高原淳写真的業務日誌 > 学習記録 > 学習記録37 北海道印刷工業組合新春経営者研修会

学習記録37 北海道印刷工業組合新春経営者研修会

学習記録37 北海道印刷工業組合新春経営者研修会

おはようございます。
 朝は文書作成と原稿執筆準備。10時、定例ミーティング。午後、帯広経営研究会2021年度要覧校了。2時45分、北海道印刷工業組合新春経営者研修会。ZOOMにより参加したが、参加者の顔が表示されない設定となっていた。講師は全日本印刷工業組合連合会(全印工連)の滝澤光正会長。「印刷産業の未来を拓く」というテーマ。タイトルはあっさりしたものだが、中身は非常に濃いものだった。印刷業界も大きく動き出していると思った。夕方、講演内容を忘れないよう記録する。

印刷版DX

講演では、印刷産業の現状、原因、対策が非常にわかりやすくまとめられていました。僕も同じ認識を持っていますが、これを社内にわかりやすく伝えるのには苦労します。昨日の伝え方をそのまま使わせてもらおうと思いました。
 昨日の研修会のメインは「印刷版DX」。これはどうやら、全印工連でずっと以前から提唱してきた「共創ネットワーク」に近い考えのものらしい。それぞれの会社の強みを生かして、ネットワークをつくる。仕事をシェアすることでコスト削減できたり、人員の最適化を図って働き方改革にもつなげていく。これをDXで行っていくというのが印刷版DX。
 DX推進プロジェクトは昨年3月から動き出していたらしい。僕はすっかり見落としてしまっていましたが、5月には記者会見の場でDX推進プロジェクトが発表されていたようです。タイムラインとしては、2021年度にモデル地区で試行され、22年度に全国で説明会を開催。本稼働するのは2023年度ということになるそうです。
 早くても2年後。ですが、これが全国で機能するようになると、印刷業界全体、大きく変わっていく。価格競争から付加価値競争に変わっていきそうですし、特徴のある会社が増えていくに違いありません。これを機に、事業領域を大幅に変える、あるいは業態を転換する企業も現れるような気がします。
 印刷業はごく少数の大企業があって、他はすべて中小零細企業が占めているという業界。従来のビジネスは「受注型」で「装置産業」でした。このため、設備投資に熱心な会社は生産性が高まり、コスト対応力がつき、競争力が増す。需要拡大期(1990年代まで)はそれでよかったわけです。
 ところが、DTPによって比較的容易に印刷データを作成できるようになり、持ち込みデータが増えた。2000年代からはCTPが普及し、フィルム製版不要となりました。同時に、印刷機の能力も高まっていった。一方、日本の人口は2000年代半ばから減少に転じます。印刷需要が減少するのに、供給力が大幅に高まる。これにより過当競争、価格下落、付加価値減少につながっていく。
 そこで、印刷事業の周辺にある「印刷付帯サービス」に着目し、事業領域の拡大を目指す企業が増えていくのですが、これがそう簡単にはいかないわけです。他の業界も事業領域拡大を目指していますから、業界間がボーダーレスになって異業種との競争が激化している。そんな混沌とした状況がここ20年間続いている。僕はそんな認識を持っています。
 これに対する有効な手立ては「各社とも規模を追うのをやめて、適正利益を確保しながら、みんながハッピーになる」というものですが、現状は逆方向へ向かってしまっています。価格破壊と域外への需要流出。この流れを変えるには業界全体の取り組みが必要なのかもしれません。「印刷版DX」は大胆かつ可能性を感じるプロジェクトだと思って聴いていました。
 それにしても、業界全体のことを考えることのできる人は立派だなぁ、といつも思います。地域企業の経営者であれば、地域のことはいつも考えていることでしょう。それは地域の発展と自社の発展がリンクしているため。一方、業界の発展と自社の発展は直接的にはリンクしにくい。業界のために活動できるという人は、その産業そのものに対する愛着心が強いのだと思います。「印刷」がとことん好きな人でなければ務まらないに違いありません。全印工連にもジャグラにも、他の印刷関連団体にもそのような人が大勢いるのでしょう。この歴史ある産業に再び輝きをもたらさなければなりません。

〒080-0046 北海道帯広市西16条北1丁目25
TEL.0155-34-1281 FAX.0155-34-1287

高原淳写真的業務日誌