知識と経験を兼ね備えた校正のプロへ。
吉野は、言った。
「入力の間違いなど見逃していることもたくさんあって。その度に落ち込むこともまだまだたくさんあります。それでも、ここで仕事をできる喜びを噛み締めています」。名刺から冊子、分厚い説明書や果ては文学作品まで、ソーゴー印刷のすべての製品には、吉野の目が通っている。そう、彼女の仕事は「校閲・校正」だ。
2017 年に入社。現在の職種は3年(2020年時点)だが、今から30 年以上前のソーゴー印刷の歴史を知る人物でもある。当時経理にいた彼女は、何台もの写植機が並び、1ミリの文字ズレを修正したり、漢字を作字する職人たちの姿を見てきた。その頃はまさに「製造業」といった風だったという。
「今は、印刷プラスアルファの部分が増えていて、昔とはまったく違うと思います」。一度会社を離れてからは、経理や労務、販売、高齢者下宿の管理人など、さまざまな職種を経験。それが今の仕事にも活きている。「落ち込んでも、すぐに立ち直る性格。それが良いのかも」と笑う。
本好きでも有名だが、本を読む速度と校正の速度はまったく違うとか。「読む」のではなく「見る」。朗らかに笑う表情とは全く違う、原稿を「見る鋭い視線。その真摯な仕事が、ソーゴー印刷から生み出される印刷物の精度を高めてくれているのだ。