
おはようございます。
午前9時半、同友会事務局のM氏とともにN社さんを訪問。10時半帰宅。11時からZOOMミーティング。午後はスロウ67号のための調べもの。資料を読み込む。4時、Googleミートを使ったミーティング。ZOOMと同じようなものだが、僕は使い慣れていない。ふだん使っているWebカメラで自分を映してみると、画角が変な気がした。ミラーレス一眼をWebカメラとして使用する。ミーティングの中身は興味深いものだった。可能性を感じた。
本当の姿を見る
少しややこしい話になりそうですが、原稿を書くために必要な概念化能力について考えてみようと思います。経営者の人であれば、コンセプチュアルスキルというほうがわかりやすいかもしれません。
経済学者、ロバート・カッツ教授が提唱した「管理者に必要な3つの能力」。「カッツモデル」と呼ばれているもので、テクニカルスキル(業務遂行能力)、ヒューマンスキル(人間関係構築能力)、コンセプチュアルスキル(概念化能力)の3つがあります。このうち、ヒューマンスキルについては、どの管理階層の人にも求められる。とりわけ、ミドルマネジメントにとって重要でしょう。ロワーマネジメントには業務的意思決定が求められますから、テクニカルスキルが不可欠。一方、トップマネジメントの場合は、自社及び社会全体を視野に入れながら総合的に意思決定する必要があります。そこで求められるのがコンセプチュアルスキルというわけです。
原稿作成技法について書こうとしているのに、少し面倒なテーマとなってしまいました。今回は「技法」というよりも、「考え方」の話になりそうです。技法よりも考え方に問題があって、「文章が書けない」という人が案外多いのではないか? あるとき、ふとそう思ったのです。
コンセプチュアルスキル(概念化能力)には14の構成要素があるとされていますが、もっとややこしくなるので割愛します。ただ、ロジカルシンキング(論理的思考)、ラテラルシンキング(水平思考)、クリティカルシンキング(批判的思考)の3つくらいは挙げておこうかな……。これらは原稿を書く上でも欠かせません。14の要素すべて、原稿作成能力とほぼ一致しています。
ただ文章を書くのと、原稿を書くのとでは、求められているものが異なる、と僕は考えています。原稿の種類にもよりますが、単なる情報ではなくメッセージ性の強い文章であれば、物事を概念化する必要があるでしょう。現象面だけにとらわれると、物事の本当の姿が見えてきません。これは写真を撮るときにも言えること。自分の網膜に映っている風景を美しいと感じたならば、美しいと感じた理由があるに違いない。その根底にある価値観に気づく必要があるのではないか。僕はそんなふうに思っているのです。
もちろん、100人中100人が美しいと感じるような絶景レベルの風景もあるでしょう。しかし、ほとんどの人が気にも留めない何気ない風景に対して、自分だけ美を感じ取るようなことがあるものです。そこには他人にはわからない理由がある。
取材先で興味深い出来事に遭遇したとき、新聞を読んでいて気になる情報に接したとき、あるいは会社の中で不思議な現象を発見したとき、概念化する能力が求められる。概念化することを自分の習慣とし、その能力が高まっていけば、必然的に原稿作成能力が身につくことになるでしょう。文章作成技術を身につけるのは、読み書きができればさほど難しいとは思えません。けれども、概念化能力がなければ事実を羅列しただけの文章となってしまいます。
人間である以上、概念化能力は必ず持っているはずです。その能力を日々磨いているかどうか。また、能力を伸ばすための習慣を持っているかどうか。このあたりが原稿作成能力に直結しますし、企業経営者にもフォトグラファーにも求められるでしょう。世界は激変しています。もしかすると、あらゆる人に必要な能力と言ってよいのかもしれません。