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一から始める自費出版20 写真の位置づけ

一から始める自費出版20 写真の位置づけ

おはようございます。
 取材予定が入っていたが、荒天のため中止となった。丸一日デスクワーク。たまっている仕事を一気に片付けようと試みる。気になっている順番に進めていく。午後は「記憶の中の風景68」のための写真選び。もう一歩というところで仕事を終える。

写真の位置づけ

自費出版物の中には、先頭数ページに写真を並べ、グラビアページ(実際にはオフセット印刷ですが)としている本を見かけることがあります。印刷技術が格段に進歩した今日では、僕にはあまり意味は感じられません。カラー写真を載せるなら、コスト面の理由から写真だけまとめることはあってもよいでしょう。ただ、本文の中に写真を織り交ぜるほうが、はるかに伝わりやすく、本としての見栄えもよい。僕はそう考えています。
 ここで問題となるのは、さまざまな種類の文章があるように、写真にも使用目的に違いがあるということ。特に区別すべきものは「説明写真」と「イメージ写真」です。
 説明写真というのは、文章の手助けとなるような写真のこと。たとえば、料理本であれば、料理のプロセス写真が必要となるでしょう。言葉だけではどのようにつくったらよいのかわかりにくい。料理本に限らず、実用書では説明写真が数多く使われます。写真を効果的に活用し、すべて言葉で語ろうとは考えないこと。文章と写真の役割分担をすべきでしょう。
 ただし、たとえ実用書であったとしても、文章と説明写真だけでは、ちょっと味気ない感じがします。本としての魅力を高めるには、イメージ写真を活用するのがよいと思います。子供の頃、僕はポプラ社の「怪盗ルパン全集」を夢中になって読んでいました。たぶん、その頃は挿絵の存在が大きかった。ミステリアスな挿絵によってイメージが膨らんでいき、ワクワクしながら読み進んでいったのです。
 文章主体の出版物であれば、「文章の質」が本の質を左右することになるのですが、今日は「映像の時代」でもあります。「写真の質」が本全体の魅力に少なからぬ影響を及ぼすと考えるべきでしょう。したがって、本のテイストに合ったクオリティの写真を用意する必要があります。自分で撮影した写真で揃えることができればよいのですが、誰かから借りる場合は著作権の問題をクリアするようにしてください。
 一冊の本に写真を何点くらい使うのがよいのか? このあたりは著者の判断に委ねられます。僕の本では、平均20~30点使っていると思います。写真のないページが10ページも続くと、ちょっと味気なく感じられるのです。活字大好きという人であれば、写真はもっと少なくてもよいかもしれません。
 ただし、世の中全体、写真を多用する傾向がありますね。写真に限らず、イラストや図版は、「ちょっと多すぎるかな」と思うくらい使っても差し支えないでしょう。
 拙著で言えば、「写真家的文章作成技法」と「激訳・自分史作成講座」では写真を多用することにしました。とりわけ、後者は文章の中身と直接関係のないイメージ写真を使用。写真には暗示させる効果があります。まったく関係ない写真であっても、読み手は頭の中で勝手に文章と映像とを関連づける。ここがおもしろいところであり、イメージを広げる写真を使うことで本の質を高めることが可能となるわけです。
 洋書に多いと思っていたのですが、近年では日本の書籍にも増えてきました。写真集のような実用書。料理本には完成した料理の写真が必ず載っています。それが料理だけではなく、「料理のある風景」になっていたりする。同様に、雑貨や家具の本にしても、「雑貨や家具のある人生」が伝わるようなイメージ写真が使われています。
 あらゆるジャンルの本が、部分的ではあっても、写真集化していくのではないか? そんな予感がしています。

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