高原淳写真的業務日誌 > 一から始める自費出版 > 一から始める自費出版03 ライト出版

一から始める自費出版03 ライト出版

一から始める自費出版03 ライト出版

こんにちは。ブログの更新が遅くなりました。
 午前10時、ヌプカにてミーティング。11時半、帰宅。午後は原稿執筆。だが、スピードは上がらない。4時頃、ようやくまとまった。4時、自費出版アドバイザー養成講座。時間が過ぎているのに始まらない……。これはおかしいと思って、ページを再読込したら、すでに開始から20分が経過していた。まあいいかぁ。YouTubeで後から見ればよいだけの話。講師は日本印刷技術協会研究調査部の藤井建人氏。テーマは「ライト出版市場の誕生と広がり」。ライト出版という不思議な出版形態が増えつつあるらしい。講座終了後、少しだけ仕事をする。

ライト出版

ライト出版という言葉は知りませんでしたが、そのような「出版物」はずいぶん前から存在していたと思います。それこそ、昔であれば謄写印刷してホッチキス留めにしたような冊子。イベントなどで売られていました。
 ライト出版に定義があるのかどうか、僕にはわかりません。位置づけとしては、一般の自費出版ほど出版物らしくはありません。コピーやプリンタ出力したものから、印刷・製本した出版物に近いものまであるようです。同人誌とは違って、個人の体験、ノウハウ、アイデア等が記された文字物であることが多い。ページ数は非常に少なく、価格は数100円程度。1000円を超えるものはあまりないようです。まあ、出版物と言ってよいかどうか迷うような体裁のものですから、価格が付いていること自体、ちょっと不思議な感じもします。
 で、それが売れるのかというと、それなりに売れているという話でした。中には版を重ねているものもある。これはどういうことか? 話を聞いて、なるほどと思いましたね。たとえば、コンピューター技術といった分野であれば、通常の出版物では遅いのだそうです。本になる頃には情報が古くなる。たとえ10数ページ程度の「本」であっても、お金を出して買うだけの価値があるということなのでしょう。
 鮮度が命というような情報であったり、あまりにもニッチすぎて一般の出版物にはならないようなもの。要は出版社が手を出さない分野といえそうです。また、既存の印刷会社や出版社の考える自費出版とは、ずいぶん出版に対する考え方に差があることがわかりました。
 僕は印刷人であると同時に出版人でもありますから、文章の質、文字組み、デザイン、印刷・製本の質といったものがどうしても気になります。コピー用紙をホッチキスで留めただけのようなものを「出版物」とは認められない。出版物とはかくあるべき。そんな固定観念から逃れられないのです。
 しかし、考えてみると、「情報の価値は読者が決めるもの」という側面もあります。著者が「これは出版物だ」と言い、読者が価値を認めて購入したのであれば、第三者からとやかく言われる筋合いはない。かくして、ライト出版をする人とその情報を求めている人との間で、売買が成立する。これは今のところ、大都市で行われるイベントの中で成立している出版形態のようです。もっと広範囲に広がるものなのかどうかは何とも言えません。
 ここから、僕らはひとつ学ぶことがありそうです。
 それは、もっとライトな感覚で本を出してもよいのだ、ということです。僕自身は、一応プロなので、自分の基準を満たす本でなければ出版するつもりはありません。しかし、普通の人が普通にライトな感覚で出版を出す。そんな時代となりました。印刷会社に発注せず、家庭用インクジェットプリンタで「印刷」したようなものでも、出版物と名乗ってよい。そのくらいのおおらかさあったよいのではないでしょうか。
 そういえば、電子書籍をの中には「0円」という本があって、試しに読んでみると「何これ?」と思うほどあっという間に読み終わるものがあったりします。ライト電子書籍というのもありですね。
 大上段に構えることなく、日常の延長という感覚で本を著してみる。ライト出版を楽しむ人が増えていくことで、出版の裾野は広がっていくことになるでしょう。その中には「もっと本らしい本を出したい」という人も現れるに違いありません。

〒080-0046 北海道帯広市西16条北1丁目25
TEL.0155-34-1281 FAX.0155-34-1287

高原淳写真的業務日誌