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門外漢の原稿作成技法第31回 クレージーウォール

門外漢の原稿作成技法第31回 クレージーウォール

おはようございます。
 午前中はたまっていた事務的な業務を片付ける。午後は計画書作成。だいぶ進んだが、もう1日かかる。どうしてこんなに時間がかかるのか、自分でもよくわからない。5時過ぎからは休日として過ごす。

赤い糸でつないで真実に迫る

よく海外の映画やドラマで、壁に地図、写真、新聞の切り抜き等を貼り、赤い糸で手がかりをつなぎ合わせる、というシーンを見ることがありますよね。中には、天井から写真をぶら下げて立体的につくられているようなものもあります。これをつくるのに、どれほどの時間をかけているのだろうか? そんな時間があったら、現場で捜査するほうがよいのではないか……と、余計なことを考えてしまいます。
 まあ、実際に捜査官や探偵がそんな手法を使っているとは思えませんが、考え方としてはきっとこんな感じなのでしょう。情報と情報をつなぎ合わせて、真相に迫っていく。これは原稿作成にも企業経営にも通じるところがあるような気がします。
 ドラマの場合は、登場人物が同じ時間、同じ場所にいた、というふうに糸を結んでいく。知られざる血縁関係、あるいは利害関係ということもある。まったく無関係のように見えるものが、不思議とつながっていてミステリーの核心へと向かっていくわけです。
 5000字程度の雑誌原稿の中に、それほど凝ったトリックを仕込むようなことはまずありません。けれども、数本の「赤い糸」があるほうが、ストーリーとしてはおもしろいのではないかと思います。その糸は見えても見えなくてもよいでしょう。
 「糸」は「意図」でもあって、そこに原稿執筆者の隠された思いや考えが込められている……。そのほうが文章に深みが増していくことになるわけです。糸または意図がなければ、文章は「事実」と「感情表現」に終始することになる。もちろん、事実そのものにインパクトがあり、それを魅力的に伝える表現力があれば、文章としての価値は高いものとなるでしょう。
 しかし、そこにはちょっとした限界のようなものがあるんですね。「もっとめずらしいもの、インパクトのあるものはないか?」という方向へ向かってしまいやすいのです。雑誌スロウの場合は「足元の豊かさに光を当てながら、わくわく北海道をつくります」という編集理念がありますから、インパクト第一主義になることはないでしょう。すごい事実があってもよいし、見過ごしてしまいそうな事実の中にユニークな真実があってもよい。そんなスタンスです。
 冒頭の赤い糸でつなぎ合わせて真実に迫っていくというやり方。調べてみると名称がありました。どうやら「クレージーウォール」と呼ばれているらしい。
 原稿を書く際に、僕がクレージーウォールをつくることは将来にわたってないでしょう。けれども、頭の中にはこれに近い図が描かれていることがあります。たまに使用するマインドマップも、少しだけクレージーウォールに近いところがあります。18年前に受講した研修では、特性要因図をつくったことがあります。フィッシュボーン・チャートとも呼ばれるもの。特性と要因を線で結んでいくという点では、特性要因図のほうがクレージーウォールに近いかな? 
 手法はさまざまあると思います。いずれにせよ、何かと何かを紐付けして、真相に迫っていくことが重要です。原稿執筆の場合は、自分が解明したいと思っている謎に迫っていく。企業経営者の場合、自社の経営理念に沿って事業活動を行いながら、どのようなプロセスを経て経営ビジョンに近づいていくのか。その道筋を明らかにすることになります。
 僕の頭の中には無数の「赤い糸」があります。問題はそれがこんがらがってうまく紐付けられていないこと。糸をほどいたり結び直したりしているうちに、時間がかかってしまっている。海外ドラマを見ていると、ほとんど無意味に見える糸もいっぱいありますね。すべての糸に意味があると考える必要はないのかもしれません。

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