
おはようございます。
朝のうちに原稿を書き終えようと思ったが、もう少しというところで時間切れとなった。10時半、次世代経営会議。午後1時、東京のある会社とZOOMでミーティング。3時からは「全道経営指針委員会研修会&人を生かす経営推進合同学習会」。「労使見解を元に、人を生かす経営の総合実践を ~自己姿勢の確立から経営理念の確立へ~」というテーマ。オンライン対談という形式で学習会は進められた。報告者は渡辺農機(株)の渡辺幸洋社長(道北あさひかわ支部)、(株)ケルプ研究所の福士宗光社長(札幌支部)、(株)平塚建具製作所の平塚勝也会長(南空知支部)。コーディネーターは(株)工藤商事の工藤英人社長(札幌支部)だった。1時間対談、20分質疑、1時間グループ討議。数えたわけではないが、全道各地から60名以上参加していたと思う。とかち支部からは経営指針委員以外の会員の姿も数名見られた。これはオンライン学習会だからこそ、といえるかもしれない。6時終了。5時間近くZOOMを使っていたため、頭がくらくらした。
「人を生かす経営」とは
頭がくらくらした原因は、グループ討議のテーマにあったのかもしれません。「人を生かす経営をどう捉えていますか?」というもの。もう何度となくこのテーマでディスカッションしているような気がします。10年前、15年前なら、何も迷うことなく討議できたテーマ。ですが、事業承継が目の前の問題として迫りつつある今、「人を生かす経営」というのは案外結論の出ないテーマであるように思えてきました。
中小企業家同友会では「社長と社員は対等か?」といったテーマでグループ討議が行われたこともありました。最近はないですね。こちらのほうが結論を導きやすい(答はありませんが)。
僕が最近思うのは、年齢差、世代差というものがどうしても存在するということ。対等という原則はあるものの、若手の人からすると、僕と対等であるとは感じにくいのではないかと思ってしまうのです。ですから、完全な対等はあり得ないのだけれど、その中でいかに信頼関係を醸成していくのかが重要となります。そこで、ハタと気づいたのは、数年前に比べ「会話量が圧倒的に減少している」ということでした。もともと口数の少ないほうですが、コロナ禍で以前にも増して減少している。「信頼」以前の問題かもしれません。
グループ討議の中で、どなたかが「若手を育てることに熱心なあまり、古参社員とコミュニケーション不足になり、心が離れていった」という趣旨の発言をされていました。このあたり、気をつけねばなりません。僕はまんべんなくコミュニケーション不足状態にあります。管理職やリーダーの人たちはどうなのだろう? 社内の隅々にまで目配りできているのでしょうか?
コロナ禍の1年、社内全体に自分の考えを伝える機会は、逆に増えているのではないかと思います。朝礼で話をするのは、以前は月1回でした。今は毎週月曜日。ほんの数分ですが、ちゃんと原稿を用意してメッセージを伝えるようにしています。
「人を生かす経営」というのは、簡単なものではない。年々、そう感じるようになってきました。成長意欲や貢献意欲を持って働いてきた人が、どういう拍子か、成長が止まってしまったり、自社から心が離れていったりすることがあります。何が原因なのか、よくわからないケースも少なくない。経営者や直属の上司に心の隙があったのか、何かをきっかけに本人に心の変化があったのか。会社としては「人を生かす経営」を基本方針としていても、実際にその通りにできる保証はありません。
僕にとっての「人を生かす経営」とは、「人から不当な扱いを受けることのない絶対安心な空間をつくること」と「会社のあらゆる資源を活用して自分の本当に実現させたいことを成し遂げられる環境を整えること」だと考えています。まずは、ちゃんとした自分の居場所があり、その上で自分の能力を開花させること。考え方としてはシンプル。他には制度面でさまざま考えねばならないことがありますが、ここは「自分の働き方は自分で決める委員会」が中心となり、自分たちで進めていけばよいでしょう。
人を生かすことは、自分を生かすことでもありますから、みんな我が事として考えられるのではないでしょうか。