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偶然経営仮説31 過去に蒔いた種

偶然経営仮説31 過去に蒔いた種

おはようございます。
 午前9時過ぎ、いったん出社。9時半帰宅。10時、某プロジェクトのミーティング。方向性が定まってきた。午後はオンライン会社案内の準備。自社の案内に使えるパワーポイントのスライドを集めてみる。2時45分頃、関係者が集まってきた。我が家のミーティングルームがスタジオに。すでに何度か使っているため、みんな手慣れている。だが、この日は「インターネットが不安定」という問題が浮上していた。僕はときどきインターネットの速度を計測しているが、計測時にはいつも素晴らしい数値を示している。昨日は「夕方は混み合うのではないか」という結論に達した。いくつかのトラブルに見舞われたものの、オンライン会社案内は楽しい感じにまとまった。スタジオ(自宅)、編集部、事務所、工場の4ヵ所からソーゴー印刷のリアルな姿が伝わったのではないかと思う。

アイデアが形になるまでの時間

アイデアが頭に浮かび、それが具体的な形となるまで、当然ながらタイムラグがあるものです。そのタイムラグはどのくらいの長さなのだろう? 僕はときどきそのようなことを考えます。
 「夕食はステーキにしよう」という程度のアイデアなら、肉を買いに行く時間を含めても、2、3時間あれば十分形にすることができる。
 一方、「このような魅力的な会社にしよう」といったアイデアならば、数ヵ月、数年、もしかすると10年単位の時間を要することになるのかもしれません。自分が引退した後に実現するということも考えられます。だから、企業経営者が描くべきビジョンは、自分の損得勘定から自由になることが大事だと僕は思っています。自分の引退後、または死後に実現するような超長期的ビジョン。それを描いて、経営指針に反映させることが経営者の重要な仕事のひとつでしょう。
 企業経営者に限らず、社員の何気ないひと言であるとか、ちょっとしたおもしろい活動が、後年自社の新規事業につながっていくことがあります。
 スロウ創刊当時、編集者のひとりが「社長は数年後、各地で講演して回っている」(当時、僕は「社長」と呼ばれていました)と予言めいたことを言っていました。スロウを創刊した2004年は、同友会の小グループ活動で事例報告をした程度。実際には、2006年頃から講演を依頼される機会が増えていくこととなりました。
 自分で言葉にしなくても、誰かが発した言葉で何かが変わる。そういう場面を僕は何度も見てきました。しかし、言葉だけでは何も変わりません。言葉プラス具体的な行動。それが大切ですね。
 2009年か10年、電子書籍を事業化できないものか、僕らは思案していました。「僕ら」といっても、当時、強い関心を持っていたのは社内では僕だけ。Kindleが日本版を出す2、3年前。函館、東京の人たちと一緒に、「まずはつくってみよう」ということで、スロウの連載記事を英語に翻訳。「From an Abandoned House on the Osotsubetsu Plain」(英語版)としてKindleストアから発売したのでした。検索したら今も発売中でした。発売日は2010年2月4日。
 それから10年以上経ち、再び電子書籍熱が高まってきています。日本語に対応していなかった当時とは異なり、今ではさまざまな電子書籍が出回っている。我が社はすっかり出遅れてしまった感がありますが、遅すぎることはありません。コンテンツがあれば、いつでも始められる。これまで、我が社は電子書籍を3冊発行しただけですが、今後、この事業が活発化していくことでしょう。
 電子書籍に限らず、今立ち上がりつつある活動は、過去の活動の何かと関連している可能性が高い。通販も、ウェビナーも、UIJターン関連事業も、過去の言葉や出来事と線で結ぶことできる。ただ、10年、20年という時を隔てていますから、当事者にとっては初チャレンジであることが多いんですね。偶然こうなったと思っているかもしれませんが、我が社の歴史から見ると必然であることが少なくない。
 そう考えていくと、今の時代を生きている僕らは、将来の世代のために「よい種を蒔いておく」必要があると言ってよいのではないでしょうか。好ましい偶然が起こる可能性を高めるための活動。僕も意識して種を蒔こうと思います。

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