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仕事観について87 定着処理が大事

仕事観について87 定着処理が大事

おはようございます。
 午前9時、同友会事務局次長のK氏とともに会員企業訪問。帯広と中札内。会社訪問をするとユニークなエピソードに出合うことがある。昨日は滅多に聞くことのできないような話を伺った。午後1時帰宅。昼食。4時、スロウ編集会議。5時半終了。

暗室作業と人生

暗室を持たない生活をするようになって、21年経ちました。フィルム現像をしなくなったのは、さらにその数年前。30代の頃の僕は超ハードに働いていたため、フィルム現像をする時間が確保できなかったのです。35ミリのモノクロフィルムは、イルフォードXP2という、ネガカラーで現像処理できるフィルムを使用。ブローニーや4×5はプロ向けの現像所に外注。個展のために撮影したフィルムであっても、すべて外注。自分で現像していたのは1993年頃までかな? ハッキリ覚えていません。その分の時間をプリント作業に充てていました。
 フィルム現像にしろ、プリント(引き伸ばし)にしろ、露光した後のプロセスはほぼ同じ。現像液、停止液、定着液、水洗、乾燥という手順で仕上げていきます。現像液の種類はフィルムか印画紙かによって異なります。また、フィルムの種類や撮影の仕方によって、液の種類も現像時間も違ってくる。細心の注意を払わねば、適正ネガは得られません。
 もう30年近くフィルム現像を行っていないのですが、現像の仕組みはよくわかっていて、仕事や人生に通じるものがあるのではないかと思っています。
 仕事に置き換えると、撮影は「ひらめき」なんですね。カメラのシャッター速度と同様、1/250秒とか、1/1000秒といった一瞬のうちに起こる。それを後日「現像」するわけです。フィルム現像の場合、現像時間は7~10分ほどですが、仕事や人生の場合は数時間から数ヵ月までさまざまなものがあるでしょう。
 問題は現像後のプロセスなんですね。停止と定着。とりわけ、定着液が重要です。フィルム現像の場合は10分くらい。僕は慎重を期して、2浴定着を行っていました。定着を2回に分け、2浴目の定着液には鮮度の高いものを使っていたのです。
 それはともかく、仕事でも人生でも、定着という作業が不可欠といえるでしょう。仕事でうまくいったことがあれば、それを自分の勝ちパターンとして定着させなければなりません。自分の人生の中で好ましい行動を行ったならば、それを習慣として定着させることが人生の質的向上のために欠かせないでしょう。
 フィルム現像の場合、適切に定着処理し、適切に水洗(水洗促進液を使用する場合もある)、乾燥を行えば、少なくとも自分の生きている間は退色することがありません。印画紙も同様。学生時代、40年前の作品を額装して飾ってありますが、ほとんど退色は見られません。
 仕事においては「自分の必勝パターン」を、人生においては「よい習慣」を身につけること。この定着作業をおろそかにすべきではありません。また、全員が現像、停止、定着、水洗、乾燥という一連のプロセスを自分自身の手で行うことができるよう、人材育成に努めなければなりません。
 定着作業が不完全だと、写真の場合は紫外線、湿度、酸性ガスなどの影響を受けて劣化が進んでしまいます。「人」の場合はどうなるのか? 僕の想像では、外部環境の影響を受けて、マイナス思考に陥ってしまうような気がします。これは定着不足が原因なんですね。したがって、もう一度現像、停止、定着、水洗、乾燥をやり直さなければならない。
 今はデジタルな時代ですから、フィルム現像と同じことをする必要はないのかもしれません。それでも、人間はアナログな存在ですから、定着=習慣化が欠かせないでしょう。フィルム現像によって得られるのはネガフィルムですが、その作り手である自分自身がネガであってはいけません。根が真面目な人ほどネガになりやすい傾向にあるので、注意する必要があると思います。

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