った土地の魅力を十分知っているとは言えない。そんな気がします。
今後、北海道にはさまざまなタイプ移住者が増えていくことになるでしょう。もはや「移住」という言葉ではくくれなくなるかもしれません。暮らしたい場所で仕事をする。あるいは、旅をしながらパソコン一台で仕事をする。暮らしと仕事の自由度がますます高まっています。
人生を懸けた移住もあれば、気ままな移住もあってよい。僕個人としてはそう考えています。人生をいかに意味あるものにするか。そこが何より重要なのでしょう。