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取材記録14 仕事らしくない取材活動

取材記録14 仕事らしくない取材活動

おはようございます。
 帯広は強風。だが、澄んだ青空。「ゆったりある記」の取材に行くこととなった。目的地はえりも。帯広ですら強風なのに、えりもへ行けば強風で飛ばされるかも……。途中、広尾で撮影。意外にも風は強くない。えりも町の庶野さくら公園も同様。ここで弁当を広げる。のどかな休日といった雰囲気。風で桜の花は散っているのではないかと思ったが、いい感じで撮影することができた。取材地は襟裳岬の近く。さすがに、風が強くなってきた。それでも出発前の帯広ほどではなく、難なく撮影することができた。2時間近く歩いたようだ。午後5時半帰宅。

仕事、休み、遊び

首からカメラを提げて、森の中を歩いて時折撮影する。どう見ても仕事をしているようには見えない。書き手のM氏はノートとペンを持って歩く。こちらのほうはいくぶん仕事っぽい。会話量は少なく、それぞれ自分のすべき仕事に集中する。客観的に見ると、どんな感じなのか? きっと、口数の少ない自然愛好家といった2人に見えるでしょう。
 僕自身も、実は仕事という気持ちにはなっていません。スロウの「ゆったりある記」は、僕の中ではもっとも仕事らしくない取材活動といえます。とはいえ、誌面に掲載すべきカットを撮り逃すと大変なことになります。頭の2割くらいは仕事モード。
 けれども、休日の僕は常に頭の半分くらいは仕事モードなんですね。たぶん、多くの企業経営者は仕事が頭から離れない。経営者に限らず、仕事熱心な人の多くはそのような休日の過ごし方をしていることでしょう。休んではいるが、頭は働いている。ですから、仕事にONもOFFもない、というのが僕の考え方。無理に休もうとすると、妙な疲労がたまってしまうことがあります。
 毎日仕事モードだと神経がすり減ってしまうかもしれません。そこで、仕事の中に少しずつ「休み」のような活動を取り入れています。これは無意識的に多くの人が行っているのではないかと思います。
 僕が新入社員だった頃には、「仕事中は仕事に集中せねばならない」という価値観が主流だったと思います(今もそういう会社が多いはず)。僕が勤めていた会社から徒歩10分ほどのところにK興業という会社があり、ときどき届け物をすることがありました。K興業との中間地点にソフトクリーム店がある。夏、僕は当然のこととして、ソフトクリームを購入し、K興業まで速歩で歩いていきます。歩行速度を1.2倍くらいにしていましたから、ソフト購入によるタイムロスは十分取り戻している。仕事に支障はありません。
 ですが、僕のソフト購入はしっかり目撃されていたようです。その結果、どうなったのかというと……。おとがめなし。別な部署だったら、こってり絞られていたことでしょう。仕事には厳しい会社でしたが、仕事にONもOFFもないという考えに近い部署に僕は在籍していました。物事を合理的に考えれば、仕事とプライベートが混ざり合うのは自然なことではないか。昔も今も、僕はそう考えています。
 僕には「休む」という感覚はよくわかるのですが、「遊ぶ」という感覚が今一歩理解できていません。遊びと仕事がかなりの部分、一体化しています。原稿を書く中で遊びを実践していますし、写真を撮りながらも遊ぶことがある。けれども、それは普通に指すところの遊びとはずいぶん違っているような気がします。
 「ゆったりある記」の取材は、僕にとっては通常の風景撮影とほとんど変わらない感覚でできる仕事です。したがって、頭の中ではさまざまな考えが浮かんでは消えていく。過去の記憶が一気に押し寄せてくることもあれば、現実の差し迫った問題について考えることもある。頭の中で起こっていることは、休日、体を休めているときとほとんど変わりありません。
 編集者、ライターは通常外に関心を向けて取材活動を行いますが、フォトグラファーである僕はどんどん自分の内側に向かっていく。書き手は執筆段階で内側に向かう。このプロセスの違いが、書き手と撮影者の「風景の見え方の違い」となって現れるのかもしれません。

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