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使える!ビジネス迷言・第5話「美田よりもエビデンス」

使える!ビジネス迷言・第5話「美田よりもエビデンス」

おはようございます。
 午前10時半、ミーティング。12時半、ノースランド。帯広ロータリークラブ例会。2時、中小企業家同友会とかち支部広報委員会。3時40分帰宅。7時、帯広経営研究会7月例会。講師はイネスホーム(株)代表取締役の塚本誠氏(札幌)。塚本氏は日創研経営研究会本部レクチャラーでもある。テーマは「中小企業の経営危機をマインドイノベーションと経営革新で乗り切る」。まさにテーマ通りの内容だった。数年前にも塚本氏の講演を聴いたが、そのときよりもさらに深い話のように感じられた。形は異なるが、我が社の悩みと重ね合わせながら聴くことができた。

美田よりもエビデンス

創業者である父は、生前、思い出したように繰り返し、僕に対してこう言い放っていた。
 「子孫のために美田は残さず……だからな!」
 これは言うまでもなく、西郷隆盛の名言「児孫のために美田を買わず」から来ている。僕が西郷隆盛の名言を知らないと思って、伝わるように言い換えたのだろう。実際、僕は名言かどうかも知らず、父の死後、数年経ってから気になってネットで検索した。
 そんな浅いレベルの知識しか持ち合わせていない僕だが、ネット検索は便利であることこの上ない。父から聞いたときには、「お前のためにならないから財産は残さないぞ」といった意味合いだと理解していた。実際、そのような意味で使っていたのかもしれない。しかし、西郷隆盛は「子供を甘やかすな」という意味でこの言葉を残したわけではないようだ。漢詩「偶成」によると、「志を果たすためにすべてを犠牲にせよ」という自分への戒めの言葉であることが読み取れる。
 いずれにせよ、事業承継について考える際、この「児孫のために美田を買わず」という言葉は心に重くのしかかってくる。実際、先代は美田を残したのか否か? 残したものが美田なのか、荒れ地なのかよくわからぬまま、2000年12月、僕は会社を継ぐこととなった。
 美田を継ぐのと荒れ地を継ぐのとではどちらがよいのだろう? 僕は数年間、この問いに対して考え続けていた。正解はないと思われるが、数年後に得た結論は明快なものだった。「自分にはこれ以外にない。きっとこれでよかった」というのが僕の答。美田そのものを継いでいたなら、僕は何の成長もなく、堕落した生き方をし、人生の落伍者となっていたに違いない。美田を継ぐ資格があるのは、経営者としての準備期間にしっかり修業を積んできた人だけであるはず。
 10年、20年かけて修業した人といきなり経営者タイプの僕が、同じ土俵で勝負できるはずはない。荒れ地を継ぎ、危機的状況を何とかくぐり抜ける。それを繰り返さなければならない。こういうタイプの後継者は案外多い。
 僕は今でも修業不足を感じる日々だが、後継体制について真剣に考えるべき年齢となっている。我が社はまだ美田とはなっていない。だが、荒れ地を耕す人材はいる。20年前と同じような状況にあるともいえるが、土壌改良は進んでいる思う。土壌のミネラルバランスがちょっとイマイチかな? この課題に対し、次世代経営陣と一緒に取り組んでいかねばならない。
 2000年当時の僕は、美田か荒れ地かわからぬまま跡を継いだ。これはやや乱暴な事業承継ではないかと考えている。僕の現時点での結論はこうだ。
 「美田よりもエビデンス」
 自社はこれまでどのようにして世の中のために役立ってきたのか。どこに存在価値があるのか。これから何を生み出し、どのように地域に貢献できるのか。これまで行ってきたこととこれから生み出そうとしていることを、自社の経営理念と照らし合わせながら、伝えていく。志とエビデンスを次世代経営陣(とりわけ経営者)には継いでもらう必要がある。
 今現在の我が社が美田であるかどうかはさほど大きな問題ではない。エビデンスがあれば、まったく違った風景が見えてくるものなのである。

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